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その勇者は魔王と同じだった。  作者: 白石アキラ
第七章「光の精霊」
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幕間

「うーん・・・あ、あれ・・・・・・?私、今どこ・・・・・・?」


「やっと正気に戻った?良かったよ、このまま精神崩壊したままだったら、もうお別れだったね」


 私はイーニに背負われていた。

 いまいち記憶が曖昧だ。

 レイスと戦っていたのは覚えているけれど、結局どうなったっけ・・・・・・。


 そうだ、私はイーニに助けられたんだった。

 私がもう殺されるってタイミングで、イーニが来てくれたんだった。

 

「ごめん・・・・・・」


「いいよ、これぐらい。僕たち仲間でしょ」


「自分のことが一番大好きな人から、そんなセリフが聞けるなんてね」


「随分元気そうだね。ここに置いていってもいいかい?野獣にでも食われてしまえばいいよ」


「ごめんって。背中、このまま貸して」


「サノンからそう言われるのも気味が悪いなぁ」


「ふふっ」


 イーニは私に気を遣っているのか、なんだかいつもよりも優しい声色だ。

 歪んだ性格の奴だけど、なんだかんだ自分の気に入った人には、こうして優しくしてくれる。

 今はそれが少し嬉しい。


「あとちょっとだったのになぁ」


「うん、あと少しだったね」


 あと少しで、レイスを殺すことができた。

 本当に、あと一撃だった。

 なのに、邪魔が入ってしまった。


「すごい落ち着いているね。僕が助けに入るちょっと前は、発狂したり放心状態になったりで忙しかったのに」


「今はそれどころじゃないかな・・・・・・。感情の起伏も面倒なほどに疲れちゃった」


 お姉ちゃんを殺したレイスとは、今回が初めて会うことになった。

 姉の仇、本来なら出会ってすぐに復讐心で満たされたのだろう。

 けれど、実際会ってみても、復讐心らしいものは湧かなかった。


 殺したいのは多分事実だ。

 居るか居ないかで言えば、居ない方が良いと思う。

 お姉ちゃんの唯一を持っていることに対して、私は少なからず嫉妬している。


 でも、お姉ちゃんが殺されて許さないという感情では無かった。

 何というか、まるで欲しいものを取られて、駄々をこねる子供のような気持ちだ。


「ねぇ、イーニ。私ってお姉ちゃんのこと愛してるのかな?」


「ええ?急にどうしたのさ」


 イーニは困惑した表情になっていた。

 そりゃそうだ。

 私は散々姉の話をイーニにしている。

 イーニが私と居る時、唯一嫌な顔をする時間だ。


「僕はね、君のことを気に入っているんだ。それは、自分の核をしっかり持っているからね。君の姉への愛がそうだ。それは間違いなく君の強さに繋がっていると、僕は思うよ」


「うん・・・・・・ありがとう、イーニ」


 イーニの言葉は、私にとって温かいものだった。

 うん、私はお姉ちゃんが大好きだ。

 だから、その気持ちでここまで強くなれたんだ。

 

 次は絶対に、確実に殺す。

 どんな邪魔が入ってきても関係ないぐらいに。

 お姉ちゃんを殺したあいつを殺してやるんだ。

 この思いを持ち続けていれば、絶対夢は叶うはず。


「サノンって確かヒューゼ王国の育成学校の寮に住んでいたよね?その辺りまで連れて行けばいいかな?」


「うーん、イーニの家に行っていい?」


「僕の家?今日は突然なことを言う日みたいだね」


「別にいいじゃん。行きたいと思ったんだから。それで行っていいの?ダメなの?」


「姉の話をしないって約束するならいいよ」


「分かった。ちょっとだけにするから。それでいいでしょ」


「姉の話に関してだけは、君の言うことは信用できない」


「何それ。どっちにしろ、イーニの家に行っちゃダメってことじゃん」


「嘘だよ。普段は誰も呼ばないんだけどね。今回だけ特別に、ね」


「ふふっ。ふふふっ」


「その気味の悪い笑い方は何?」


「別に?面白かっただけ」


「変なこと言ったつもりはないんだけど。失礼すぎない?」


「違う。私自身が面白いの」


「ますます意味分からない。それに、その優しい口調も調子が狂う」


「今だけは、許してね」


「仕方がないな」


「ねぇ、イーニ」


「今度は何?」


「ありがとう」


「・・・・・・どういたしまして」

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