三話
電車を降りて、改札を抜けた俺たちは、どうせ今から急いでも入学式には間に合わないだろうということで、駅前のコンビニでまだ済ませていない朝食を買ってのんびり登校することにした。俺はお気に入りの薄皮クリームパンを手に取った。すると凛が近づいてきた。
「それってこの間5個から4個に減っちゃったよね。」
「言われてみればそうだな」
「でも太郎はそれを買うってことはクリームパン一個は誤差でしかないと考えてるわけだ。」
「そりゃ多い方がうれしいけどないものはないで割り切るしかないだろ」
「なるほどね。じゃあ私に一個ちょうだいよそれ。誤差でしょ?」
「それは全然意味わからん」
そうして会計を済ませてコンビニを出て、学校まで買った朝食を食べながら歩いた。途中、凛がどうしてもクリームパンが食べたいとせがむので一つあげてしまった。まあ、代わりにチョコスティックパンを一本くれたので許す。あれは美味い。
そんなこんなで学校に着いた俺たちは、昇降口の前に張り出されたクラス分け表を見にいった。
「えーっと俺はどこだ」
「あ、あったよB組だって」
「おーさんきゅー。凛はどこのクラスだ?」
「私もB組!一緒だよやったね!」
眩しい笑顔でそう答える彼女の姿をみてなんだかとても嬉しかった。