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無理よ

「じゃあ、次は私ね。私はクレアみたいに過酷な道からルルカ様の配下になった訳では無いの。単純に、ルルカ様のメイドを募集しているのを見かけて応募しただけ。私の家族は上流階級の中では下の方だったけど裕福で、兄と姉が居たわ。私が末っ子。兄も姉も結婚して何処かに行ってしまったから残った私が、ルルカ様のメイドに名乗り上げたの。ルルカ様の第1印象は『お人形みたいに大人しくて、生きる気力が無い』だったわ。それを思うくらいあの人は光の無い目をしていた。私は審査に合格してメイドとして働き始めたんだけど、ルルカ様はご飯も食べず、ずっと部屋に居たわ。それなのにある日突然、部屋から出て来て私も驚いて顔を見たら、死んでる目ではなく希望に溢れた目をしていて。私に『やりたい事が決まったから、この城を出て家を買おうと思うんだけど来る?』って私に聞いてくれて、私は『もちろん、行きます』って答えてこの家を買ってその3ヶ月後にクレアが来たわ」

 懐かしむように唇を綻ばせ、楽しそうに語ってくれた。

「でも、今もルルカ様の言う『やりたい事』は分からない。こんなに一緒に過ごしてもそれだけは頑なに言ってくれないから…。分かったら私も協力したいんだけどね…」

 独り言のような口調で、何処か寂しそうな顔をする。

「………」

 

(何て言ったら良いんだろう?慰めるのも違うし、今からルルカに聞きに行くのも違うと思うし…。でも、ノアさんにはお世話になっているから何かしてあげたい…)


「どストレートに『やりたい事って何?』って聞けばいいんじゃない!?ノア!」

 笑顔満開でそれが出来たら苦労しないであろうワードを言う。

「無理よ」

「えー、何でー?聞いたらノアのもやもやは無くなると思ったのにー」

 ノアさんにキッパリ出来ない事を言われて残念がっていた。

「うーん、ルルカ本人から言ってくれるのを待つしか無いですよね…。まぁ、ルルカの事を何も分かってない新米の俺が何いってんだって感じだろうけど…」

 誰でもそうするであろう事を言いつつ苦笑していた。


(この答え方は合っているのだろうか…?ノアさんの逆鱗に触れ無ければいいんだが…)


「そうね。それしか無いわよね…。有難う、ソウヤ」 

 美女の儚げな笑顔を向けられ、思わずときめいてしまった。


(庇護欲を掻き立てる笑顔で此方を向かないでくれ…!可愛いと…守りたいと思ってしまうではないか!)


「最後にソウヤの話を聞かせて」

「はい!聞きたいです!」


(えぇ、嫌だけど俺に拒否権と黙秘権は無いのか…?)


「話してもつまらないと思いますけどね」

「良いのよ、つまらなくて。それが雑談でしょ?」

 ノアさんの言葉に勢い良く顔を縦に振るクレア。

「つまらないですからね!本当につまらないですからね!」

「良いって言っているじゃない」


(腹を決めろ!!!俺!!)


 自分の頬を両手で思いっ切り叩き覚悟を決めた。

『またねーー!』の内容を少しだけ変えました!

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