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全能無垢の最強賢者 ~「人の心がない」と追放されたので竜のメイドを雇ってみたら運命の相手だった件~  作者: epina


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40/117

第40話 元凶

間違って39話を重複投稿しておりました。

大変申し訳ありません。


こちらが正しい40話となります。

「いやあ、待たせたねえチミィ!」


 でっぷりと太った男が俺を出迎えた。


「久しぶりだな。第一支部長……マニーズ・ガッポリーノ」


 そう。

 ここは第一支部の支部長室。

 名指しの依頼について受付で問い合わせたところ、第七支部のときのように支部長に会えることになったのだ。


「なんかチミ、雰囲気変わっとらんかね? 前に会ったときとは仮面なんぞしとらんかったし、服装の印象も違うような……」

「再出発に際し、装備を新調した。何か問題でも?」


 ここには『賢者アーカンソー』の衣装を着た上で訪問している。

 いつもの恰好を見られて『ドラゴンを使役する暗黒魔導士』を連想されたくなかったからだ。

 むしろ、この時点で前の恰好を支部長が思い出す可能性を最も懸念していたのだが……。


「いやいや! チミが第一支部に戻ってきたのなら、問題なんてなーんにもないとも!」


 どうやら杞憂だったらしい。

 内心でホッとしながらも、俺は首を横に振った。


「いいや。俺は第一支部に戻る気はない」

「……は?」

「よって、俺を指名する依頼を受ける気もない」

「なぁぜかね!? 報酬に不服でもあるというのかね? それなら、もう少しぐらいは増額しようじゃないかチミィ!」

「理由は金じゃないんだが……いいだろう。理由を話そう。まず第一に俺は『はじまりの旅団』を追放された」

「そんなの、また第一支部で仲間を集えばいいだけじゃないかね!?」

「いいや。第一支部にはカルンたちもいる。顔を合わせて気まずい思いをしたくはない」

「それについては心配いらんぞぉ! あいつら、第一支部を出て行ったからな!」

「何……? それは初耳だったな」


 トンファスから活動を休止したという話は聞いたが、支部自体の利用をやめていたのか。

 先にそれを知っていたら、第一支部でそのまま活動していたかもな……。

 まあ、今更だが。


「連中がもうおらんのだから、第一支部で活動できるんじゃないかね!?」

「残念ながらそうはいかない。第二の理由は、既に他の支部を拠点(ホーム)に定めたからだ」

「んなっ……! いったいどこの!」

「その質問に答えるつもりはない」


 またスカウトに来られたら敵わん。


「そして第三に……これがハントの依頼を受けない理由でもあるが、依頼人を信用できないからだ」

「なんだとっ!? チミは、ワシが保証した依頼人を信用できんというのか!」 

「依頼人についての裏取りはギルドが済ませているのが基本……とはいえ、匿名の依頼人について何も調べない冒険者は三流だろう?」

「なっ……!?」


 マニーズの心底驚いた顔を見て、俺は意外に思った。

 匿名の依頼人については冒険者側もそれとなく調査する……そんなことはギルド職員の間でも暗黙の了解である。

 支部長が把握していないはずはないのだが……?


 いや。

 把握していなかったなら『俺退治の依頼で俺を指名したこと』にも納得がいく。

 彼はきっと、バレないと思ったのだ。

 冒険者が裏取りすると思っていなかったから。


「……チ、チミは依頼人について調べたのかね?」


 この反応……。

 どうやら、ブロッケンから聞いた話は本当のようだな。

 彼の被害妄想という可能性もあるにはあったのだが。


「無論」

「つ、突き止めたのかね?」

「勿論」

「それはいったい誰だったのかね……?」


 マニーズが汗をダラダラと流しながら血走った目で確認してくる。

 後ろ暗いことがあると白状したようなものだった。

 

「この依頼を出したのは、あなただな? マニーズ・ガッポリーノ」


 俺の指摘に対して俯いていた支部長が、バッと顔を上げた。


「い、いやあ。バレてしまったかねチミィ! さすがはアーカンソー君! ワシが見込んだだけのことはある!」


 マニーズが呵々大笑(かかたいしょう)しながら自分の胸を叩いてアピールする。


「そう! ワシはかの暴虐な暗黒魔導士によって被害を受けたのだ! 奴はな、ワシの大事な大事な財産を奪っていったのだよ! 支部長自らが冒険者に依頼するともなると、どうにも体裁が良くなくてのう! だから匿名にしたのだよ!」


 そこまで一気に(まく)し立ててから、マニーズが頭を下げた。


「だから頼む! ワシの願いを聞いて、暗黒魔導士を倒してくれ!」


 支部長室に静寂が訪れる。

 俺はマニーズの様子をジッと観察しながら頷いた。


「なるほど。すべてが嘘というわけではないか」

「ももももちろん! 嘘なんて――」

「それで? 大事な財産というのは何だ? いったい何を奪われた?」

「そ、それは……当然カネだよチミィ!」

「ただの金か」

「そうだとも!」

「あなたが投資した高利貸しが保管していた違法金利の借金証書ではなく?」

「そうそうそうだとも……って、え?」


 唖然(あぜん)とするマニーズに向かって事も無げに言い放った。


「……俺がいったい誰から話を聞いて、あなたに辿り着いたと思う?」

「あ…………あんの無能がぁぁぁぁぁぁぁッ!!」


 マニーズが一瞬だけ絶句してから、腹の底から絞り出すような怨嗟(えんさ)の叫び声をあげた。


「……確定だな」


 マニーズ・ガッポリーノ。

 この男がピケルを泣かせ、俺の平穏を乱した真の元凶だ。

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