テレビに映っているのは
また新しい作品を作ってしまった。
突然だが俺、塩崎海は、恋愛とは無縁の人生を送ってきた。
俺の事が好きな人が現れたことも無ければ人を好きなったこともない。俺はこのまま恋愛など1度もしないでこの先も生きていくのかと思ったことすらある。
だがそれは高校に入って変わった。俺は人生で初めて“恋”と言うものをしてしまった。だけど今まで恋愛などした事など1度もない。と言うかこの気持ちが“恋”なのかも自分でもよく分からない。
ただただ無性にその相手のことを考えてしまうことが恋なのだろうか?それとも付き合いたい、ずっと一緒に居たいと思ったら恋なのだろうか?とにもかくにも自分でもよくわかっていないのだ。だけど今まで抱いたことの無い感情ということだけははっきりとわかる。
これは俺にもとうとう春が来た!という恋愛マンガのお約束のセリフはこういう事だったのか.....
――――――――――――――――――――――――
【今大人気のアイドル!甘井みつきちゃんに独占インタビューをしたいと思います!】
テレビをつけるとちょうど大人気アイドルのインタビューのコーナーが始まるところだった。テレビに映っているアイドルは髪にリボンのカチューシャをつけていて黒髪ロング、さすがアイドルと言った飾りが沢山着いている衣装を着ている。
「おにぃまたみつきお姉ちゃん出てるよ!?」
「すごい人気だな」
「ね〜」
両親は朝早くに仕事に行っていて居ないため、
中3の妹の塩崎泉と一緒に食パンをかじりながら話していると見慣れた顔の人がテレビに映っている。
さっきからテレビで人気アイドルと称されて、インタビューを受けている甘井みつきは、俺と泉の幼稚園からの幼なじみなのだ。家が隣で家族ぐるみの付き合いだ。
みつきは、俺と同い年で中学の頃一緒に買い物に行ってる時にスカウトされそこからどんどん有名になっていき、今ではテレビで見ない日はないほどの人気になっている。
確かに昔からやたらモテてはいたがここまで人気になるとは.....
「ごちそうさま〜」
「おにぃ行ってくるね」
「行ってら」
泉は食器を洗面台に置き椅子にかけてあったカバンを肩にかけて家を出ていった。
俺もそろそろ行かないとな、少し急ぎめにパンを口に入れてコップに注いであったお茶で流し込み何とか飲み込んで食器を洗面台に置いて、
みつきが映っているテレビを消してカバンを肩にかけてドアを開けてカチャッと鍵をかけた。
家から学校まではそう遠くないしのんびり歩いていると後ろから
「お〜い海〜」
と声をかけられた。後ろを振り返るとそこに居たのは
山寺里志、俺と同じクラスで中学から一緒の1番気が合う友達だ、
「おはよう里志」
里志は、茶髪で髪が短く身長も高くそこそこ女子にモテる。同じ制服を着ていてるはずなのにどうしてこう違うように見えるのだろう。
「今日もみつきちゃんテレビに出てたな」
「もうすっかり人気に物になっちゃったな〜」
「この会話毎日やってね?」
「テンプレってやつだな」
「今日はみつきちゃん来るのかな?」
「昨日も一昨日も休んでるんだし今日は来るんじゃね?」
やっぱテレビで引っ張りだこだからみつきは、全然学校に来れていない、みつき的にはもっと学校に来たいと言ってたんだけどやっぱ厳しいよな、
いつも通りの会話をしながら歩いているとまた後ろから
「おはよう海くん!里志くん!」
と声をかけられた。だがこの声は!俺の鼓動が急に早くなってきた。
「お、おはようあんこ」
「おはよ〜あんこちゃん」
そうこの元気な子こそ俺の初恋(多分)相手の紅葉あんこと言う女子生徒だ。同じクラスで誰とでも仲が良いフレンドリーな子だ。みつきとは違って茶髪のボブヘアー、十分テレビに出れそうな容姿も持っていて男子にすごい人気がある。
「今日もみつきちゃんテレビに出てたね〜」
「あんこそれ二回目」
「あんこちゃんそれ二回目」
俺と里志が口をそろえてそう言うとあんこはクスリと笑みを浮かべた。
この笑顔可愛すぎでは!?テレビに出てるアイドルなんて目じゃないんだけど!
結局、俺と里志とあんこの3人で学校に行くことになって3人で教室に入るとテレビでは見ていたが現実で会うのは久しぶりな幼なじみがクラスの女子生徒と話していた。
幼なじみがアイドルって.....