プロローグ
ええ。
ええ、ええ。
ええ、ええ。分かりました。
これはよくあるやつね。私は特にスライムのやつが好きなのよ。圧倒的強者が笑顔(力)で平和を守り抜くお話。
でもこれはそうね、ちょっと違うかもしれないわ。いやでもそうね、そう言い切るにはまだ少し早いわよね。
天井を見つめながら彼女は考える。
その目に映るのは大きな、とても大きなシャンデリア。
先日引っ越しをしたばかりの彼女は、つい昨日、家電屋で、比べるのも烏滸がましいようなシャンデリアを目にしたばかりだ。
高い、たかーい天井に、おしゃれな装飾が付いている。ヨーロッパの建物のような歴史を感じる壮大な建物。モココ調だったかロココ調だったか、見覚えのある景色の中に、なんと言えば良いのかーー何かがいる。
青が多めの水色の鳥。幸せを運ぶ鳥。
……ではない。あれは鳥ではない。
ゴツゴツしていてそれでいて優雅で、チャームポイントにツノなんか生やしちゃったりして。
はいはい、分かりますよ。本物を見るのは初めてだけど、あれはドラゴンね。
水の玉を纏った小柄なそのドラゴンは、「この世界」に「前の世界」に存在しない生き物や魔法が存在することを教えてくれた。
ーーさて。ここまでは胸が高鳴るわくわくポイント。
ついに私も異世界転生しちゃった⭐︎と喜ぶところではあるんだけど……。
……神様、たぶん……おそらくですけど、私の転生先、間違えてませんか?
さっきから目の端にチラチラ映るんです。たくさんのドレスが。
そしてたくさん聞こえてくるんです。あのワードが。同時に私を思って啜り泣く声も聞こえてくるんです。
「婚約破棄なんて、お可哀想に。」って。
あの……神様。私、特にスライムのやつが好きなんです。
ファンタジー!って感じの世界で無双するお話。
……神様。私、ゲームで言うとRPGが好きなんです。たくさん倒してレベルアップして、人の役に立っちゃったりして。
神様。私、乙女ゲームはプレイしたことないんですよ。でも漫画はたくさん見ました。
だから、分かるんですけど……。
今、私、断罪イベント中ですね……?
そして断罪イベントの当事者である私は、悪役令嬢……ってことですね……?
悪役令嬢に待ってるのは大概悲惨な死。
もう婚約破棄されちゃったみたいなんですけど、ここから入れる保険、ありますか?笑
どうしたらいいのかと考えあぐねていると、視界がぼやけてきた。気づけば身体は冷え切り、小刻みに震えていた。
ひとまず起きあがろうと力を入れてみるが、少しも動けない。どうやら頭の打ちどころが悪かったらしい。
冷え切った身体がじわじわ温かくなるのを感じる。
「せっかく転生したのにもう終わりか。せめて次は知ってる作品で……」と、願うように彼女の意識は途絶えた。
初めまして、こんにちは、こんばんは。
初めて投稿します。週一くらいで更新予定です。
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