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その勇者は魔王と同じだった。  作者: 白石アキラ
第七章「光の精霊」
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第七十五話「vsドラゴン」

 この巨大な図体、いったいどうすればダメージを与えることができるか。

 相手はどれほど動けるのか。

 とにかく情報が必要とされる。


「ヒカリン!ドラゴンについて分かることはあるか?!」


 俺はヒカリンにとりあえず聞くことにした。

 ドラゴン討伐の依頼をしたならば、何か知ってることがあるのではないかと思ったからだ。


「分かるわけないんですけど!だから協力頼んでるんですけど!あ、それと私の光の力はほぼ通用しないから、私は無力なんですけど!」


 情報は一つも得ることができず、さらには、戦力外であることも自己申告されてしまった。


「アイリス、何か分かることあるか?!」


「え、ええと、光の精霊で無理なら、私の闇属性も多分効きませんっ!つまりはディザ様が物理攻撃でどうにかするしかないかとっ!」


 どうやら、アイリスも戦力外らしい。


「ドラゴンは精霊の力や、生族の属性の力がまるで効かないんですけど!理由は分からないけど、その耐性が異常なんですけど!」


「でも、防御はできますっ。防御に関しては、私とヒカリンさんに全て任せてくださいっ!」


「分かった!」


 大雑把にどうするかの方針は決まった。

 アイリスとヒカリンは防御で、俺が攻撃。

 役割分担はこうだ。


 さて、あとは俺の物理攻撃が通用するかどうかだ。


「とりあえず、攻撃してみる。援護頼むぞ!」


「はいっ!」


「了解なんですけど!」


 俺は剣構えて、そのままドラゴンへと突撃する。

 ドラゴンは、俺が近づくのを確認するとすぐに、炎のブレスを俺に向かって放った。


「ゴァァァァ!」


「ほいよっと、なんですけど!」


 ヒカリンはそのブレスに対して、自身の光をぶつける。

 光に当てられたブレスは、俺に到達することなく、ブレスそのものが無かったことになった。

 しかし、俺の前髪も少しだけ消えてしまった。


「あ、やっちゃったんですけど!」


「ちゃんとしてくださいっ!」


 ヒカリンとアイリスが何か言い合ってるのを俺は無視して、ドラゴンの懐へと潜り込む。

 剣で攻撃をしっかり当てるには、肉や鱗の薄い部分を狙うのが、間違いなく効果的だ。

 俺はドラゴンの足元へ行き、膝の後ろを斬ろうとする。


 けれど、足元に行く途中で、ドラゴンはそれを拒否するように、俺に蹴りを入れようとしてくる。


「ぐっ!」


 俺は咄嗟に剣を身体の前に構える。

 アイリスも援護として、俺の剣に闇を覆ってくれて、何とか衝撃を抑えることはできた。


 しかしながら、衝撃を抑えたとはいえ、俺は少しの距離、吹き飛ばされてしまう。

 まだ一度も攻撃を当ててないが、また近づくところからやり直しだ。


「同じパターンでやっても意味が無いな・・・・・・」


 ドラゴンの反応速度は遅くなく、俺の攻撃はきちんと対応されてしまう。


「ええい!ダメ元なんですけど!」


 ヒカリンはドラゴンの全身を光で覆う。

 光に覆われたドラゴンは、その場で暴れ始め、そこから大きな咆哮を放った。


「ゴァァァァ!」


 すると、覆っていた光は全て消滅し、ドラゴンは全くの無傷の状態だった。


「ああもう、こんだけ上位存在だと、消滅させるとか無理なんですけど!」


 ヒカリンは悔しそうに地団駄を踏む。

 だが、俺は今のヒカリンの行動のおかげで、分かったことが一つあった。


「ヒカリン、やってもらいたいことがある!」


「ええ?!私防御しか無理なんですけど!」


「いや、あのドラゴンは、光を全身に覆われた時、自由が少し奪われていた。光の精霊の力が通用しないと言っても、全く無意味ではない!隙さえ作ってくれれば、俺が何とかする!」


「ようやく気づいたんです?私の有能さに。遅すぎるんですけど!いででっ!」


 さっきとは打って変わって、ヒカリンは急に調子に乗り出した。

 そして、もちろんアイリスはそれを無視できず、ヒカリンの頬をつねった。

 ドラゴンを前にして、どうしてこの二人はそんなに余裕で居られるんだろう。


「とにかく、さっきと同じように攻める!防御はアイリスが。ヒカリンはドラゴンの動きを縛ってくれ!」


「了解ですっ!」


「分かったんですけど!」


 俺はさっきと同じように、ドラゴンの足元へと走り出す。


「これでも食らうんですけど!」


 ヒカリンはドラゴンの全身を、再び光で覆った。

 ドラゴンは視界を奪われたのか、その場で暴れ始める。


 ドラゴンは腕をぶんぶんと振り回す。

 両腕は右へ左へ上へ下へあらゆる方向に、物凄い勢いで動く。

 当たったらひとたまりもないが、避けることは容易い。

 

 だが、一つだけ俺に当たる攻撃があった。

 俺はそれを剣で軽くいなした。

 しかし、それこそが悪手だった。


「グラァ!」


 攻撃が当たったことで、俺の居場所がバレてしまった。

 その位置へとドラゴンは蹴りを入れてくる。


「ディザ様っ、危ないっ!」


 アイリスが、すんでのところで、先ほどよりも強力な闇を作り、それで壁を作る。

 その闇は、ドラゴンの攻撃を完全に防ぐもので、俺への衝撃は一切無かった。


 闇へ攻撃した違和感で、ドラゴンは俺の位置を完全に見失う。

 いつもならアイリスに感謝を言うが、大声を出して、また場所がバレてしまっては意味が無いので、俺はそのまま足元へと潜り込む。


「グルァァァァ!」


 俺の上の方で、ドラゴンが暴れながら吠える声が聞こえる。

 そんなものは完全に無視だ。

 俺は、最も攻撃が通るであろう、膝の裏へと目掛けて剣で斬りかかる。


 カキン。


 しかし、俺の攻撃は、全くドラゴンに通らなかった。


「ああ、もう限界なんですけど!ドラゴンから離れて欲しいんですけど!」


 ヒカリンがドラゴンの行動を制限するのも、限界が来たようだ。

 俺はドラゴンへの攻撃を一旦諦め、距離を取った。


「ゴァァァ!」


 ドラゴンが雄叫びをあげると共に、ドラゴンを覆ってた光は全て消え、当たり前のようにダメージは無かった。


「まずいな、どうすればいい・・・・・・」


 一番通ると思った部位への攻撃は無傷、光や闇を用いた攻撃も通らない。

 攻撃の手段がまるで無いのならば、打つ手が一つもない。


「ディザ様、たった一つだけ、どうにかできる可能性がありますっ」


 アイリスは深刻な表情で俺へと話しかける。

 ヒカリンも珍しく、この時は真剣な表情のままだった。


「それは何だ?どうすれば奴へ攻撃が通る?」


 俺の問いに、アイリスは一度無言で頷き、それから口を開いた。


「それは、ディザ様が精霊やドラゴンを超越するほどの存在になることですっ」

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