第192話 リーヴェルとサタン その7
1時間後
僕たちの番が来た
「これはこれは、親子で来たのですか?」
「いえ、そうではありません…」
「ほう、余計な詮索はやめておきましょう。それで、どのような懺悔ですか?」
「懺悔ではありません。村に貼ってあった悪魔退治募集のビラを見て来たんです」
「そうでしたか。何故、悪魔退治をしようと?」
そうだよな
理由を尋ねるのは尤もだ
うまく躱すのが一番だけど、見苦しい言い訳はより疑われる
なので
「興味があって来ました」
「その興味とは?」
「悪魔がどんな姿なのか、そしてどのように退治するのかを目に焼き付けて、もし可能であればこの教会に入ろうと」
そう言った時だ
教団の者たちが武器を構えた
「見え透いた嘘を言っても無駄ですよ。君の心は淀んでいる」
こういうのは、悪の教祖が言うセリフだから想定内
ジリジリと僕の方へ詰め寄ってくる
「何か、言い残すことはあるかな?」
「今、この場で悪魔を召喚してください」
その言葉に、この場の空気が一気に静まった
「何と…言ったかな?」
額に脂汗を大量に掻いている教祖
この反応は…やはり
「悪魔がごく自然と人間界に現れることはまずない事は確定。人間界・天界・魔界の三位一体には強力な結界が張られているのもまた然り。それを打ち崩す存在が、人間が作った召喚魔法。悪魔退治者募集となれば、悪魔を召喚して倒すことが必須条件。しかし、それは表向きの話。裏の顔は、悪魔退治と称して遊び半分で悪魔をいたぶって殺し、優越感に浸る快感を得ている愚者たちの集まりだ。教祖様が垂らしている醜い汗が何よりの証拠。反論があればどうぞ」
やっぱり、父さんが集めた本を読んでおいてよかった~
こいつ、何故悪魔の事をここまで知っている?
まさか、我らを討つためによこした反教団の使者か何かか
いずれにしても、生かしておくわけにはいかない
「このガキを殺せ!!」
あらあら、敵意をむき出しにしますか…
「そんなことよりも、周りの状況をご覧になられてはどうです?」
「…え?」
教祖が見たのは、怒りを露わにした民衆だ
「俺たちを騙したのか!!?」
「金を返せ!!」
「うちの子供たちも返して!!」
こうなってしまったからには、教祖が手を打てる方法はただ一つ
「ここにいるを全員殺せ!!生かして返すな!!」
教祖を崇拝する教徒たちが武器を構える
「させるか!!」
僕は攻撃1秒前に全ての武器を粉砕
「う、嘘…だろ…?」
「このガキ、何なんだよ!?」
これには、教徒たちも唖然や狼狽する
そのスキを見逃さず、全員を鉄拳制裁
残るは教祖のみとなった
どうも、茂美坂 時治です。
リーヴェル、やはり強いです。




