新手の詐欺師
「本当に誰なのよ!!?」
「俺はソウヤだ!!」
「誰よ!!?」
「初対面だが前世で会ってる…らしい!」
「新手の詐欺師か何かなの!?」
2人でやいのやいのと言い合う。
「まぁまぁ、取り敢えず」
ヴァンは1拍置いて口を開く。
「殴ろう」
「そうしよう!!」
「絶対にイヤよ!!!!」
ヴァンはルカが嫌がっているのを気にする事なく、頬に右ストレートを決めた。
「キャアッ!!」
「おりゃっ!!」
続いて俺も平手で頬を打つ。
(拳で殴んなかったのはせめてもの情けだ!!)
「長年の恨みは晴れることは無いがマシにはなったな」
「ハハッ、良かったな」
「ホントに、な」
「何で…何でいきなり殴ったのよ!!?理由くらい教えなさい!!!」
「お前、オレの顔すら覚えてないのか…」
「はぁ!!?貴方みたいに野蛮な奴なんか知り合いに居ないわ!!!」
「それが居るんだよな…」
(この様子だと反省とか罪悪感に苛まれてたりとかはして無いんだな…)
「お前の元婚約者だよ」
「え…!?…もしかして…ヴァン…?」
「そうだよ」
そう答えた瞬間にルカは顔を真っ赤にして怒りを顕にさせた。
「私とアーサーの仲を裂きやがって…!」
「………え?お前、自分の家の事を分かって言ってるのか?」
「??家の事くらい分かってるわよ!!」
「分かってないな…」
ヴァンは『はぁ〜〜』と長めの溜息をつく。
「お前の家は没落の一歩手前だったんだよ」
「えっ…?そんな…嘘でしょ…!?」
「ホント♡」
真っ青になるルカと爽やかに笑うヴァン。
「だから、お前がここで働く事になったんだろうよ。お金稼ぎに、な」
「でも、お父様は…」
「『国からの命令でお前を地下室で働かなせなければならない。我々はそれに逆らえないんだ。理解してくれ』だろ?」
「そうよ…同じ事を言われたわ…まさか口減らしだったなんて…」
状況が飲み込めたようだ。
「因みにルルナは気付いていたぞ。オレの家が支援しているとまでは気付かなかったがな」
片目を瞑る。ウィンクと言う奴だ。
(同性だがキュンとするくらいの破壊力だな…)
話に付いて行けず、全然違う事を考えていた。
「ま、『知らなかった』で許す様な事じゃないが」
ルカは呆然としている。
「…5年前に短い白髪、赤眼の女の子が来たのよ…」
ポソポソと独り言のように呟く。
(ルルカだ!!!)
「…あの子、私を見て笑いながらこう言ったのよ…。『相応の結果、だね。けど、私もそっちに行くから待ってて』って…。あの子と目が合うだけで心の奥底が恐怖で震えた…。でも、私はあそこまで…あそこまで、輝けない。あんなキラキラした目は出来ない。今、あの言葉の意味が分った…あの子に恐怖した理由が分った…私は許されざる事をしたんだね…それに、あの子は地獄に来るって宣言してるのに輝いていたから怖かったのね…。ごめんなさい…。今更許してもらおうなんて…烏滸がましいけど…ごめんなさい…!ごめんなさい…!!」
泣きじゃくり、謝罪をするルカ。
それを俺等は暫し呆然と見つめていた。




