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二度目の子等の旅立ち

第二子達とエドガルドとの子が十八歳になった。

なので、留学することになり、ダンテは子等を見送る──




 第二子達と、エドガルドとの子が十八歳になった。

 八年などあっという間だった。

 皆、ガラッシア学院に行くと言った。

 私はそれを了承した。


「フェルモ、皆様の護衛などしっかりと務めるのですよ」

「はい、父上」

 フィレンツォが息子に激励を送る。

「セシリオ、アンジェリカ、ブルーノ、ディーノ、アドリア。皆からだに気をつけるように」

「はい、父上」

「はい、お父様」

「はい、父上」

「はい、父様」

「はい、父上」

 皆頭を下げて会釈をする。


 エドガルドと、エリア達が外で待っており、おのおの会話を繰り広げる。

 そしてメーゼへと出発していった。


「四年というのは長いな」

「いえ、短いですよ」

 エドガルドの言葉をそう言って否定し、私は笑う。

「待っている側は長いですけどね」

「ああ、そうだな」

 エドガルドは笑った。

「……セシリオは、どんな伴侶を見つけてくるだろうか」

 その後不安げに呟いた。

「僕もです……アドリアは、どんな伴侶を見つけてくるのでしょうか……」

 二人とも両性具有だ。

 物珍しさに近づいてくる輩もいるだろう。

 だが、二人はそれをはねのける力はあるし、フェルモも、ついて行っている。

 良き人と巡り会えることを私は望んでいる。





「おや、今年の入学生代表はアドリアですか、前回はディアナでしたね」

「インヴェルノ王族は成績優秀者排出の筆頭と言われてますからね」

「マジか、フィレンツォ」

「マジです」

 そんな噂聞いたこと無かったぞと今更ながら思った。

「今年は王族は他に入学してないそうですね」

「私の時はクレメンテだけでしたし、他の王族が一緒に入学するのは珍しいのでしょう」

「そうなのですか?」

「そうですよ、エリア様」

 フィレンツォを静かに述べる。

「偶然が重なって──とは言いがたいでしょう、ダンテ陛下がルチェ・ソラーレ学院に入学するのは大分前から公に分かっていた事です。ですからエリア様も、クレメンテ様も、アルバート様も、カルミネ様も必然的に入学したことになります」

「そうですね、でなければエリアが兄がいるはずの学院に入学するはずがない、私が見つけるのに賭けてカリオさんは入学させた違いますか?」

「はい、仰る通りでございます」

 エリアの側にいるカリオさんはそう述べた。

「そして、クレメンテも同様、そうですね、ブリジッタさん」

「はい、ダンテ陛下その通りでございます」

 ブリジッタさんだけでなくエルヴィーノ陛下が噛んでもいるだろうけど。

「で、アルバートとカルミネは私と仲良くなれば、家の問題を解決できるのではないかと思ったのでしょう」

「最初はな、でも一目みたらそんな考え吹っ飛んだよ」

「同じくだ」

「で、結果あの事件が起きたと」

 私は思い出しながら述べる。

「さて、今回の我が子達は平穏に学生生活を送れるのでしょうかね」

「「「「「……」」」」」

「ダンテ陛下、お言葉が過ぎますよ」

「おっとすまないフィレンツォ」

「前回、デミトリオがトラブルに巻き込まれた事がどうしても引っかかって、今回も何か起きそうな予感がするんですよ」

「フェルモがいるから大丈夫では?」

「ファビオがいても起きたでしょう?」

 エドガルドの言葉に私はそう言って首を振る。

「それに、両性具有という特殊な子が二人もいる、下心を持つ相手はいるでしょう」


「まぁ、手を出したら痛い目を見るのは向こうですがね!」


 そう言って不安を払拭しようとする。

「セシリオの場合はそうだが、アドリアの場合は分からんぞ」

 エドガルドがそう言うと、納得はする。

「普段は大人しいですからね。でも、大丈夫ですよ、あの子昔悪人に向かって魔術ぶっ放す位の事平気でやってましたから」

「そんなこと平気でやってたのかアドリアは……」

「セシリオもですよ」

「私は知らんぞ……」

「貴方に隠れてやってましたからね、私にはお見通しでしたが」

 そういうと、エドガルドはむすっとした表情になった。

「何故私に言ってくれなかった」

「だって、貴方に言ったら叱られるじゃすまないと二人から言われましてね」

「ぐむ……」

「だなーエドガルドが知ったら叱られるじゃすまないよなー」

 アルバートが同意する。

「ダンテはどうだったのだ?」

「悪人に容赦なくぶっ放してましたよ?」

 エドガルドが頭を抱える。

「まぁ、あの頃の貴方はこじらせていましたから私の事を多く知ることは無かったでしょう」

「それを恥じている、そして今知った事に頭が痛い」

「うちの子達、割と悪人と対面しては魔術ぶっ放して、捕まえるのやってますよね」

「そうですね、やってないのはデミトリオ様くらいです」

「デミトリオは今どうしている?」

「子育てと、領主の仕事で忙しいそうだ。他の子もな」

「なるほど……」

「さて、今日は謁見要望もあります、なので私は仕事に戻ります」

「ダンテ、無理はするなよ」

「分かっています」

 無理はもうする気はない。

 疲れるし、面倒だし。





 仕事を終え、自室に戻るとエドガルド達が待っていた。

「ど、どうしたのです」

「今日はもう休みましょう、一緒に寝ましょう」

 とクレメンテが私の服に手をかけた。

「自分で脱げますから」

 私は苦笑し服を脱ぎ、寝間着に着替えてベッドに横になる。

 皆もベッドに横になり、毛布を被る。

「ダンテ、皆不安なのだ」

「……子ども達の事ですか?」

「ああ、お前はああは言ったが、私達の子どもだ、心配だ」

「大丈夫、俺は不安じゃないぜ」

「俺もだ」

 アルバートとカルミネ以外が不安のようだ。

「子ども達を信じましょう」

 私はそう言うことしかできない。





 翌日──

「セシリオ様とフェルモが暴力沙汰に巻き込まれたと」

「……で、結果は?」

「セシリオ様とフェルモが全員ボコボコにぶちのめしたそうです」

 フィレンツォからの報告に、私は何か抜けているのを感じた。

「フィレンツォ」

「はい」

「正直に話してくれ、何が理由で暴力沙汰に?」

「……アドリア様にベタベタと取り繕う輩にキレたセシリオ様とフェルモが口論で撃破しようとしたところ、向こうが逆上して暴力沙汰に」

「oh……」

 思わず天を仰ぎ見る。





──そういや、セシリオ、アドリアには甘いもんな、可愛がってるもんな──

──……エドガルドと私のような事態が起きる?──

『それは起きないから安心しろ』

──oh、神様──


 神様の発現に安堵するものの、違う不安が拭えない。


──でも、これだとセシリオとアドリアの伴侶見つけるの難しくないですか──

『ちょっとばかり時間がかかる』

──ですよねー──

『まぁ、それでも縁は結ばれる安心せよ』

──はーい──





 神様との会話を終え、戻ってくる。

 いつものように、息を吐く。

「ダンテ陛下?」

「いや、何。あの二人は大変そうだと思っただけだとも」

「そうでしょうね……」

 フィレンツォの苦虫をかみつぶしたような顔に、少しだけ私も苦く笑った。







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