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その勇者は魔王と同じだった。  作者: 白石アキラ
第五章「少年と旅人」
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第四十話「モンデのいつもの一日」

「今日の演習の一位はモンデだ!」


「よっしゃー!」


 レイスがウェルフの件で魔王城に滞在している間、モンデとシックは、レイスが来る前と同様、他の生徒と同じように授業を受けていた。

 勇者に教えられていたのが影響しているのか、二人の能力は同学年内でも、かなりの実力だった。

 

 モンデは校内に仲が良い人と言える人は、ほとんど居なかった。

 彼が一年の時は、それなりに話をする人は居たが、二年生になりたての時に、レイスに出会ってからは、シック以外の人とほとんど会話したことはなかった。

 もちろん、シックも同じように、友達はほぼ居ない。

 

 だが、周りの人間は、モンデやシックを、闇属性だからと言って、陰口を言ったりする生徒はいなかった。

 モンデやシックが二年生になってからは、全ての属性に平等であるよう教えられていた。

 これは、学長によるものだ。


 しかし、あくまで生徒だけであって、教師や、育成学校外の人たちには、まだその考えが浸透されていなく、闇属性が虐げられている現状は、ほとんど改善されていないと言える。

 モンデとシックはそれを理解しているので、彼らは努力を怠ることはなかった。


「モンデ、今日もやる?」


 その日の演習が終わり、汗だくになっているシックは、モンデに話しかけた。


「日課だしな。もちろんやるよ」


 モンデとシックは、他の生徒と同じように授業をこなした後、二人だけで追加で訓練をするようにしていた。

 普通の授業内容では、闇属性について詳しく学ぶことはできない。

 だからこそ、こういった時間が必要だった。


 二人が、初めてレイスの力を見た演習場。

 そこが、いつも訓練に使っている場所だった。


「とりあえず、各自まずやっとこうか」


「そうだな」


 レイスから言われていた、闇属性の練度を高める訓練。

 これをウォーミングアップ代わりに、毎日各自行っている。

 やることは、闇属性のイメージをしっかりと捻出するするだけだが、意識を持って、繰り返し練習をしなければ、いつまで経っても成長しない。

 事実、レイスの指導の元、半年間この単純なことを繰り返していたからこそ、二人は演習等で、高成績を出していた。


「終わった?」


「ああ」


 ウォーミングアップを終えたシックが、モンデに確認しにきた。

 モンデも終わっていたので、これから二人での特訓になる。


「この前言ってた、闇属性を探知に使う方法なんだけど・・・・・・」


 二人がそれぞれ持ち寄ったアイデアを、研究し合う時間だ。

 ステップアップするためには、闇属性の扱い方の発想が大事だというのは、レイスの教えであり、二人はそれを互いに協力することにしていた。

 二人分の頭で思いついたことを、二人分の頭で検討し、実践可能にできるかどうか、実際に試してみる。

 二人には得意不得意があるが、だからこそ、それぞれの発想が、二人のどちらかに相性が良いことがある。


 この日は、シックが持ち寄った、闇属性の探知への応用だった。


「闇属性って、他の属性より概念的なものなのか、物理的な属性に比べて、何かしらの影響を受けやすいんだよね。それを利用して、周囲の異変を感知できたりしないかなって」


「うーん、難しいな。俺にはイメージができないんだけど」


「私はこういうの好きなんだけど。まあ、とりあえず考えてきた方法があるから、やり方教えるよ。何か気づいたことあったら教えて」


「分かった」


 こうして、二人は毎日研究を繰り返していた。


 モンデやシックがレイスと違うところは、切磋琢磨する闇属性の仲間が居ること。

 彼らはすでに、レイスが二年生であった頃よりも強力になっており、その成長が止まることを知らない。

 


「今日はこんなもんかな!疲れたー!」


「お疲れ。また何か発見できたら、その時はよろしく」


 外がすっかり暗くなって、二人のその日の訓練は終わった。


「あー疲れたー!」


 モンデは、自室へと帰り、ベッドに飛び込んだ。

 学校の授業が休みの時以外、彼が自室に戻る時間はかなり遅い。

 風呂やら着替えやら、しなければならないことは多いが、モンデはいつも、部屋に戻ったらベッドへと飛び込んで、一旦身体を休ませる。

 当然、そのまま眠って、明日を迎えてしまうこともあるが。


「ああー・・・・・・ってやばい、また寝ちゃいそうだった」


 眠い目を擦りながら、モンデはベッドから起き上がり、寮にある共用の風呂に入り、寝巻きに着替え、自室へと帰った。


 そして、モンデは寝る前に、最後のルーティンに入る。


「・・・・・・」


 モンデは、棚の中にしまってある母親の形見であるスカーフを取り出し、それを前に、目を閉じ、両手を合わせた。

 

 魔族に殺されてしまった母親。

 モンデが努力をし続けることになった、最初の理由。

 自分の弱さ故に、母親を守れなかった過去を、モンデは常に忘れないように、こうして毎日母の形見に拝むようにしている。


「俺、絶対強くなるから。魔族になんて負けない。みんなを守れるような、強い男になってやる」


 決意を口にし終え、モンデは再びスカーフを棚の中にしまい、寝るためにベッドへと潜り込んだ。


「明日は休みか・・・・・・」


 モンデは、寝る前に明日は何をしようかと考える。

 毎日学校のことばかり考えているので、週に一度の休みの日は、何をするかいつも迷ってしまう。


 いつもは休みは自主練ばかりしているが、たまには外出でもしてみようかと、ふとモンデは思った。


「マナさんの食堂にでも行こうかな」


 明日の予定をとりあえず一つ決め、モンデは眠りについた。

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