前にもあったな…
「キャハッ!もう終わり?まだボクは満足してないよ?」
バラバラの亀の亡骸に狂気の笑顔で話しかけているルルカ。刀はいつの間にか消えていた。
「ねぇ~ねぇ、もうちょっと遊ぼうよ〜?ねぇ、返事してよ…。何で皆ボクと遊ぶと壊れちゃうんだよ!ボクはただただ、楽しく遊んでいるだけなのに!ねぇ何で!」
小さい子供がするみたいに地団駄を踏む。
「お嬢ちゃんが、私の主人を殺したのかい?」
いつの間にか家から出てきた焦げ茶の髪の母親らしき人が恐る恐るルルカに尋ねる。その横には子供らしき高校生位の娘が居た。
「え?この亀さんはボクと遊んでたんだよ!でも、遊んでいる途中で動かなくなっちゃったの!」
「貴方が、お父さんを殺したんでしょ!?惚けてないで返してよ!お父さんを返して!」
高校生位の娘が泣き崩れながら叫ぶ。
「亀さんは君のお父さんなんだ!じゃあ、あげる!」
バラバラになった亀の亡骸を集めて娘の前に置く。
「ボクが取っちゃってごめんね。返す」
ドチャっと嫌な音を立てる。
「ひぃ!いやぁーーーー!」
娘は元々青かった顔を更に青くして母親らしき人に泣きながら縋る。
「アンタ、親は誰!?今すぐここに呼び出して!」
顔は娘さんに負けない青さだがもの凄い剣幕だった。
「親…。親ってなぁに?それより何でその子は泣いているの?」
娘さんの気持ちが心底分からないらしい。
「ルルカが泣かせたんですよ?」
見かねた俺が流石に口を挟んだ。
「君、誰?いや、それよりルミ様の望みはボクが叶えないと…。また失望されてしまう。叶えないと!叶えないと!」
ブツブツと壊れたラジオみたいに言葉を繰り返すルルカ。
「おい、何してんだ?ルカ」
『家族のスーパー』と書かれた野菜がたくさん入っている袋を持ち、こちらに歩いてくる。短髪で黒髪、瞳は紺。身長は俺より高い176センチ位で高校生位の若い男性。
「うわっ!何かの亡骸がある…。これ、絶対ルルカがやったろ…。それより、おいルルカ俺だ。落ち着けよ」
地べたに座り、ルルカを持ち上げ俺等に背を向けた状態で座らせ、首にあるチョーカーを外しルルカのポケットに入れる。
(男性が膝に座らせたらルルカが黙った…。て言うか誰だこの人?ルルカの扱いにやけに手慣れているし、愛称で呼ぶ位だから仲が良さそうなのは確かなんだけど…。もしかして、ルルカの兄弟?それとも彼氏?若そうだから親とかではなさそうだけど…)
「貴方が親!?その子が家の旦那を殺したんですけど!責任を取ってくれますか!?」
「ちょいと、ババアは黙ってろ」
鋭い眼光で母親らしき人を睨みつける。怖かったのかそのままは顔面蒼白で固まった。
「陛下を魔王の座に座らせておかないと!陛下を魔王の座に座らせておかないと!」
男性に抱かれたまま、叫び始めたルルカ。
「いいよ、あんな雑魚魔王の為に頑張んなくて。お前をずっと縛ってた母親は死んだし。死者の言われたことをずっと守たって褒めてもくれないし、何にもなんないんだからさ」
さっきの女性を脅した鋭い瞳ではなく愛する人を慈しむようなそんな優しい瞳でルルカに対して言う。
「おい、帰るぞ」
ルルカを背負った男性。
「え?俺ですか?」
「お前だよ。お前以外誰がいる?」
「………」
(こんな名前も知らない男性と帰るの!?まぁ、同じ条件でついて行ったルルカは子供として見れたからいいんだけど…男性か…)
無言で男性に付いて行く。
「自己紹介がまだだったよな。俺はエヴァン、エヴァン・クロティルド。よろしく、ソウヤ」
「え?何で俺の名前を知っているんですか?」
(何か、前にもあったな…)
「それは、俺が魔法使いだからだ」
(いや、デジャヴ!!何か流行ってるの!?その答え方!)
「ククッ、冗談だ。ルカとメールしてて新しく入ったって聞いたんだよ。まさか男だなんて知らなかったがな…。それと、ルカは美人で可愛いが俺のだからな。絶っっっ対に取んなよ。いいな?」
「ハイ、ワカリマシタ。ゼッタイに取りまセン」
(怖っっ!この人シスコンなのか彼氏なのか分かんないけど、ルルカの事愛しすぎだろ…)




