お願い致しますよ?
ヴァンがパンと手を叩く
「さて、ルル様の気持ちが軽くなった所で私からお話があります」
(そうだ…!何で傷が無くなったのかも聞いてなかった!)
「まず、ノア様とルル様はご存知の通り悪魔や魔物は自己治癒力が高いです。ですが、気絶するまで殴られては1日やそこらでは治りません」
(ん?じゃあ、何で無傷なんだ…?)
「話が変わりますが、私は闇魔法が使えます。その魔法の主な攻撃手段は、記憶を読んでその人にとって大切な人に成りすましたり、嫌な記憶をフラッシュバックさせたりと様々です。そこで、それを応用し、私の記憶を貴方方に見て貰い、様々な疑問を解消する手助けをしたいと思います。よろしいですか?」
(説明するのが面倒臭くなったんだな…)
「「はい」」
「まぁ、分かった!ドンと来い!!」
「フフフ、倒れたら自己責任でお願い致しますよ?」
ヴァンが俺達に右手のひらを向ける。
そこから黒い光が零れ落ちた瞬間にヴァンの記憶に飛んだ。
◇◆◇◆◇◆
「うわっっ!」
つい数刻前の俺がルルカに投げられていた。
(すげぇ!俺、ヴァンの目線だ!!)
記憶だからか体は動かないがヴァンの目線だった。
「どうしてくれるの?ボクの長年の計画を台無しにしてくれてさ〜」
「どうにも出来ませんね…」
嘆くヴァン。
ルルカはその様子を見て、パチンと指を鳴らした。その瞬間、周りに靄がかかる。
「幻影だ」
「フフッ、なるほど。そういう魂胆ですか」
「…前の私だったらこの様な選択はしなかっただろうな」
「そうですね」
「少しの間、独り言を聞いて欲しくてな。ルルが魔王になった方が良いと思ったんだ。私だと完璧すぎる。国民達は良くても大臣や宰相達は良くは思わないであろう。それなら、いっそ私が悪役になり、ルルが英雄になれば周りから否定の言葉は出なくなる。国民達の間で有名なルルの『出来損ない』という噂を私が流した嘘という事にするし…」
「とても妹思いですね」
素晴らしいですと言いたげだった。
その頃の俺は幻影のルルカをぶん殴っていた。
「お、殴ってる」
「あはは…奏夜が私の為に怒ってくれて…何だかむず痒いです…」
頬を掻く。
「フフフッ、良かったな。良い友を見つけられて」
「本当に」
「本題に入る前に1つ訂正させて貰おう。私は妹思いでは無く、ただの妹を利用する悪い奴だ」
「そうは見えませんがね?」
「私はそう思う。さて、本題だ。お前がそちらに居ると厄介なんだ。今ここで私の邪魔をしないと宣言しろ」
「嫌だと言ったら?」
「永遠に眠ったままにしてやる」
ギラギラと赤い瞳が光る。
「おぉ、怖い怖い。ですが、私は『嫌』と答えます」
「そうか。ならここで寝ててくれ」
紅い蝶がヴァンの周りを飛ぶ。それを見た瞬間に意識が飛んだ。




