第52話 突然の変化
授業後、校長先生から呼び出された
もちろん、シュルスターも同行だ
「フォフォ、凄いことをしてくれたな」
「あれで、凄いんですか?」
「自覚がないのか、お主は?あれだけの実力があるのに・・・」
シュルスターもコクコクと頷く
「いや、確かに強くなりたいとは思ったことはありますけど、別に世界最強を目指したわけじゃないですし」
以前にもこんなセリフ言ったような・・・
「まあ、よい。いずれにせよ、お主の力は底が知れないという事が分かった。また、とんでもない魔法を使う可能性も否定できん」
それは、自分でも何となく分かってますけど
それにしたって、今回の授業で分かったのは
生徒の戦術が明らかに単純
パターン化されていて、動きが読みやすかった
さらには、詠唱魔法を唱えている
つまり、敵にこの魔法を出しますよと言っているのと同じ
これでは、冒険者や他の職に就けるかどうか先行きが不透明なままになってしまう
さすがに、校長先生も気付いているはずだ
「それでじゃな、リーヴェル。さっき、ジェンク先生のところへ行って話をしていての、どうやら辞めることを決めたそうじゃ・・・」
「え!?療養中でですか?」
「儂も最初はビックリしたわい。じゃが、彼の決意は本物じゃった」
「それで、承認されたんですか?」
「儂もまだチャンスはあるぞと促したんじゃが、決意は固かった。いくら説得しても無駄じゃった」
そんな、そんなあっさりと辞めるなんて
もったいない
「じゃあ、担任は誰になるんですか?」
「ほかならぬお主に決まっておるではないか」
「ぼ、僕ですか!?」
「というのは、冗談じゃ。お主は冒険者をしている身じゃからの、無理強いはせん。じゃが、新しい担任が見つかるまでの間、Sクラスの臨時講師をしてほしいのじゃ」
「それでしたら、何とか」
「すまんの。来てもらって早々、こんなトラブルになるとはの・・・」
「いえ、校長先生のせいではありませんよ」
「そうだ、リーヴェルの言う通りだぞ」
「おろ?お主いつからそこにおったのじゃ?」
「この部屋に入った時からだよ!」
まるで漫才のようなツッコミだ
「フォフォ、冗談じゃ。しかし、お主のその顔どうにかならんかの?」
「顔・・・?」
「そう、魔族特有の紋様が出ていて、先の襲撃事件で魔族を嫌う者が続出しているとの噂もあるのじゃ。その格好のままだと、命を狙われかねんぞ」
どうやら、シュルスターの身を心配しているみたいだ
「変装は出来んのか?」
「やれといえば、できる」
「では、人間の姿にはなれるか?」
勿論と言って
ボンッと煙を出して
なかなかのイケメンの格好になっている
「おお、いいじゃないか」
「儂も同感じゃ」
「そ、そうか?」
少し照れてるな
「シュルスターといったかの?お主はリーヴェルと共に行動したいと言っていたな。すまぬが、さっきも言った通り、新しい担任が見つかるまでは彼に講師として務めてもらわねばならん。その間、お主はどうするんじゃ?」
「そうか、そこまでは考えてなかったぜ・・・」
「いや、考えろよ」
「魔王と一緒に行動するのは?」
「それはいくら何でも恐れ多いぜ」
「いやいや、魔王と一緒にこの国に来たんだろ?今更、何言ってるんだよ」
「それとこれとは別だ」
「じゃあ、変装解いて人間たちにボコボコにされるのが本望か?」
「お前、喧嘩売ってるのか?」
「はは、冗談だよ。ともかく、しばらくの間、僕は講師としての務めもあるし、なかなかお前との行動は難しいだろう」
「そうだよな・・・、ならば、魔王様にもこの事情を話すべきだな・・・」
「その方がいいだろう」
「決まったようじゃな」
同時に、次の授業の鐘が鳴る
「じゃあ、授業があるから、これで」
「ああ、またな」
教室に入る前に
「さて、ジェンク先生が辞めることを先に言っておいた方がよさそうかな」
自分で問いかけてみる
彼らがどういうかは分からないが、それでも、受け入れてもらうしかない
そう決心して、教室に入る
が、カシュトの姿が見えない
どこに行ったんだ?
それはともかく、何だか様子が変だ
皆、目が輝いてる・・・
「じゃあ、はじめま―」
「「「「「「「すみませんでした!!!!!!」」」」」」」
皆が一斉に深く頭を下げて謝ってくる
「おわっ!?」
当然、僕は驚いた
「ど、どうしたの、急に?」
「私たち、リーヴェルさんの行動に感激しましたわ!」
「うん、俺でもあんな行動はできねぇな」
「私もリーヴェルさんのこと見習わないとって思った」
何か、思いっきり心が入れ替わったように明るくなってる
「いや、当然の事をしたまでなんだけど」
「それが素晴らしいんですの!私、決めました。卒業後に、是非私をリーヴェルさんのパーティーに入れてくださいまし!」
ちょっ!?
いきなり!?
「俺も入れてくれ!
「私も!」
皆が同じようなことを言ってくる
「静粛に!」
大きい声で黙らせる
「君たちの考えは分かった。だけど、そんなあっさりとした決意でいいのかと疑問に思うよ?だって、君たちは自分がなりたい職業を目指すためにこの学校に通ってるんじゃないのか?その夢を捨てて、僕のパーティーに入りたいっていうのはおかしい。簡単に夢を捨てるもんじゃない!」
バンと教壇を叩く
「だから、君達の決意には僕は反対だ」
「ダメですの?」
「ダメに決まってるじゃないか」
「どうしても・・・?」
と涙目で訴えてくるエリエルたち
このままだと埒が明かない
「じゃあ、宿題としようか」
「宿題ですの・・・?」
「うん、今の君たちの考え、本当にそれでいいのかってじっくり考えてきなさい。期間は・・・、そうだな、3日間の猶予を与える。それまでに、じっくり考えるなり、両親の考えを聞くなりといろいろある。そこから、自分の本当の答えを導いて、僕に聞かせてほしい」
「分かりましたわ」
「おい、エリエル。いいのかよ」
「だって、先生は私たちの事を心配してくれているんですのよ?それを無下に出来ませんわ」
「確かに、先生の言う通り、私たちは考えが浅すぎたのかもね・・・」
他の生徒も同様の意見が次々と出てきた
「分かってくれたなら、それでいい。じゃあ、授業始めるぞ」
僕自身の臨時講師としての最初の授業が始まった
どうも、茂美坂 時治です
リーヴェル、大忙しになりました




