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第2話 再会と検証

村長からの命を受けてから3か月が過ぎ、サイロン村に冬がやってきた。

自然災害などで不作が続いていたが、秋になってようやく落ち着き冬に蓄える食料も何とか確保できる状態となっていた。当然僕は、魔法の習得に励んでいる

そして冬には僕にとってもう一つの楽しみがある。


「今戻ったぞ!」


家の暖炉でくつろいでいたら、聞き覚えのある声が。

父さんが王都から帰ってきた。


「おかえり、父さん。」

「おお、リーヴェル。また大きくなったな。父さんは嬉しいぞ。」

「あなた、おかえりなさい。」

「ネーリム、しばらく帰れなくてすまない。心配をかけてしまったのではと不安だったんだ。」

「何を言いますか。ここの村は基本的に不安なことはありませんよ。それに、この子も人一倍頑張ってるんですから。」

「何を頑張ってるんだ、リーヴェル?」


僕は村長から魔法を極めよと言われるまでの顛末を話した。


「そうか、3日で20冊の魔法書を読破したか。父さんは1日1冊が限界だな。」

「父さんも魔法書を読んだの?」

「そうだ。ここにある魔法書と王都にある魔法書も読んだ。俺は、その知識を役に立てたいがために警備局に入ったんだ。」



父カヴェリアの職業、それは王族直轄の警備局で働いている。前世でいう国家公務員のようなものだ。

普通は、王族や貴族しか入れないのだとか。なぜ、村人だった父さんがそんなすごい仕事に入れたのか。

その顛末を話してくれた。


この世界では、15歳になったら成人になる。

父は、成人になる前に王都からやってきた貴族たちが山賊に襲われていたところを習得していた魔法を使って助けた。

しかも、その貴族は偶然にも警備局に勤めている人だった。貴族は、父の能力を見抜きお礼と引き換えに警備局に入らないかという誘いを受けた。

しかし、村長たちは猛反対。

父は、次期村長候補となっていたからだ。

本当は村長の跡継ぎがいたのだが、幼くして病で亡くなった。


サイロン村の人々のほとんどは、魔法は使えない。

だからこそ、魔法が使える父が次期村長に相応しいと皆の声が上がったのだ。

が、父はそれを頑なに断る。

何故断ったのか?

それは、自分は王都で働きたいと前々から決めていたのだ。

当然村長は激怒していたが、父の強い思いに負け王都で働くことを許し今に至る。


「・・・・・・。」

「どうしたリーヴェル。そんなに固まって。」

「壮絶だったんだね。何だか、父さんを労いたくなってきた。」

「ありがとう。でも、お前の顔が見れるのが何よりの労いでもあり癒しでもあるんだ。」

「そ、そう。」

僕は父の言葉に少し顔を恥じらせる。



翌日、僕は村の山で魔法を極める修行を再開。

これまでは詠唱魔法だったが、今日は無詠唱を検証する日だ。


魔法の属性は、火・水・風・土・雷・光・闇・無の8つ


僕は全ての属性が使えることが分かった。これって、チートなんじゃないのか?



それはさておき、まずは簡単なファイアーボール(火球)を使って検証だ。


詠唱では、

「火よ 我の声に応えたまえ 願いしは火を操る球 顕現せよ!」

だったが、いちいちこんな言葉を発するのは正直面倒くさいし、恥ずかしい。


しかし、今日は検証だ。一応さっきのことばを使ってファイアーボールを出す。

手のひらに現れたのは、卓球サイズの火球。



今度は、無詠唱を使ってみる。

が、ここで一つの問題が出る。

詠唱では魔力を込める感覚があったんだが、無詠唱ではどうすればいいのか分からない。

考えるだけ時間の無駄だと思い、まずはファイアーボールをイメージ。

さっきのは、ボールのような滑らかな球だった。

その形を意識する。

今度は、魔力を手に集中することはできるか確かめる。

これも、右手だけに意識して魔力を込める。

詠唱での感覚と同じだ。

いける!


この2つの事柄を右手に集中させ解き放つ。



ボンッ!!


と大きな爆発音が森中に響く。

手のひらに浮いてるのは、バスケットボールよりも大きめの火球。


「で、できたーーーーー!!!!」

本当に無詠唱で魔法が使えることが分かった。



火球を消すと、一気に体がぐったりする。

先ほどの魔法でほとんどの魔力を消費したからだ。


右手に魔力を集中させ過ぎたのが原因だ。

次からは、うまく調整できるかもやってみよう。



夕方、修行を終えた僕は風呂に入り、鏡に映った僕を見つめる。


父さんの言葉を思い出す

「お前の顔は何よりの癒しだ。」



そんなに癒しになるのかな?

まぁ、童顔なのは否定しないけど。



就寝前、僕は今日の修行のことを考える。

あの時、無詠唱のファイアーボールがほとんどの魔力を使ってしまった。

魔力をうまくコントロールできたら、何発でも放てるかもしれないけど、体内の魔力にも限界がある。

そこから生まれた疑問は

自分の魔力の底上げは可能かと。


明日、実際にやってみよう。


どうも、茂美坂 時治ですです。

執筆して分かったのですがリーヴェルの父さん、少し危ない雰囲気が漂っているようですね。


もしかしたら、リーヴェルが父さんに襲われているところを書いちゃったり(笑)

まあ、温かい目で見守っていただければ幸いです。


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