じゃあな!
残酷な描写があります。
苦手な方はご遠慮ください。
強い風が吹く。
「そこから、飛び降りたら、死んじゃうよ!?」
「そうだよ、早くこっちに来て」
中学校の制服を着た女子2人が騒ぐ。
「散々俺のこと虐めてきたクセに、止めてくれるんだ」
同じく中学校の制服を着た紫色の髮でショート、瞳の色は薄い紫の男子が薄く笑う。
「当たり前でしょ!人が自殺するのを見過ごせるわけ無いじゃん!てか、ここがどこだかわかってる!?」
「学校の屋上のフェンスの向こう側だな」
女子の問いに冷静に答える男子。
「屋上だから、そこから落ちたら大怪我じゃ済まないんだよ!」
(最初はいい気味だって思ってたけど、だんだん飽きてきたな…。そろそろ落ちるか…)
じりじりと縁に移動する男子。
「ねぇ、本当に死ぬ気?私はあなたがそこまで追い詰めているとは知らなかったの…もうやめるから。お願い、飛び降りないで…」
さっきまで激昂していた女子が膝をつき胸の前で手を組み懇願する。
「わ、私も、もうやめる!だから、飛び降りないで!」
放心していたもう1人の女子が叫ぶ。
「もっと早くに言えば俺は飛び降りなかったかもな!じゃあな!俺を虐めたクソ野郎共!」
男子の体が宙に浮く。
「きゃあああああ」
「う、嘘でしょ?ほ、本当に飛び降りたの…」
屋上から2人の女子の声が聞こえる。これが、俺が最後に聞いた声だった。
ズシャッッッ
(最後にあの公園で寝ていたお姉さんに会いたかった…)
白髪で赤い瞳が綺麗なあのお姉さんに…。
3日に1回、16時から18時位に投稿します。