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伊賀忍者に転移して、親孝行する。  作者: 風猫(ふーにゃん)
第一章 藤林疾風、戦国の伊賀に登場す。
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閑話 決戦 VS 北畠具教(霧隠才蔵)

 日刊ジャンル別ランキングが2位なんて、すごいことになってます。

 それから、感想と誤字脱字のご指摘ありがとうございます。とても助かります。

 俺は、藤林家の下忍、霧隠才蔵(きりがくれのさいぞう)。幼少の頃から、藤林家の御曹子、疾風様の近習として、仕えている。

 御曹子とは、忍びの修行を共にし、秘伝の知識を授けてもらっている。俺の通称となった《霧隠れの術》である。

 元々、伊賀や伊勢、熊野の山中は、霧が多く発生する地域だが、御曹子は、その発生のしくみを教えてくれて、多少条件さえ合えば、霧を作ることができるのだ。


 湿度の高い空気中に、核となる微粒子を散布することで、空気中の水分と結び付き、霧ができるという。

 御曹子の指示に従い、石灰を高温で焼き、誘引材としての生石灰を作り、小麦の粉を石臼で限りなく細かく引いたものを所持している。

 生石灰は、空気にさらしていると、自然分解してしまうので、保管が難しいが、御曹子にいただいたビニールパックという袋で保管している。

 ただ霧を発生させることだけでなく、小麦の粉に、眠り薬や毒物を乾燥させて混ぜることで、幅広い使いみちがある。

 あと俺と佐助は、御曹子から下賜された、伸縮自在の極細鋼鉄縄の腕輪を使った、木立の中でのムササビ飛びや高い屋根までの高跳びが得意だ。

 佐助は、小柄で身のこなしが軽く、体術が得意だが、どちらかというと、隠密より煙玉や手榴弾を使った力技を好んでいる。




 多気城を壊滅させた翌日、大河内城に向かい、途中の中間地点で一泊し、十分な睡眠と食事を取った。

 そして翌朝、再び大河内城を投擲火炎瓶で攻撃し、城の建物を炎上させ、たまらず城から出てきた軍勢と交戦した。


 御曹子は、突撃などの接近戦を禁じ、鉄砲や焙烙玉での遠距離攻撃に撤するよう命じられ、敵勢が迫って来たときは、一定の距離を保ちながら引いて、あくまでも遠距離攻撃で対処するよう命じられた。

 だが、引くまでもなく、敵勢を半壊させた頃、突然、味方の大軍が現れ、苦もなく敵を殲滅してしまった。

 俺は、戦いに夢中で味方が現れたことに気づくのが遅れたが、御曹子は、周辺に斥候を放っており、いち早く味方だと知っておられた。さすがだ。



 味方(1,800人)を率いて増援に来られたのは、服部家の頭領、服部半蔵殿だった。

 半蔵殿の放った斥候の報告によると、一刻ほどで北畠の軍勢8,000が到着するとのことで、御曹子は、2km程、城から離れた森に挟まれた麦畑を戦場に選ばれた。

 

 味方を6つの部隊に分けられ、俺達奇襲部隊200の正面500m前方に地雷原を敷いた。

 そして、俺達の所在には、敵勢に知らしめる幟旗(のぼりばた)を掲げた。


 北畠勢は、伊賀から増援が来たのを知らない。

 御曹子は、俺達の2km後方に増援投擲部隊200を配し、簡易な馬防冊の設置を命じて、俺達が退却して辿り着くまで、隠れているように命じた。

 また、左右の森中の離れた場所に、4つの400ずつの伏兵部隊を伏せて配置した。



 北畠の軍勢 8,000が現れてからは、御曹子の作戦が嵌まりに嵌まった。

 先陣の2,000を鉄砲で足止めし、焙烙玉の投擲で半壊させ、本体5,000 が繰り出して来ると、地雷原に差し掛かったところで、火炎瓶の投擲で、一斉に爆発させて半数を殲滅。

 あとは、二手に分かれて後退し、200mごと交互に、鉄砲で迎撃しながら後退する。

 そして、増援投擲部隊のもとへ辿り着くと、最大火力で足止めし、殲滅を図る。

 北畠の本陣が寄せて来たところを、左右に伏せていた伏兵で襲い掛かり、我々も突撃してとどめを刺した。


 特に、御曹子は、荷駄の馬20頭を集められ、俺達近習と騎馬隊を組まれて、北畠具教の本陣へ突撃された。

 降りかかる矢をものともせず、他の者を圧倒する速さで突撃し、そして、難なく北畠具教を討ち取って仕舞われた。

 御曹子の、言わば初陣で、これまで戦いの経験などないはずの御曹子が、歴戦の武者のごとく、いや、軍神のごとくだっ。

 そのまごうこと無き雄姿を、我らの目に焼付けたのだっ。



『はぁ、お方様にお詫びせねば。お方様に頼まれ、疾風様を、この身を挺してお護りすると誓ったのに、後を追うことしかできなかったと。』

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