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その勇者は魔王と同じだった。  作者: 白石アキラ
第七章「光の精霊」
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第七十三話「ドラゴンの情報」

 受付の人の案内で、俺とサノンは役所の奥の方へと案内された。

 

 サノンは、俺が情報を集める手伝いをするつもりで俺についてきていた。

 けれど、あとは話を聞くだけだし、サノンはもう一緒に来なくても大丈夫と一応は伝えた。

 それに対してサノンは、


「私もドラゴンの話聞きたいです。それまでは一緒に居ていいですか?」


 とのことで、ドラゴンの情報を聞くまではついてくることになった。


 受付の人は、とある部屋のドアの前で立ち止まる。

 ここが案内先の部屋のようだ。

 彼はトントンとドアをノックした。


「失礼します。レイスさんとそのお知り合いさんが来られました」


「はいどうぞ」


 部屋の中から返事が返ってきた。


「それでは、私はこれで。どうぞ部屋の中にお入りください」


「ありがとう」


 受付の人は俺たちとは別に、また受付の方へと戻った。


「それじゃ、入るか」


「はい」


 俺はドアノブに手をかけ、部屋の中へと入った。


「失礼します」


「おお、レイスさん。ようこそ私たちの街へ。今日は来てくださってありがとうございます。私は町長をやっています」


 町長は俺とあまり歳が離れていないように見える、若い男性だった。

 おそらく二十代だろう。


「レイスさん、この人すごい若いですね。レイスさんと同じぐらいじゃないですか?」


 サノンは俺に耳打ちする。


「そうだな。この若さで町長をやってるなんて珍しいな」


「どうかされましたか?」


 町長は俺たちの方を心配そうに見る。


「いや、こんなに若いのに町長をやっていて、素晴らしいなと話してただけだ」


「ははは。その歳で勇者をやって、人族のために尽力されている人が何を言う」


 町長は軽く笑ってみせた。

 人を束ねる町長と、強さが重要な勇者では全然違うと思うが、いちいちそれを言うつもりはなかった。


「さっそく話を聞かせてもらいたい。用件は伝わっているか?」


「はい。ドラゴンのことですよね。どうぞそちらの椅子へお座りください」


 部屋の中にある長椅子に、俺とサノンは隣同士座った。

 その向かい側にも同じ長椅子があり、そこへ町長は腰掛ける。


「失礼します。お茶とお茶菓子をお持ちしました」


 ドアからガチャりと音がし、おそらく役所で働いているであろう女性が入ってきた。

 お茶とお茶菓子を長椅子の前にあるテーブルの前に置く。


「失礼しました」


 その女性は頭を下げ、退室していった。


「どうぞ、召し上がってください」


「ありがとう」


「ありがとうございます!」


 俺とサノンはそれぞれカップを取り、お茶を飲んだ。

 良くも悪くもない、普通の味だった。


「それじゃ、さっそく本題に入ってもらおうか」


「分かりました。ドラゴンの居場所ですよね」


 町長は地図を机の上に広げた。

 ペンを片手に説明を始める。


「ここが、私たちの街です。この道が交易に使われる道なのですが、この道の途中に谷があります。この谷の下に洞窟があるのですが、ドラゴンはそこに居ると情報が寄せられています」


 町長は街らしき場所に丸をつけ、そこから道をなぞり、谷に丸をつけた。

 この丸をつけられた、谷の場所こそがドラゴンの居る場所なのだろう。


「前までは、谷の底からドラゴンの唸り声が聞こえる程度でしたが、最近では谷全体に揺れが発生するようになり、交易の際に影響が出るようになりました」


「そこにドラゴンが居ることは間違いないのか?」


「はい。実際に調査させています。揺れの原因を調べさせたら、物語で語られているドラゴンと一致する存在を確認したとのことです」


「ほ、本当にドラゴンって居るんですね」


「ええ、私もこの目で直接確認したわけではないですが、空想上ではなく、実在するようです」


 町長はサノンに笑いかける。


 サノンはドラゴンが居ることに驚いているようだ。

 俺だって、一度も見たことが無いし、ドラゴンをこの目で見れることが少し楽しみだ。


「私からの情報提供は以上です。あまりドラゴンの詳細をお教えできなくてすみません。いかんせん、ドラゴンが未知数すぎる故、私たちが手を出せる存在か分からなくて・・・・・・」


 町長は申し訳なさそうに頭を下げる。


「いや、大丈夫だ。そういう問題を解決するのが、俺のやるべきことだからな」


「本当に助かります。ありがとうございます」


「さっそく今から向かおうと思う。情報提供ありがとう」


 俺は目の前のお茶を飲み干して、部屋を出ることにした。

 サノンはお茶菓子に夢中になっていた。


「ほら、もう出るぞ」


「あ、すみません」


 サノンは食べかけの菓子を一気に口に頬張り、それをお茶で流し込んで飲み込んだ。


「行くぞ」


「はい!」


「どうか、お気をつけて」


 俺とサノンは部屋を出て、そのまま役所から出た。

 

 役所から出ると、既にアイリスとヒカリンが待っていた。


「ずっと待ってたんですけど!」


「そんなこと言わないっ!」


 俺が来るや否や、いきなり二人の言い合いが始まってしまった。


「まあまあ。待たせて悪かったな」


 俺は二人を宥めた。

 これからドラゴン討伐に行くのだから、あまり身内争いはしてほしくない。


「その後ろの人は誰ですかっ?」


 アイリスは俺の後ろに居る、サノンの方を見ている。


「私はたまたまついてきただけの人です!もう帰りますので、気にしないでください!それじゃ!」


 それだけ伝えて、サノンは急にどこかへ走って行ってしまった。


「あれ、行っちゃった・・・・・・」


「結局何だったんです?」


 確かにサノンは、ドラゴンの情報だけ聞いてみたいとは言っていたが、急に居なくなるとは思わなかった。

 これは少々面を食らってしまった。


 とはいえ、俺がやることは変わらない。

 これからドラゴン討伐に出かけよう。


「ドラゴンの居場所を示した地図をもらってきた。後回しにするものでもないし、今から行くとしよう」


「さすがですねっ!行きましょうっ!」


「レストランでご飯食べてた私とは違って、なかなかやるんですけど。それじゃさっさと行くんですけど」


「あっ!こらっ!」


 ヒカリンはさっさと街の外へと走って行った。

 アイリスはヒカリンはサボっていた事実が許せないのか、危機迫るようにヒカリンを追いかける。


「おい!地図無しで場所わかるのか?!」


 俺も二人に置いてかれないように、走って行った。

 いよいよドラゴン討伐の始まりだ。

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