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その勇者は魔王と同じだった。  作者: 白石アキラ
第八章「人魔和平委員会」
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第八十三話「魔王城で目覚めた少女」

 目が覚めると、私は知らない部屋のベッドの上だった。


「あれ・・・?ここ、どこ・・・・・・」


 なんだか頭がボーッとする。

 とりあえず、私は身体を起こそうとした。


「い、いたた・・・・・・」


 けれど、お腹には痛みがあって、起き上がることはできなかった。


「シック!目が覚めたか!よかった・・・・・・」


「あ、ウェルフ・・・・・・?」


 ウェルフが私のことを心配そうに見ている。

 ああ、そっか。

 私、イーニって人に戦いを挑んで、それでウェルフが痛い目にあって、私も殺されかけて・・・・・・。


「私のせいで、ウェルフまで酷い目にあっちゃって、本当にごめん」


「いや、オレ様だってお前に乗っかったんだ。お前一人のせいってわけじゃねぇ。むしろ、オレ様がお前を守れるほど強くねぇのが悪いんだ」


 ウェルフはすごく申し訳なさそうにしている。

 その姿がちょっと面白くて、何だか笑ってしまいそうだった。


「ありがとう。今日のウェルフ、すごく優しいね」


「べ、別にいいだろ」


 ウェルフは照れ臭そうに顔を逸らす。

 多分こんな様子のウェルフを見ることは、滅多に無いだろう。

 今のうちにしっかり覚えておいて、また今度いじってやろう。


「ところで、ここはどこ?私は誰に助けてもらったの?」


 あの時、私は間違いなく致命傷を受けていた。

 多分だけど、普通に治療したぐらいじゃ、私の傷は治らないぐらいに酷かったと思う。

 誰か回復魔法とかに長けた人が助けてくれたと思う。

 

 それに、この見覚えの場所もどこか気になってしまう。

 ウェルフの知り合いのところとかだろうか?

 予想をすることはできるけど、それしかできない。


「目が覚めたかニャ?良かったニャ」


「ね、いやケットシー?」


「そうだニャ。この城で料理長をやってる、ケットシーのケイシーニャ。君は人族で合ってるニャ?」


「う、うん。そうだけど・・・・・・」


 私が居る部屋に、突然ケットシーが入ってきた。

 ウェルフが連れてきた場所だから、当然魔族が居る場所のはずだけど、改めて魔族の拠点に居ると知ると、流石にびっくりする。


「どうぞニャ」


 ケイシーは私に飲み物をくれた。


「あ、ありがとう・・・・・・。あ、おいしい」


 ケイシーからもらったお茶は美味しかった。

 人族の舌にも合うような味なのだろうか。


「ここは魔王城だ。オレ様の旧友がここに居てな。まあ、人族も多分受け入れてくれる場所だから、ここに来たんだ」


「ま、魔王城?魔王城なの、ここ?」


「そうニャ」


 ケットシーは私の問いに頷く。

 魔王って、人族を襲う魔族を束ねている長だ。

 その魔王の城は、人族の私を受け入れてくれる場所?

 ダメだ、頭が混乱してしまう。


「もしかして、魔王城に連れてくるのはまずかったか?」


 混乱した様子の私に、ウェルフが声をかける。


「い、いや。もしここに来ないと、私が死んじゃってなら全然良いし、襲われる気配も無いから大丈夫だけど・・・・・・。魔王が人族の私を受け入れてくれているのが、どうも理解ができなくて・・・・・・」


「大丈夫ニャ。人族を襲ってたのは前の魔王様。今の魔王のディザ様は、城の中でグータラしてるか、外でなんかよく分からないことしてるかのどっちかだニャ」


「そ、そうなんだ。あの、私には関係ないかもしれないけど、魔王にそんなこと言っていいの?」


 ケイシーは上司である魔王にも、容赦なく暇人認定している。

 魔族はそんなフランクな関係なんだろうか?


「まあ、細かいことは気にしない人ニャ。今の魔王様は、すごく優しい人ニャ」


「ちょっと待って、人って言った?人って言ったよね?」


 ケイシーは間違いなく、人と言った。

 人という呼び方を普通は魔族相手にしない。

 聞き間違いか言い間違いか、気になってしまって、つい聞き返してしまった。


「ああ、今の魔王は人族なんだ。オレ様も会ったことはあるけど、魔族相手にも普通に接する奴だったな。闇属性を扱うのは、前の魔王も今の魔王も同じだが」


「人族で、闇属性を扱う・・・・・・?!」


「そうニャ。珍しいよニャ」


「め、珍しいけど・・・・・・」


 私の知ってる中で、闇属性を扱える人族は私を含めて三人しかいない。

 私と、モンデと、レイス先生・・・・・・。


 私は当然のことながら、魔王じゃない。

 だったら、モンデかレイス先生だと思うけど、モンデはつい最近まで旅をしていたし、魔族を束ねられほどの人じゃないと思う。


「ねえ、ケイシー。今の魔王になったのって、いつ頃?」


「ニャ?確か、半年以上は前だったニャ」


「半年・・・・・・」


 レイス先生が私たちのところに現れたのも、半年と数週間前の話だ。

 逆に、モンデは旅に出ると言うまでは、ずっと育成学校に居た。

 レイス先生は実力もあるし、勇者として旅に出ていたから、ここに来たこともあるかもしれない。


 でも、もし新しい魔王がレイス先生だとしたら、前の魔王はどうなったんだろう?

 どうして、レイス先生は魔王になったの?

 分からないことだらけだ。


 そもそも、先生が魔王とも限らない。

 とにかく、人族の魔王とやらに会わないと。

 まずはそこからだ。


「ねえ、ケイシー。お願いがあるんだけど」


「何ニャ?」


「私、魔王にお礼が言いたい。だから、魔王に会わせて」

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