第四十話「モンデのいつもの一日」
「今日の演習の一位はモンデだ!」
「よっしゃー!」
レイスがウェルフの件で魔王城に滞在している間、モンデとシックは、レイスが来る前と同様、他の生徒と同じように授業を受けていた。
勇者に教えられていたのが影響しているのか、二人の能力は同学年内でも、かなりの実力だった。
モンデは校内に仲が良い人と言える人は、ほとんど居なかった。
彼が一年の時は、それなりに話をする人は居たが、二年生になりたての時に、レイスに出会ってからは、シック以外の人とほとんど会話したことはなかった。
もちろん、シックも同じように、友達はほぼ居ない。
だが、周りの人間は、モンデやシックを、闇属性だからと言って、陰口を言ったりする生徒はいなかった。
モンデやシックが二年生になってからは、全ての属性に平等であるよう教えられていた。
これは、学長によるものだ。
しかし、あくまで生徒だけであって、教師や、育成学校外の人たちには、まだその考えが浸透されていなく、闇属性が虐げられている現状は、ほとんど改善されていないと言える。
モンデとシックはそれを理解しているので、彼らは努力を怠ることはなかった。
「モンデ、今日もやる?」
その日の演習が終わり、汗だくになっているシックは、モンデに話しかけた。
「日課だしな。もちろんやるよ」
モンデとシックは、他の生徒と同じように授業をこなした後、二人だけで追加で訓練をするようにしていた。
普通の授業内容では、闇属性について詳しく学ぶことはできない。
だからこそ、こういった時間が必要だった。
二人が、初めてレイスの力を見た演習場。
そこが、いつも訓練に使っている場所だった。
「とりあえず、各自まずやっとこうか」
「そうだな」
レイスから言われていた、闇属性の練度を高める訓練。
これをウォーミングアップ代わりに、毎日各自行っている。
やることは、闇属性のイメージをしっかりと捻出するするだけだが、意識を持って、繰り返し練習をしなければ、いつまで経っても成長しない。
事実、レイスの指導の元、半年間この単純なことを繰り返していたからこそ、二人は演習等で、高成績を出していた。
「終わった?」
「ああ」
ウォーミングアップを終えたシックが、モンデに確認しにきた。
モンデも終わっていたので、これから二人での特訓になる。
「この前言ってた、闇属性を探知に使う方法なんだけど・・・・・・」
二人がそれぞれ持ち寄ったアイデアを、研究し合う時間だ。
ステップアップするためには、闇属性の扱い方の発想が大事だというのは、レイスの教えであり、二人はそれを互いに協力することにしていた。
二人分の頭で思いついたことを、二人分の頭で検討し、実践可能にできるかどうか、実際に試してみる。
二人には得意不得意があるが、だからこそ、それぞれの発想が、二人のどちらかに相性が良いことがある。
この日は、シックが持ち寄った、闇属性の探知への応用だった。
「闇属性って、他の属性より概念的なものなのか、物理的な属性に比べて、何かしらの影響を受けやすいんだよね。それを利用して、周囲の異変を感知できたりしないかなって」
「うーん、難しいな。俺にはイメージができないんだけど」
「私はこういうの好きなんだけど。まあ、とりあえず考えてきた方法があるから、やり方教えるよ。何か気づいたことあったら教えて」
「分かった」
こうして、二人は毎日研究を繰り返していた。
モンデやシックがレイスと違うところは、切磋琢磨する闇属性の仲間が居ること。
彼らはすでに、レイスが二年生であった頃よりも強力になっており、その成長が止まることを知らない。
「今日はこんなもんかな!疲れたー!」
「お疲れ。また何か発見できたら、その時はよろしく」
外がすっかり暗くなって、二人のその日の訓練は終わった。
「あー疲れたー!」
モンデは、自室へと帰り、ベッドに飛び込んだ。
学校の授業が休みの時以外、彼が自室に戻る時間はかなり遅い。
風呂やら着替えやら、しなければならないことは多いが、モンデはいつも、部屋に戻ったらベッドへと飛び込んで、一旦身体を休ませる。
当然、そのまま眠って、明日を迎えてしまうこともあるが。
「ああー・・・・・・ってやばい、また寝ちゃいそうだった」
眠い目を擦りながら、モンデはベッドから起き上がり、寮にある共用の風呂に入り、寝巻きに着替え、自室へと帰った。
そして、モンデは寝る前に、最後のルーティンに入る。
「・・・・・・」
モンデは、棚の中にしまってある母親の形見であるスカーフを取り出し、それを前に、目を閉じ、両手を合わせた。
魔族に殺されてしまった母親。
モンデが努力をし続けることになった、最初の理由。
自分の弱さ故に、母親を守れなかった過去を、モンデは常に忘れないように、こうして毎日母の形見に拝むようにしている。
「俺、絶対強くなるから。魔族になんて負けない。みんなを守れるような、強い男になってやる」
決意を口にし終え、モンデは再びスカーフを棚の中にしまい、寝るためにベッドへと潜り込んだ。
「明日は休みか・・・・・・」
モンデは、寝る前に明日は何をしようかと考える。
毎日学校のことばかり考えているので、週に一度の休みの日は、何をするかいつも迷ってしまう。
いつもは休みは自主練ばかりしているが、たまには外出でもしてみようかと、ふとモンデは思った。
「マナさんの食堂にでも行こうかな」
明日の予定をとりあえず一つ決め、モンデは眠りについた。




