第1話 日常
「ふーあ、久しぶりに見たな…あの夢。とりあえず顔洗お」
階段を下りて洗面台で顔を洗いリビングに行く
「おはよございます。母さん」
「あら、今日は早いわね。おはよう樹君」
目の前にいるのは俺の母、松永 皐月だ。
「久しぶりに前に言った夢をみたんだ。それで早く目が覚めちゃって。」
あまり母にこの話をしたくなかった。
何故ならこの夢の話をすると母は凄い悲しそうで心配そうな顔をするからだ。
「そうなんだね。身体とかは特に異常はない?」
と真剣な顔で聞いてくる
「大丈夫、特にないよ。」
わざわざこうして母が心配するのは理由がある。
4歳から5歳の時にかけてすごく重い病気にかかってて生死の境をさ迷ってたそうだ。
そうだと言うのは、俺はこの当時の記憶がほぼ無い。
覚えてる事は気づいたら病院のベッドにいて
母さんが泣いて抱きついて来たことぐらいだ。
「なら安心ね。違和感感じたら言うのよ」
「うい」
「起きたならついでならついでに紗奈を起こしに言ってあげて朝ごはん出来たから。」
「え、ヤダよ…あいつ起きないし、起こしたら殴られる…母さん起こしに行ってよ。」
「私は今から達也さんを起こしに行くのよ。」
「はぁ…わかったよ。起こしにいくよ。」
――――
というわけで紗奈の部屋の前に来てノックしても返事がないわけで…
「おーい、紗奈ー朝飯だから起きろー」
返事が無いタダの屍のようだ…
「ふざけてないで起こすか」
「起きないのが悪いんだからな、入るぞー」
ガチャ
「おい、紗奈おきへヴォ!?」
いきなり枕が凄い勢いで飛んできた。
「勝手に入るな。それに私はヘボくない。」
この理不尽かつ、よく分からない聞き間違いをして無表情を通してる女は松永 紗奈俺と同い年の義理の兄妹だ。
「ふざけんな!ノックしたし声掛けたしヘボとか言ってないし!でも確かに身長はヘボいよな!お前」
憂さ晴らしに、紗奈が最も気にしてる身長の事を指摘した。
ショートボブで身内からしても可愛いと思うが如何せん身長が145cmとチビで基本無表情だ。
「気にしてない。タダ身長がもっと欲しいだけ」
「ハイハイ。とりあえず飯だから早くしろこっちはかなり腹減ってるんだから」
「やだ。まだ勝手に入った事の土下座の謝罪を受けてない」
「理不尽すぎ!ハイハイ俺が悪かったから早く来い。」
「お腹空いたから適当の謝罪は許してあげる。」
「ワーア、ヤサシイナー」
「顔洗いに下降りるから、どいて。」
「あいよ。てか、先に下に降りてるわー、早くしろよー」
よし!やっと飯だ。無駄に疲れた…