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伊賀忍者に転移して、親孝行する。  作者: 風猫(ふーにゃん)
第二章 伊賀忍者 藤林疾風 戦国を行く。
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第10話 諸国行脚 見聞 野良田の戦い

 連休が終わってしまいましたので、明日からは、一日一回の投稿になるかも知れません。

 ご了解ください。

 浅井家は、長政の祖父の代に、北近江守護の京極家に対し下剋上を果たし、北近江の覇者となった。

 父の久政は、隣国の朝倉家と同盟を結び、南近江の守護 六角家と対峙した。

 その後、朝倉宗滴 亡きあとの朝倉家は頼りにならずと、六角家に従属し、息子の長政に六角家の重臣 平井定武の娘を娶らせた。

 しかし、六角家への従属に反対する、家中の声に押され、隠居して家督を長政に譲った。

 この年、浅井長政は15才。元服したばかりで、六角家からの嫁を離縁し、敵対を明らかにしていた。





永禄3(1560)年 8月14日 北近江野良田 藤林疾風



 数日前に、この地へ来て周辺の地形などを調べ、六角と浅井が布陣するであろう場所、そして俺達が潜む場所をここに決めた。


  事の起こりは、肥田城の高野瀬備前守が六角の冷遇に愛想を尽かし浅井に寝返ったことだ。

 それに怒った六角承禎が攻め寄せ、肥田城を囲み水攻めを行なった。


 城は愛知郡を流れる宇曽川の自然堤防上にあり、水攻めに適していると考えられたのであろう。

本格的に堤防を築いた水攻めとしては最初であり、豊臣秀吉の備中高松城の水攻めより23年も前だ。


 水攻めは、肥田城を囲み長さ6kmの堤防を築き、宇曽川の流れを止め、堤防内に水を引き込んだ。

 だが、堤が増水に耐えられず決壊して失敗した。


 そして今日、肥田城の高野瀬備前守の救援要請で、浅井長政が救援にやって来て、六角承禎が、これを迎え撃とうとしている。


 承禎率いる六角勢は25,000、初陣の浅井長政が、率いるのは11,000。数の上では、浅井軍が圧倒的に劣勢だ。


 両軍が、宇曽川を挟み対峙、睨み合いが続く中、業を煮やした浅井方の先方が川を渡河し、六角方の先方 蒲生軍に攻め掛った。

 両軍は、第一陣に続き第二陣を投入し、一進一退の攻防が続く。そして、疲れが出始めた頃、両軍の本陣に動きが見えた。


「才蔵、佐助。宇曽川の川面に、霧を張れっ。」

「はっ。(承知っ。)」

 二人が飛び出して行く。


 六角軍は、第三陣を浅井軍の右側面から当てて、浅井軍を押し込み始めた。

 その時、宇曽川の川面に薄っすら霧が立ち始め、それは六角の本陣からの、戦場の視界を遮るように広がった。


 そして、浅井の本陣から出た騎馬隊が、琵琶湖の湖側から迂回し、宇曽川を渡らんとしていた。

 これに、気づいた六角方の蒲生軍が、慌てて兵を当てようと動いたが、時既に遅し。

 宇曽川の霧を突き破って、浅井の騎馬隊が六角の本陣へ襲い掛かった。

 突然の本陣強襲に、六角は乱れ、そして敗走して行った。



✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣


 野良田の戦いから5日後、俺達は清須城にいた。

 信長は、先日桶狭間の戦場から姿を消した俺に、しかめっ面であったが、相模で北条幻庵に、甲斐で山本勘助に会ったことを話すと、呆れ顔に変わり、越前で見た猿楽の話を、興味津津(きょうみしんしん)で聴き入った。


 野良田の戦いについては、途中、霧が出たことだけを(はぶ)き、生々しい戦場の攻防を伝えた。

(隠したんじゃないよ、説明がいっぱいあったから、飛ばしただけだよ。)


 清須城に一晩厄介になり、濃姫様と侍女さんに、『お土産ですっ』と、鎌倉彫りの(かんざし)を渡したら、

 俺の夕餉の膳だけ、一品多かったのは秘密だ。

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