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運んで〜!

「はい。でもクレア、野菜を無駄にした事は許さないから」

「この薄い人参は適当な長さに切ってサラダにすればいいでしょ。ほら、ご飯を運んで」

 ノアさんとルルカの会話を聞いて、クレアは今更ながら何に怒ったのか理解した顔をしていた。

「何処に運べばいいんですか?」

「リビングに運んで…。って、この声じゃなかった…。運んで〜!」

 落ち着いた少年の声からいつもの中性的で元気な声にいきなり変えるルルカ。

「分かりました。」


(声が変わった事は触れないでおこう…)


 お盆に乗っているご飯を運ぶ。


(5脚の椅子の椅子に違う柄のクッションが置いてある)


 椅子がドアから見て右に2脚、左に3脚あった。

右手前の緑色のクッションにカワウソがでかでかと刺繍してあり、奥に同じく緑色のクッションにパンダがでかでかと刺繍してあった。

左の手前から白いクッションに2種類のポーズのアライグマが散りばめて刺繍されてあり、その奥はグレーのクッションに違うポーズをしたシルエットの猫散りばめて刺繍してあり、一番奥は薄い黄色のクッションに同じポーズをしたクマが散りばめて刺繍されていた。

「全部手作り…?」

「そうだよ!ボクが作った!」

「わっっっ…!居たんですか」

 ルルカがお盆を持って俺の真後ろに立っていた。

「ソウヤ君はこのクマのクッションね!ボクはカワウソ、ボクの妹はパンダ、クレアはアライグマ、ノアは猫だよ!」

「そうなんですか…」

 ノアさん、クレアとお盆を持ってリビングに入ってきた。

「よし、席に着いたらご飯た〜べよっ!」

「「「はい(!)」」」


(あれ?妹さんが居ないな…)


「妹さんはどうしたんですか?」

「んとね、あいつは人見知りだから部屋で食べるんじゃないかな。そんな事よりご飯食べちゃお!」

「はい。分かりました…」

「「「「頂きます(!)」」」」


(うまっ!人参入りハンバーグ!)


 皆、30分位で完食。

「「「「ご馳走様でした(!)」」」」

「あの、大変失礼だと思うんですけどお風呂って皆さんどうするんですか?」

「魔法で着替えも洗うのもやっちゃうから入んないかな。ソウヤ君は入りたいなら、まず魔力の注ぎ方を覚えなきゃね」

「うっ…」


(ノアさんは無表情で怖いし、クレアに教わると変な風になりそうで怖い…。となるとプライドを捨ててこのチビなお嬢様に教えてもらわなければならないのか?)


「くっ、教えて下さい…」

「何でそんなに悔しそうなんだよ?まぁいいや。んじゃ、まず魔法が何で使えるか説明するね。パターンは3つ。多分クレアかノアは願うと魔法が使えるって言ったと思うけど、それは少し違うんだよね。魔法は負の感情。悲しい、妬ましい、苦しいとかね。だからそれらが強くあると魔法はより強大な物になる。これがパターン1だ。パターン2は幼い頃から魔法の勉強をして使い方を覚える。パターン3は仕組みや負の感情が強くないけど何故か魔法が強大な天才君かな。ソウヤ君は一番最初に言ったパターン1かな。だからちゃんと仕組みを覚えた方がいい。強大な魔法はいつか我が身を滅ぼすよ」

 

(俺の魔法が俺を滅ぼすなんて言われても信じられないな…。元々魔法なんて使えないのが当たり前の世界だったし。急に言われても…)

 

「まっ、でもそんなん言われても分かんないでしょ、だからボクの感覚を少し貸したげる」

 そういうなり俺に近づき核という物を俺に埋め込んだ場所にそっと手をかざすルルカ。3秒位かざして離れた。

「はい、これで貸せたはずだよ!今の内に風呂場の水を溜めに行こっか!」

「え?貸せたってどういうことですか?」

 少年の声からいきなりいつもの元気な声に変わったのも含め戸惑う。

「まぁ、魔法を使えば分かるよ!さっ、行こ!」

「ひ、引っ張らないで下さい!」

 俺の叫びも虚しくルルカに手を引っ張られリビングを出て洗面所に着いた。

「到着〜〜!じゃあ、魔力注いで〜!」

「えっ!いきなりですか!無理無理無理!」

「は・や・く」

「は、はい!今すぐ!」

 

(同じ笑顔なのに『は・や・く』だけ威圧感を感じたのはなんでだ?でも、早くって言われたって…。どうやればいいのか分かんねぇんだよな)


 風呂場の扉を開ける。

「えっっ!すご!」

チャコールグレーの大理石の壁に正面の左側に黒縁の窓。全部真っ黒な浴槽。


(外観が豪邸、リビングが普通、レストランの厨房、風呂がホテルにありそうな奴ってどんだけ統一性がないんだよ!)


「ど、何処に魔力を注げばいいんですか?」

「試しにシャワーに注いでみてよ!」

「シャワーに?分かりました…」


(取り敢えずシャワーに触れてみるか)


ジャババババ


「のわっっ!」

 シャワーからいきなり水が出てずぶ濡れになる。ルルカはそれが分かっていたのか風呂場の扉を閉めて濡れないようにしていた。

「ほら、適量が出たでしょ?」

「確かにそうですが、分かっていたなら言ってくださいよ!ずぶ濡れになっちゃったじゃないですか!」

「ボクが分かっていたって何処に証拠があるの?てか、ソウヤ君、服がスケスケでエッチだね〜。そこまで萌える体じゃないけど。ボクは細マッチョが好きだから」


(お前の好みなんぞどうでもいいわ!)


「さっさと脱いで風呂に入っちゃえば?風邪引くよ?」

「誰のせいでびちょびちょになったと思ってんだ!」

「あはははっ!ゴメンね〜」


40分後


「風呂上がったならお部屋に案内しよう!」

 ルルカが用意してくれたパジャマに着替え終わった頃に見計らったが如く来た。

「付いてきて!」

「はい」

 ルルカの後を追う。

玄関で右に曲がり、リビングの前を通って右に曲がると階段があり2階に上がる。階段から見て右側に扉が5つ並んでいた。

「ここが皆の部屋がある2階で奥から、ボクの妹、ボク、ノア、クレア、ソウヤ君の順だよ!だからソウヤ君は1番階段から近い部屋!疲れたっしょ?部屋でくつろいでなよ」

「では、お言葉に甘えてそうさせていただきます」

「うんうん、そうしなよ!ボクはリビングに居るから困ったら来なよ」

「はい」


バタン


「おぉ!」

 部屋は8畳位で奥に灰色のやや大きめのベッド、扉から見て左に赤茶色の引き出しがある机と椅子。右に横200センチ位の焦げ茶のクローゼット。

「疲れたし、寝るか…」

 フカフカのベッドに転がる。

(はぁ、自殺したのに公園で会ったお姉さんに助けられて、あの時何処かほっとした自分が居たな。生きてて良かったって。全て投げ出したつもりでいたのに…)

少し長くなってしまいました…

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