そうですか
「今日はルルカ様にとって初めての剣の稽古です。緊張せずに私を殺す気で切りかかってきて下さい」
(またか…。しかも、ルルカの昔の夢だってほぼ確定したし。似すぎだもん、ルルカに。てゆーか、魔王の子供だったんだな…。マジモンの貴族じゃん…)
俺の体は毎度お馴染みの半透明で、ルルカが背の高い男性の前に木刀を持って立っていた。ルルは少し離れた所で見学らしい。
(あっ、今日は外なんだ…!)
「木刀を使えば何をしても宜しいのですか?」
ルルカが手を挙げて質問する。
「はい。構いません」
「分かりました」
「それと、そちらのタイミングで良いです。これ位のハンデをしなくては私に1撃も与えられないでしょうから」
ルルカを小馬鹿にしている態度だった。
「その言葉を撤回できる様に頑張りますね」
「生意気ですね。私はこれでも剣の強さは王城内ではトップ5には入るのですよ?」
ルルカは笑顔だったが、目が笑っていなかった。それを見ていたルルはオロオロしていた。
「お、お姉ちゃんは剣、得意じゃ無かったよね…?煽って大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。ルル。直ぐに終わるからね」
そう、答えた瞬間にルルカは地面を蹴り、一気に背の高い男性の懐に入り、鳩尾を木刀で突き上げた。
「ガハッッ!!!」
「あの人に言われたんだ。剣が強くないと王子じゃないって。だから、私は本気で貴方を倒しますね」
優雅に微笑む、ルルカ。
「今ならまだ間に合う。降参した方が賢いかと思いますよ?」
「ま、まだしないに決まっているだろう!!」
「そうですか」
男性が中途半端な体制で斬りかかる。それをルルカは逆手に取り、男性の足を払い首に木刀を叩き込む。
「グアアアッッッ!!」
「そんな、悲鳴を挙げるとは。ここは王城ですよ?少しは静かにしなさい」
倒れた男性の腹を木刀でグリグリしていた。
「痛い、痛い!!!こ、降参だ!!!もう止めてくれ!!」
「分かりました」
木刀を退け、微笑む。
「先程の言葉。撤回してくれますね?」
「て、撤回はするが、わ、私は本調子じゃなかった!!」
「言い訳は無用。勝負はそんな物でしょう?相手が不調であれど勝ったのは私。それは揺るぎません。では、お大事に。ルル、行こうか」
「は、はい…」
王城の中に入り、ルルとルルカは途中で別れるが、俺はルルカに磁石みたいな力で引っ張られたのでそっちに付いていく。少し歩いた所にあった、豪華な扉を控えめにノックする。
「ルルカです。今、戻りました」
それだけ言い、扉を開ける。ルルカの母親(2人を抱えていた女性)がルルカの首に飛び付いてきた。
「見てたわよ〜!凄いじゃな〜い!流石、私の子供だわ〜!ルルとは大違い!あの子は木刀を持っただけでな〜んにも出来なかったもの〜!」
「っ!た、大変恐縮でございます」
喜んでいると言うより怒りを飲み込んだ顔をしていた。概ね、『ルルは私の子供ではない』と言う女性の気持ちが分かったからだろう。
「じゃ〜あ〜!次は、さっき貴方と戦っていた男の人をあ・ん・さ・つして来て頂戴〜」
「その理由を聞いても宜しいでしょうか?」
「え?理由は〜邪魔だから〜!それに、私が個人的に嫌〜い!」
「分かりました…」
一瞬だけ困った顔をして部屋から出ていった。
「ルルカ様は凄いよな!」
「うんうん、魔法が使えないと言うのに堂々としていて素敵だよな!」
「ほんと、ルル様もどうにかならないかね〜」
「分かる!」
部屋を出た先に使用人の服を着た男性が3人で話していた。
「ルル様は『魔法が使えるだけ』だもんな〜」
「そうそう、さっさと何処か嫁いでくれりぁあいいのにな〜」
「あ!それ名案だな!娼婦にばっか手ぇ出してる変態オジサンのとこに嫁に出せ〜!」
「「おー!!」」
「何の話かな?」
ずっと、無言で聞いていたルルカが笑顔で怒る。
「私の大切な妹を変態野郎の所に嫁がせるなんて話が聞こえたけど?」
「「「ひっ!!」」」
話し込んでいた男性が全員肩をビクッとした。
「こ、これはこれは、ルルカ様。わ、私共に何か御用ですか…?」
「用が無ければ話しかけないと思うんだけど?」
「な、何の御用でしょうか…?」
「1つ約束をしてくれ。その話をルルの前でするなよ。破ったら、私が直々に殺してやる。どんな手段を用いても」
「「「わ、分かりました!!」」」
走って逃げていった。
「はぁ。ボクも用を済ませに行くか…」
気が乗らない様子で歩いて行った。




