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第一話 始まりの日
僕は人間から「黒いほう」と呼ばれる。
僕には兄弟がいて、
そいつは雪のように白く、僕は夜空のように黒いから。
もちろん人間は兄弟を「白いほう」と呼ぶのだけど。
「知ってるかい?兄弟」
白いほうは、僕に云った。
「何を?」
「俺たちはもうすぐ貰われていくんだぜ」
「どういうこと?」
ひっそりとした絶望感が僕の肩を叩く。
「ママが言ってたんだけど、人間どもが俺たちを連れて行くのさ」
白いほうはしれっと云う。
「ママとも兄弟とも離れるなんて・・・」
僕は寂しくて涙ぐんだ。
「犬の運命ってやつさ。こんなことで泣いてたら生きていけんよ」
白いほうは背を向けて、キザにきめたけど、
本当は泣いているのではないかと思うのです。
(理由はありませんが、しいて言うなら兄弟のセンセーションでしょうか)
「じゃあ、なんでママはどこにも行かないの?」
「さあな、人間のお気に入りなんだろう」
白いほうは、ぶっきらぼうに云ったが、
その声はどこか寂しく、
声は震えていたのです。