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クレアと呼んでください!

ノアさんが一番前、その後ろに俺とクレアさんが並んで廊下を歩く。


(なんかこの家見た目に反して普通の家?)


「あの、ソウヤさんはルルカ様の事をどう思ってますか!」

「うーん、変わった人ですかね」

 クレアさんがいきなり口を開けたと思ったら、返答に困る質問だった。

「クレアさんはどう思ってるんですか?」

「クレアさんではなくクレアと呼んでください!」

「では、お言葉に甘てクレアと呼ばせていただきますね」

「はい!えっと何でしたっけ。あ、私がルルカ様をどう思ってるでしたよね!そうですね…。『恩人』でしょうか」

「そうなんですね」

 こんな話をしている間にもうキッチンに着いた。

キッチンと言うよりレストランの厨房だが。


(やっぱり前言撤回、普通の家じゃない!)


「ソウヤ、これ着て」

 青色のエプロンをくれた。

「あ、はい」

 ワタワタしながら着る。

「クレアもソウヤも手を洗ったら私に声をかけて」

ノアさんはそう言うなり包丁とまな板、玉ねぎを用意した。

「ソウヤさん、ノアに怒られる前に手を洗いましょう!」

「はい」

「こっちです!ここで手を洗います!」

 蛇口を指差す。

「あの、これも魔力?って奴を注がなければでないんですか?」

「そうですよ!注ぎ方は水よ出てくれって念じればできますよ!やってみてください!」

キラキラした目で俺を見る。


(み、水よ出てくれー!)


ジャバ


「おぉ!すごいです!一発でできるなんて!」

 バンザイして喜ぶクレアを尻目に俺は酷く狼狽えていた。


(水がどんどん出てきてる!排水が追いつかないくらい!このままだと溢れる!)


「あれ?水がどんどん出てきてますね。なぜでしょうか?普通は1人分の手を洗う量なのに…」

 首を傾げるクレア。

「ちょっと、2人共何してるの?」

 怒りが滲んでいる声が聞こえた。

「の、ノア…」

「の、ノアさん…」

「違うの!決して遊んではいないの!」

 勢い良く首を横に振るクレア。

「えっと、事故!そう事故です!」

 苦しい言い訳に聞こえる言い方をしてしまう。

「まったく。ほら、さっさと手を洗って」

 後少しでシンクから溢れそうだった水が消えていた。

「はい!今すぐ手を洗います!」

 

(ノアさんが魔法で溢れそうな水を消したのかな?)


 俺の言葉に満足したのか作業に戻るノアさん。結局クレアに水を出してもらった。

「手を洗ったよ!ノア!」

「そう。じゃあソウヤは人参を切って。皮は私が剥いたから。クレアは野菜スープがぶくぶくいったら教えて。絶っっっっったいに食材に触れないで」

「分かりました」

「うん!見てるね!」

 鍋を覗き込んだり、うろうろしたりするクレア。

「ソウヤ。人参をこれくらいに切ったらこの炒めた玉ねぎが入ってるフライパンに入れて。私は牛のひき肉を買ってくる」

「分かりました。料理は得意なので任せてください」


(クソ親の作ったご飯が食べたくなくて自炊した経験が役に立つ事があるなんてな…)


 少しの間人参を切っていたら。

「ソウヤさん!人参を切るのを交代しましょうか?いえ、しましょう!」

「え?でもクレアはノアさんに食材に触れるなって言われていたはずじゃ…」

「それはそれ、これはこれです!さぁさぁ、交代してください」

「分かりました、分かりましたからぐいぐい来ないでください!」

 さっと退く。

「人参を切ればいいんですよね!」

 包丁を持ち人参も持った。

「置いて切ったほうが…」

 流石に止める。

「人参を切るのは難しそうなので、私が知ってる切り方をします!」

 大根にしか使わないであろう、桂剥きを切り始めた。

薄く繋げて切るという至難の業をやってのけるクレア。

「ただいま」

 

(まずい。ノアさんが帰ってきた…)


「ソウヤ、順調?なっ…。クレア!食材に触れるなといったじゃない!なにしてんの!スープも溢れちゃってるし!」

「あ、お帰り!」

 激怒しているノアさんとなぜか笑顔のクレア。

「ご飯できた〜?ボクも手伝おうか〜?」

 遅いから心配したのかルルカが厨房に入ってきた。

「なんで怒ってるの?ノア?」

「クレアが人参を桂剥きにしたからに決まってるでしょ!」

 ルルカが来たのそっちのけで喧嘩するクレアとノアさん

「うっわ、溢れてりゃ。」

 スープを温めているコンロを消すルルカ。

「野菜スープか。ならボクでも作り直せるかな」

 

(お嬢様のくせに料理できんのか?)


「それと、ハンバーグか。」

 ルルカは人参を手際よく切る。

「卵はっと」

 冷蔵庫を開け卵を取り出す。


(手伝ったほうがいいんだろうけど、人の苦労を知らなそうなお嬢様の手伝いは嫌だな)


 あっという間にハンバーグをこね終わっていた。

「よっと」

 ハンバーグが浮いた途端に火に包まれる。どうやらルルカが魔法で火を起こしたらしい。スープをよそい、ハンバーグを皿に移し、白米を茶碗に入れる。

「ほら、ご飯が出来たから3人共運んで」

 いつもの元気で中性的な声ではなく落ち着いた少年の声で言った。

作者が投稿の事を忘れてしまいだいぶ遅れてしまいました、すみません…

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