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その勇者は魔王と同じだった。  作者: 白石アキラ
第二章「新生・魔王軍」
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第十一話「超絶有能アイリスちゃん」

「次は、魔族の知性について聞きたいと思う」


「了解ですっ」


 アイリスは敬礼をして答える。

 

 アイリスは魔族の中でもかなり知力があるが、すべての魔族がそうではないはずだ。

 それに、同系統によっても差は生じているようで、何か理由があるのなら、知っておきたい。

 とにかく、俺は魔族に対しての情報が無さすぎるため、アイリスに頼りっぱなしになるしかない。

 まあ、アイリスは頼られるたびに喜ぶだろうが。


「知性がある魔族とない魔族の違いに理由があるなら知っておきたい。魔族を支配する上で、相手の知性の有無によって取る手段は変わるだろうし、そのあたりのことは理解しておきたい」


「なるほど、確かに気になるところですよねぇ」

 

 アイリスは顎に手を当てて、頷く。


「知性のある魔族とない魔族の違いは、欲望の有無ですねっ。私たちみたいに知性のある魔族は、みんな何かしらの欲望を持ってるんですっ。美味しいもの食べたいーとか、超強くなりたいーとか」


「人族を襲いたいってのは、欲望にはみなされないのか?」


 俺は、アイリスに質問をする。

 しかし、アイリスは少し真剣な顔をして、口を閉じていた。

 そのわずか後に、ニコっと笑って、指で頬をかいた。


「すみません、自分でも何でなんだろうと考えたけど分かりませんでしたっ。でも、人族を襲うのは本能であって、知性が生まれるかどうかには関係がないと思いますっ」


 はっきりとした理由は分かっていないが、人族を襲うことに関して、知性の話との繋がりは分からないらしい。


「ちなみに、欲望を持った魔族は、人族を襲う意思がなくなりますっ。もちろん、欲望を持った結果、人族を襲おうと思う魔族もいますけどねぇ」


「知性の有無は欲望の有無。知性がない魔族は、人族を襲う本能があるが、欲望を持てば人族を襲う本能はなくなる、と・・・・・・」


「そうですそうですっ!」


 アイリスは軽く飛び跳ねて答える。


 魔王になったとはいえ、元の目的は人族での生活である以上、人族の勢力が弱まることは避けたい。

 知性がない魔族は、人族の存続を脅かすほどの脅威にはならないだろうし、最低限の魔族の恐怖としては残しておきながら、基本は放置でいいだろう。

 

 大事なのは、知性のある魔族で、欲望の上で人族を襲っているやつらだ。

 彼らがどれほど人族の脅威になるのか、あまりにも強すぎる場合は対応をしなければならない。

 だが、知性があるなら命令も下しやすく、ちょうど良い塩梅の脅威になるかもしれない。

 八百長をすれば、俺が勇者として活動することもできるだろう。


「ちなみに欲望が無くなればどうなるんだ?」


「欲望が無くなれば、知性は元に戻りますっ。ただ、具体的な目標が知性の源であるならば、達成されたときは、知性は維持されたままですっ」


「具体的な目標?」


「例えば、親の仇を討つとか。親の仇を討ちたいという欲望が知性に繋がり、親の仇を討った後は知性が無くなることはないですっ。ややこしいですねぇ」


「まあ、理解はできたよ、ありがとう」


「!!!それじゃあ・・・・・・」

 

 アイリスは頭をまた差し出してきた。

 いい加減懲りないだろうか。


「じゃあ、アイリスにも欲望はあるってことなんだな。それは何だ?」


「それはもちろん、ディザ様に仕えることこそが私のよくぼ」


「真面目に」


 両手を合わせて、目を輝かせながら乗り出してくるアイリスを、右手を顔の前に出して制止する。

 アイリスはつまらなさそうに口を尖らせて引いた。


「結構真面目なんですけどねぇ・・・。初めてお会いした時にも似たようなことは言いましたが、私は強い人に仕えるのが欲望なんですっ。前の魔王様に仕えているときも、その欲望で生まれた知性で補佐をしていましたし」


 アイリスは前魔王の時からずっと補佐役をしていたらしい。

 長い間魔族の上位に存在しているなら、知識量があるのも納得できる。

 だが、疑問が生まれた。


「じゃあ、前魔王が居なくなった後に、魔族を統制していた間、欲望はどうなっていたんだ?」


「それはもう、早く誰か上司になれ!なれ!って思いながら、魔族の勢力を衰えさせないように必死でしたね・・・・・・」


 アイリスは目をそらして答える。

 欲望が強すぎるのが恥ずかしいのだろうか。

 俺からすると、もっと恥ずかしいことしてきそうなんだが。


「知りたいことは結構知れたな。色々と頼ってばかりで済まない」


「はいっ!この超絶有能なアイリスちゃんに、頼りに頼りまくってくださいっ!」


 思ってたのと違う返事が来たが、まあ気にしていないならいいだろう。


「次は魔王城内の魔族について詳しく知りたい。俺が前来たときとは、全然住む魔族が違うし、それも気になってな」


「そうですねっ、前の魔王様は自身が生み出したゴーレムや亡霊騎士を護衛に置いてましたが、今は私の判断で、様々な魔族を呼ぶことにしましたしねっ。いやー、我ながらあっぱれっ」


「・・・ちょっと待て、いややっぱり待たなくていい。なんでもない」


 前魔王は魔族の生成ができる?

 前に魔王城に住んでいた魔族は護衛目的で、今とは違う?

 そもそも現体制はアイリスが作ったもの?

 

 突然に大量の情報が流れて、困惑する。

 とても処理しきれる気がしない。

 思わず、額に手を当ててしまった。

 

「前の魔王様は魔物の生成ができる。これは魔族と別物で、動く人形みたいなもの。かつては、城は防衛目的で使われていたが、そもそもの城の作りが適していないので、私は情報収集に利用できるようにした。求められている説明はこんなものですかっ?」


「簡潔な説明、気遣いありがとう・・・・・・」


「どういたしましてっ」


 アイリスは、つい苦笑いしてしまう俺など気にせず、いつもの笑顔を見せる。

 俺の立場、あるのだろうか。


「それじゃ、実際に城内の魔族に会いに行きましょうっ!レッツゴー!」


 アイリスはスキップで部屋を出ようとする。


「そういえば、亡霊騎士は闇属性魔法の応用らしいので、練習したらディザ様も使えると思いますよっ。私は専門外なので分かりませんけどねぇ」


 もう、勘弁してくれ。

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