青年
僕は生まれつき心臓が悪くてずっと入院していたんだ。
僕にとっては、そのみんなが家族みたいなものだった。
だけど、みんなは数ヶ月か数年すると居なくなってしまった。
当然だよね、みんな少し入院するだけだから。
けれど、それが僕にとってはとても悲しくて辛いことだった。
あぁ、どうして僕はみんなと一緒にいられないんだろう。
どうして、僕はみんなと違うんだろう。
どうして、僕はこの大きな大きな箱の中から出ることができないんだろう。
いつしか僕はこんな事ばかり考えるようになっていたんだ。
そんなある日僕と仲が良かったやつが死んだ。
ねぇ、知ってる?
死んだ人は骨しか残らないんだよ。
そして、どこにもいかないんだよ。
だって、動けないから。
その時俺は気づいたんだよね…
永遠に動けなければ、僕とずっと一緒にいられる
ってことに。
我ながら名案を思いついたって思った。
ねぇ、君も名案だと思うよね。
だから僕はこの日からとある計画を立て始めたんだ。
そしてその計画は上手くいったんだ。
火事を起こすという計画は。
そこまでは良かったんだ。
けれど、予想外のことが起きた。
夜中に火を数カ所につけて回ったのに、逃げてしまった人がいたんだ。
さらに死んでくれた人たちの死体が回収されてしまった。
それで結局僕はひとりぼっちになってしまった。
話を聞いてくれてありがとう。
久しぶりに話せて楽しかった。
そうだ、よければ僕の家を案内するよ。
どうかな?