私は貴方に敵いませんね…
俺はベッドからのそのそと起き上がる。
時計を確認すると6時43分。起きるのに丁度良さそうな時間だ。
「おはようございます」
「おはよう…」
(ん?扉が開いた音はしないのに声がしたぞ…?しかも、ここに住んでいるのは女子だけなのに、さっきのは男性の声だ…)
「えっ…?」
声がした方向を見る。
「私の顔に何か付いてますか?」
俺のベッドの隣に堂々と立っていたのはヴァンさんだった。
「は…?何で居るの?俺、学園に遅刻するほど寝坊したっけ…?」
(何言ってんだろう…?自分。でも、ヴァンさんを見たら漠然と不安や喜びが込み上げてきたんだよな。『ヤベ!俺、寝坊した!』と『起こしに来てくれたのか、親友よ!』って思った。ホントに不思議だな)
「……!」
ヴァンさんは酷く驚いた顔をしていた。
(あっ…!ど、どどど、どうしよう!!最近会ったばかりのヴァンさんに変なこと言って仕舞った!!そりゃあ、驚くよな!?『何言ってんだ?コイツ。訳わかんなくて腹が立ったから殺そ』とかなってたらどうしよう!!?)
「私は貴方に敵いませんね…」
「???」
ヴァンさんは独り言を呟いた後、故人との思い出を懐かしむように目を細めた。
「………」
もう、その人には会えない事を思い出したのか、ヴァンさんは無言で涙を流して、号泣していた。
「!!!!」
(泣かせて仕舞った…?)
心の中で呟くより体は速く動いた。
先ず手に取ったのはティッシュボックスとゴミ箱。それ等をヴァンさんの近くに置いた。次に猛スピードで階段を駆け下り、キッチンの扉に体当たりする様に勢い良く開ける。
「すみません!!牛乳と蜂蜜使わせていただきます!!!」
キッチンで朝ご飯を作っていたノアさんはびっくりし過ぎて固まっていた。俺はそれに目もくれず、蜂蜜たっぷりのホットミルクを作って、階段を駆け上り、これ又キッチンの扉を開けた様に開ける。
「ヴァン!!ホットミルクを作ってきたぞ!!!」
ヴァンさんは俺が近くに置いた、ティッシュで鼻をかんでいた。
「あ゙り゙がとうございまず」
ティッシュをゴミ箱に捨て、俺からホットミルクを受け取り、ちびちび飲み始めた。
(くっ…不覚にも可愛いと思ってしまっている…!)
9月中に出そうと思っている短編小説を考えていたらこんな時間でした…。すみません




