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第3話 森の主

翌日、魔力の底上げそやってみようと思ったけど、具体的にどうすればいいんだ?それが分からなければ、魔法の威力は頭打ちになってしまう。それだけは絶対避けたい。


そうだ、父さんに聞いてみよう。


「魔力の底上げか。懐かしいな。」

「知ってるの?」

「知ってるも何も、俺は警備局に入りたての頃に魔力の底上げを教わったからな。一言でいえば、地獄だ。」

「・・・へ、へぇー・・・。」

「何だその顔は?やりたくないのか?」

「やりたくないといえばウソになる。でも、魔力の底上げでそれ以外に簡単な方法はないのかと思って。」

「バカヤロー!!そんな方法があったら、みんなそうしてるわ。世の中を甘く見るな!」


父さんの言ってることはごもっともだ。

極めるためには必要不可欠。

ならば、それを教えてほしい。



「僕にそれを教えてください。」と土下座。

「ほう、途中でやっぱ無理とかもうやめてとか弱音を吐かないことを誓うか?」

「誓います。なので、魔力の底上げの方法を僕に・・・。」

「分かった。今から、山に行くぞ。」

「・・・へ?」

「鳩が豆鉄砲を食ったような顔するな。さっさと行くぞ。」



そう言われてやってきたのは、僕がいつも修行に使っている山のふもとにある大きな岩の前だ。


「よし、ここで始めるぞ。」

「まずは、何をすれば?」

「魔力を空にしろ。」

「・・・は、はい?」

「お前の魔力を魔法を使って空っぽにするんだ。」

「それって、何の意味が・・・?」

「つべこべ言うな。始めろ。」


まずは説明してくれって言いたいけど、言われるがままに無詠唱で魔法をバンバン使って、体内の魔力を空にした。この状態の体って、すごくだるい。


「・・・はぁ、はぁ・・・。つ、次は何を・・・、すれば・・・。」

「その状態から、魔法を使う感覚を続けさせるんだ。」

いやいや、だるいのに魔法を使う感覚って、頭いかれてんのか?

僕の嫌々そうな顔を見て父さんは鬼の形相をして、

「さっさとやれ!」と怒鳴り散らす。

「ヒィ!」


しばらく続けて、

「こ・・・これ、思った以上に・・・、きつい。こ、これ以上は・・・。」

「おい、リーヴェル。ここに来る前、俺言ったよな。無理とかやめてとかは言わないと誓うかって。それを言うなら、お前の心はその程度ってことだ。諦めるなら、罰として3日間飯抜きにするからな。」

「え・・・?そ、それだけは・・・、勘弁・・・し、してください・・・。」

「だったら、俺がそこまでというまで続けろ。」


か、完全に鬼だ。



「よし、そこまで!」

かれこれ30分以上体を酷使続けた。


「どうだ、きついだろ。」

「と・・・、父・・・さん、き・・・、きついを・・・通り越して・・・は・・・吐きそう。」

「最初はそんなもんだ。俺は初めてこの修行した日は吐いたけどな。」

「は・・・、はは・・・。」

「今の状態では、指を動かすのがやっとだろ。しばらく、休め。」

「う・・・ん、そう・・・する・・・。」


酷使したせいか、急に睡魔が襲う。




目を覚ましたには、夕刻だ。


「・・・え?僕、こんなに長く寝てたの?」

「やっと起きたか、リーヴェル。もう、体を起こしても大丈夫だ。」

体を起こしてみると、違和感を感じる

「あれ?そういえば、体が軽くなった気がする。」

「そりゃ、しっかり休息をとったら楽になるわ。」

「さっきは、あんなにしんどかったのに、どうして?」

「それは、体が強くなったからだ。魔力は、エネルギーみたいなもんだ。エネルギーを使い果たせば、当然疲れる。魔力も同様にな。その状態から休息をとれば、疲れが回復して、同時に魔力の許容範囲も広まる。つまり、魔力量が増えるという事だ。」


そうか、筋トレをした後に休息をとれば、運動前よりも強くなる“超回復”と同じ原理か。

これを長く、いや一生続ければ魔力も鍛えられて自分の体も強くなれる。まさに、一石二鳥だ。



「一つ聞きたいことがあるんだが、お前が使ってた魔法は詠唱してなかったよな。」

「うん、無詠唱で魔法が使えるようになったんだ。」


そう言うと、父さんは僕の肩をガッチリ掴んで目をキラキラさせながら、

「どうやって、無詠唱を成功させたんだ?」

「簡単だよ、詠唱で出した魔法の形を覚えて、そこから覚えた形を意識して、手に魔力を集中させながら解き放つんだ。」

「形を覚える・・・か。それは、考えてもみなかった。」

「どうして?」

「無詠唱の研究は長年続いていてな、さっきお前が言った手に魔力を集中させるのは立証済みなんだが、自分が思っていた魔法ができなかったってのが大きな壁となってたんだ。」

「え?じゃあ、魔法書に詠唱だけが載っていたのもそれが原因で?」

「恐らくだけどな。」

「ふーん。あ・・・。」

「何だ、まだあるのか?」

「いや、今父さんの話を聞いて思ったんたけどさ、属性の特徴も知っていれば無詠唱が使えるんじゃないかなって。」

「そういや、魔法書にも属性の種類しかなかったな。その手もあったか。さすが・・・。」



バキィッ!


背後から木の枝が折れる音がした。

それにこの魔力の感じ、人間じゃない。



「父さん・・・。」

「ああ、こりゃ魔物だな。」


「グルルルルルウゥゥウ・・・。」


不快な声を出しながら、確実にこちらに向かっている


振り返ると、体調5メートル以上はあるような巨大な熊が近づいている。


「ブ、ブラックベア!?なんでこんなところに?冬眠してるはずじゃないのか?」

父さんは、異様な光景に叫ぶ


この世界の熊も、冬眠するんだな。

・・・じゃなくて!

今は、目の前の状況を把握することだ。

涎を垂らしながら、一歩、また一歩と重い足音を響かせる。

「父さん、多分冬眠に必要な食料を十分に食べれなかったんじゃ。」

「この状況で、よくそんな判断ができるな。」

「ここは、僕が戦う。」

「バッ、齢八つのお前がアレと戦うってか?無理だ、すぐに逃げろ!」

「逃げたとしてアレから逃げ切れると思う?」

「・・・・・・不可能だ。」

「ね?それに、これまでの鍛錬の成果がどれほどなのか試してみたいんだ。」



父さんは、苦虫を嚙み潰したような顔をしながらも

「・・・分かった。だが、無理だとわかったら俺と一緒にあいつを倒すんだ。」

「了解。」



僕の初の実戦は巨大熊との戦いだ。

怖い気持ちが前面に出るが、魔法があるから何だか落ち着いていられる。

襲われる前に身体強化魔法をかける。


相手との距離は10メートルくらいか。間合いとしては十分だ。


「ゴアアアアアァアアァ!!!」

ブラックベアが突進してきた。


僕は余裕で左にかわし、ブラックベアは僕の後ろにあった木に思いっきりぶつかる。

そのすきに、魔法書にはなかった僕のオリジナルの魔法ウィンドブレード(風刃)で奴のすべての足を切り落とす。


「ゴアアアアアァアアァアアアアア!!!」

ブラックベアの悲痛な叫びが森中に響く。

僕は躊躇なくジャンプし、上から狙いを定めて、もう一度ウィンドブレードを出して奴の首を飛ばす。


「討伐完了。」


父さんは、口をあんぐりとしたまま動かない。

「父さん、どうした?」

「・・・あ、いや。まさか10秒足らずでブラックベアを倒すとはな。正直驚いた。これなら、冒険者となってもおかしくないと俺は思うがな。」


冒険者か。確かに、冒険者になるならこういった魔物と対峙する機会も増えるはずだ。依頼を受けて、魔法という武器を使って討伐し依頼完了で報酬をもらう。自分に合った職業かもしれないと今気づいた。


「父さん、僕決めた。」

「何をだ?」

「15歳になったら、冒険者になる。」

「そうか、決心したか。帰ったら、村長に報告しろよ。」

「うん。じゃ、これ持って帰るか。」

「持って帰るって、お前ここには二人しかいないんだぞ?どうやって・・・。」

「大丈夫だよ。」

と僕は、収納魔法アイテムボックスを開いて、ブラックベアの頭、胴体、手首をすべて回収。


「なっ・・・!こんな魔法聞いたことないぞ。お前が編み出したのか?」

「違うよ、魔法書に書かれていたんだ。無属性のページに。」

「俺、無属性の部分あまり読んでなかったからな。あまり使えそうなもんはない。」


それは、僕も同感だ。


こうして、父さんとの修行初日は騒がしい一日となった。



どうも、茂美坂 時治です

10秒足らずで熊を倒すとは、さすがリーヴェルという感じですね。

これからのリーヴェルの活躍、期待してください。


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