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孫と子と自分の先

大きくなった子等と生まれたばかりの子等を見つめるダンテ。

自身も成長し、余裕が出てきたが──




「アドリアはディーノと仲が良いのか?」

 同じぬいぐるみを引っ張り合うのではなく、互いにもぐもぐとするカルミネとの息子ディーノと、エリアとの子アドリアを見て私は言う。

「かもしれませんね」

「そうだな」


「ダンテ様、のんびりしている暇はありませんよ! 今日は最初の子の皆様が帰ってくる日!」

「分かってるすぐ向かう」

 フィレンツォに言われて私はベビールームみたいな場所を立ち去ろうとする前に皆に言う。

「では、行ってきます」

「「「「「行ってらっしゃい、ダンテ(様)」」」」

 見送られて子等を出迎える準備をする。



 正装を身に纏い、冠を被り、子を出迎える。



「ただいま帰りました、お父様」

「ただいま戻りました、お父様」

「ただいま戻りました、父様」

「ただいま帰りました、父上」

「皆よく、帰ってきた。学院生活はどうだったのだ?」

「良い人達と巡り会えました」

「私は主席で卒業しました。他の皆も成績優秀者として卒業を」

「頑張ったのだな。今宵は宴の後ゆっくり休むがいい」

「「「「はい」」」」


 そして帰国の宴では──


「証の子が生まれたの?! エリアさんとの子?!」

「こらこらブルーナ声が大きい」

「出産大変じゃなかった?」

「ああ、一日中かかったよ」

「良かった、妊娠後の手入れ商品購入しておいて」

「いや、こちらでもしているよ?」

「それでも!」

「父様、アルバート父様はどうなさって?」

「お前の妹、アンジェリカの世話で今忙しくてな。私も付いていようか悩んだが、全員に子どもの出迎えしてこい発言されていたのでここに居る」

「では父上、宴はこの辺にして私達に妹、弟達に会いに行きましょう」

 デミトリオがはっきりと意見を述べた。

 述べるようになったというべきか。

「……よし、そうするか。フィレンツォ!」

「かしこまりました」

「宴はこのあたりでお開きとさせて貰う、代わりに皆に土産を持たせよう、持って行くといい」

 貴族達に土産の品を持たせて、帰らせると、私達は急いでエドガルドやエリア達のいる部屋へと向かった。


「ただいまお母様」

「ただいまアルバート父様」

「ただいまカルミネ父様」

「ただいま母上」


 皆驚いた表情を浮かべていた。

「宴は?」

「子ども達が妹、弟達に会いたいと言うので早めに切り上げました」

「全くお前という奴は」

「ふふ、すみません」

 エドガルドが呆れて言うので、笑みを浮かべて謝った。

 エドガルドも呆れてはいるがそれ以上にうれしさが隠せないようだった。

「公式には載せられないが、エドガルドの子が第五子ということだな」

「載せられたらいいのに……」

「私達家族だけの秘密だ、すまないな」

「はい」

「アドリア……この子もセシリオと同じ両性具有なんですね」

「ああ、そうなる」

「生まれてきた子達、皆が良い人生を歩めるといいのだがな」

「そうですね」

「エドガルド叔父様の子、お父様にそっくりねそれにしても」

「いや、大人になればどうなるか分からないぞ?」

「そうかしら?」

 ブルーナは意味深な事を言う。

 この子の言うことは結構当たるので、大人になったときがちょっと怖い。



 やがて、春になると、皆結婚して城から離れていった。



 それでもしょっちゅうのように会いに来るデミトリオとアルフィオも居れば、たまにだけど、大荷物を抱えてくるブルーナとディアナが居た。



 ディアナは伴侶が同性、かつ家を継ぐことになったので、同性が妊娠する魔術を使ったところ、ディアナの伴侶のアメリアが妊娠した。


 アルフィオも伴侶が同性で、子どもが欲しがったので同じく魔術を使ったら、伴侶のアルバーノが妊娠した。



──あらやだ、うちの子、攻め気質多過ぎ?──

『まぁ、気にするな。アルバートとカルミネの影響が強かったんだ』

──あー、あの二人攻め気質あるキャラだったもんなぁ──


 と、今更ながら前世で攻略していた頃を思い出す。



 それから十月十日くらいが経過した頃、二人の子どもが生まれた。

 孫の誕生である。


──お祖父ちゃんになってしまったねー──

『赤ん坊のお前の子はおばさん、おじさんだぞ』

──年の差あるある──


 そんな事を考えながら、大きくなった子等の相手をしていた。





 四年が過ぎると、デミトリオと、ブルーナの所も赤ん坊が生まれたと報告が来て見せて貰った。

 可愛い女の子と男の子の赤ちゃんだった。



 どんどん、お祖父ちゃんになっていくなと考えつつ、おばさんおじさんと言われることになるまだ小さな五つになった位の我が子達の事を考えるとちょっとだけ複雑だった。



──もっと早く妊娠して貰えばよかったのかな?──



 とか重いはするものの、自分たちで決めたのだからとその考えを放棄した。






「父上、母上と愛し合ったから奇跡的に生まれたのですか僕は?」

 十歳になるころ、セシリオはそう言った。

「そうだね、奇跡的に生まれたというか神様のご褒美かな」

生の苦しみ(クィパティ)事件の事ですね」

「そうそう、エドガルドはね、ずっと悩んでいたんだ私を愛するあまり苦しむ程に」

「母上が?」

「そう」

 セシリオの頭を撫でる。

「神様に私がお祈りをしたら、その事件を解決したご褒美として一人──お前を授かることができたのだよ」

 そういうとセシリオは頷いた。

「わかりました、父上。僕は僕なりに母上を支えたいと思います」

「頼んだよ」

 セシリオは何処かエドガルドに似て育っていった。


「ダンテ陛下」

「どうしたんだいフェルモ」

 フィレンツォの息子で、今の子ども達の執事をしているフェルモが私の元に来た。

「アドリア様なのですが……」

「どうしたんだい?」

「魔力が高すぎなのにうまく制御ができないので、個別に専門の教師をつけるべきかと」

「フィレンツォ」

「かしこまりました、私が教えます」

「父上が?!」

「ここでは執事長ですよ。フェルモ」

「し、失礼しました」

「では、ダンテ様、アドリア様の個別教育へ参ります」

「ああ、宜しく頼む」




 無理もあまりしなくなった私はフィレンツォに別の仕事も命じることができるようになった。

 子どもが大きくなったこともある。

 少しずつだが、いつか来る終わりを想像することにした。


 死ぬのはまだ怖いが、いつか来る。

 その時は一人じゃないんだ、皆がいる。


 と、思うようになった。







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