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まさかの事態~国王になる準備できてないんですが?~

伴侶の出産時期を予想していたダンテにいきなり祖母、母から王様になれと言われる。

なんやかんやで国王になるが精神的に重くのしかかり、うがーっとなるダンテだった。




 出産の傾向が前回と似ている気がしたため。

 私は夏にアルバート、秋にカルミネ、冬にエリアが出産するのではないかと予想を立てた。


──もしかしたらこの三人のうち誰かが証持ちを出産する?──

『察しがいいなその通りだ』

──マジですか──

『まぁ、生まれたら生まれたで頑張れ、ダンテ国王陛下』

──へ……?──


──ちょ、ちょっと待ってー!──



 セシリオとブルーノをあやしている時に戻ると、暗い表情の母上と祖母が現れた。

「ダンテ、すまん。もう彼奴の退位欲求を抑えつけられん」

「はい?」

「そうなの、だからこれからも援助するから、お願いダンテ」

「「国王になって(くれ)」」

「はああああああああああああ?!」



 そうして流されるように戴冠式が行われ、私は国王になってしまった。


──マジ鬱──


 玉座の座り心地は悪くないが、冠が重い、精神的な意味で重い。


「ダンテ、大丈夫か?」

「すみません、大丈夫じゃないです。何で私の伴侶達の出産全部まってからにしてくれなかったんですかね!?」

「本当だな」

「そういえば、父上と母上は?」

 姿が見えない事を気にする。

 母上が居ないと今ちょっと大変どころじゃないので困るのだが。

「父上に本気の説教を喰らわしてる最中だ、母上は」

「……ならいいです」

 当分父上は凹むだろうが、知ったことではない。


 それより今は──


「うがー! この公務の量が憎い!」

 公務を片付けてさっさと伴侶達や子の側に居たい!

 そう思った私はさっさと職務の書類を片付けて、伴侶達の元へ向かった。


「ただいま戻りました、何かありませんでしたか」

「エリアの精神が不安体で……」

「分かりました」

 クレメンテがブルーノをあやしつつ言うので、私はエリアの側に行き、背中をさする。

「エリア、何が不安ですか?」

「……ダンテ様が、国王様になられて……僕らの事に手が出せなくなるんじゃないかって……」

「そんな事ありません、現にこうして来ている訳ですしね」

 手を握り、頬に優しくキスをする。


「あー! ずるいー! 俺にもー!」

「俺も……」

「私も……」

「私もだ……」


 それを見たエドガルド達は、自分たちにもキスをねだったので、私は苦笑してから、皆にキスをした。


 すると、満足そうな顔をして全員リラックスモードに入った。



 私はそれに安堵して、休憩モードに入った。





「ちくせう、まさかこの時期に王様にされるとは」

『それでもお前の父は長く在位してたのだぞー?』

「まじすか?」

『マジだ。まぁ、父親の場合、妻といちゃいちゃしたくて子ども作らないままだったのに、祖母が頭にきたらしく無理矢理国王にしたからな』

「わーお、御祖母様過激」

『と、いうことだ、お前はお前らしく国王として頑張るといい』

「へーい」





 目を覚ますと、皆が顔をのぞき込んでいた。

「どうしたのです?」

「いえ、お前の寝顔を見るとほっとする……」

「はい、ダンテ様の寝顔はお綺麗で……」

「休んでいるのを見ると安心するのだ」

「そうそう、それそれ」

「ダンテ、お前は働き過ぎている」

 エドガルド達にそう言われると、うっとなり否定できない。

 そう悩んでいると、母上が私に語りかけてきた。

「ダンテ大丈夫よ、当分あの人にも仕事は手伝わせるから」


 にっこりと笑う母上が怖く見えたのはきっと私だけじゃないと思う。



「父様とエドガルドおじ様もできていたの?!」

 基本向こう(メーゼ)で過ごす我が子達も私の戴冠式ということで特例で帰ってきていた。

「ブルーナ、五月蠅いぞ、ブルーノが起きる」

「まぁ、可愛い私の弟」

「だから静かに……」

「ふぎゃあああああ!」

「ああ、ほら泣き出した、よしよし」

「むぅ」

 ブルーナは上手くいかずむくれているようだった。

「エドガルド叔父様の子ども、可愛いですね……」

「セシリオだ。両性具有だから悩んだよ」

「曾御祖母様の伴侶の方と同じですね」

「ああ」

 デミトリオはエドガルドと私の子に興味を抱いたようだった。

「次の私の母上と父上の子はどのような子になるのでしょう」

「さぁ、そのときになるまで分からないよデミトリオ」

「ですね」

 デミトリオは納得したように言った。

「ブルーナはまだどこか幼いがステファノ君は大丈夫かね?」

「ステファノの前では躾けられた飼い犬ですよ、お父様」

「ディアナ!」

「ディアナ、たとえは酷いが分かりやすい、もう少し違うたとえを考えられただろう?」

「では、借りてきた猫?」

「……大人しいのは分かったが……」

 ぷんすかとディアナに対して怒っているブルーナと、何処吹く風なディアナ。

 たまにディアナが本当に私の子か不安になる、性格的な意味で。


 だが、生みの親がカルミネなのを考えるとしっくり来る。


「取りあえず、お前達が伴侶と仲良くしているのを聞けただけで嬉しいよ」

「はい、お父様」

「勿論です、お父様!」

「はい、父様」

「はい、父上」

 皆にこやかに微笑む。


「まぁ、国王になってしまったから今後私は色々と忙しくなる。だが、私はいつでもお前達の味方だよ」

 そういうと、子等は照れくさそうに笑った。





「さて、この書類の山どうしよう」

「あの人に半分は任せるから、残り半分は御祖母様と分担してやってくれる?」

「そう善処します、母上」

 国王になってちょうど季節の変わり目という時期かつ、新年度が近いので書類がわんさかくる。


 私はため息をついて、祖母と共に猛スピードで書類をさばいていった。


 半分ほどさばき終えると祖母が口を出した。

「伴侶の様子を見るついでに休憩してくるといい」

「分かりました、有り難うございます」

 私は祖母の言葉に従って伴侶達の元へと向かった。


「ダンテ、仕事は?」

「一段落ですよ、だから様子を見に来ました」

 エドガルドにそう言うと、彼は微笑んだ。

「そうか、見てくれ。セシリオをブルーノが仲良くしているんだ」

「ほほう?」

 赤ちゃん用のスペースで、ブルーノとセシリオが仲良く人形を抱いている。

 一体の人形を左右から抱きしめ合って仲よさそうだ。


「大きくなっても仲良くしてくれればいいですね」

「ああ」


 まだ赤ん坊の我が子を見て、私は幸せを噛み締めた。







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