大統領「統一された東京と矛盾しない」 利根連邦構想支持が小東京主義的であるとの批判に対して
2日、安達秀徳大統領は会見で利根連邦構想支持への批判について問われ、統一された東京と、西毛野帝国(グンマ帝国)が推進する利根連邦構想の支持は矛盾しないという考えを示した。
安達大統領
「統一された東京こそが加盟州の総意であります。この事と、グンマ並びに熊谷立憲共同体が推進している利根連邦構想、これを支持する事は矛盾しないと認識しております」
利根連邦構想は、利根川流域を基本的な領土とする連邦国家の成立を目指す構想で、第1回北関東国民会議でグンマ帝国代表により提案された。筑波条約機構加盟国などを始めとした諸邦代表の強い反対で発表されなかったものの、人民代表に支持され、現在でも支持を集めている。また、昨年の熊谷八月革命でも、埼玉大公国北東部の諸州独立の根拠として掲げられ、熊谷憲法には利根川流域の団結、連合、合邦が明記されている。
利根連邦構想については、先月の関東サミット開催期間中に行われた東群外相会談後の共同記者会見において、芳川由利外務長官が「利根川流域の安定に向けたグンマの努力を賞賛する。熊谷立憲共同体との協力の元に進められている利根連邦構想は、関係各国にも認められる余地がある物だ」と語った。
これに対し栃木=宇都宮共和国の小平参吉首相は先月10日、「大変不快だ。利根川の流域外に領土を持つ諸国において、分離勢力に力を与えるのみならず、(利根川の)流域全体に野心を持つ者共を勢い付かせる」などと述べ、国際問題化していた。小平首相の発言は、栃木共和国と宇都宮連邦共和国の合同問題や那須郡再統一運動、グンマ帝国との領土問題などを念頭になされたものと考えられている。
また先月14日には、埼玉大公国の親グンマ派議員が利根連邦構想について、「浅間山から霞ヶ浦、日光山から中川まで」と発言した確かな証拠を入手したと、羽田特別自治区上級管制官が発表し音声データを公開。
これを受けて15日に葛飾州首長、江戸川州首長、足立州戒厳司令部が懸念を表明した。中川は葛飾州、江戸川州、足立州を流れる利根川水系の一級河川だ。当該議員の所属する埼玉大公国野党第2党の彩りの会は、「那珂川と言ったつもりだと聞いている」と説明したが、那珂川は利根川の支流ではなく、更なる説明が求めらている。
問題の拡大を踏まえて、先月25日野党は政府の外交方針に重大な問題があるとし、東京自由党・都民結束党・労働党・東京社会民主の会など4党2会派が連名で大統領を批判。与党である統一東京党・公正民主党に対しても議会の団結を呼び掛けている。
与党内では、統一東京党の石田勝吉政策委員長(町田州選出)は東村山州で講演に登壇し、「町田は東京じゃない、多摩は東京じゃない、小東京の人達はそう言うのです。彼らの中の過激派は、東京15区、旧市域に拘って、新宿西部までは排除すべきと言うらしい。利根川(流域)とされている辺りも彼らに言わせれば東京で無い様だ。こんな事は全くのでたらめで、東京は東京都の領域を継承し、東京圏とは協調するのが繁栄する唯一の道だ。利根連邦構想が話題だが、それが東京を分割する事はあってはならない」と述べ、大統領を牽制した。
安達大統領は大統領就任前、小東京主義者団体「東京市の防人」「江戸と武蔵」などの会合に出席し、武蔵国-東京市構想に賛同していた事が判明している。大統領は発言を撤回し謝罪しているが、「防人」の幹部が大統領府に出入りしていた疑惑もあり、疑いがより深まった形だ。
野党に加えて、与党統一東京党も小東京主義には強く反応せざるを得ない。
今後、安達大統領と小東京主義者団体との接点の有無、そして選挙で掲げた公約や演説の内容との矛盾などが問われそうだ。