第169話 揉め事
2日後
主要メンバーが揃った
「シュルスター、久しぶりですね」
「おう、レモット!お前と組むなんて初めての事だぜ」
「あれ?50年位前に、組んでた記憶があるんですがね…」
「そうか?」
どうやら、シュルスターは記憶を思い出すのが苦手と見た
「ベル君、私に頼むことってやっぱり金が絡んでるから?」
「僕自身で調査をしてもいいんだけど、その辺りは疎い部分もあるからね。ここはやっぱり、エキスパートのシーナさんに頼むのが筋だよ」
「そういうことなら、任せて。まずはどこから調べたらいいかな?」
「依頼者のいる孤児院から」
「それで、私たちは?」
ジュリーとトリッシュは初めての参加なので、少し戸惑っている
「実は、この地区の組合長がネピアさんと仲がいいと聞いてね。君たちには、その人と会って、ネピアさんがどんな人物なのか聞き出してほしいんだ」
「ベル君ではダメなの?」
「ダメという訳ではないんだけど、貴族になりたての僕に簡単に本音を告げるとは思えないんだよね」
「それで、私たち王族ならば口を割るはずだと?」
「うん。お願いできる?」
「水臭いですよ、まったく。遠慮はいりませんから、こういう時は頼ってくださいね」
「ホントよ。ベル君って、いつも自分だけで解決しようとするんだから」
「すみません…」
「といっても、私たちも王女だから、多少なめられる可能性もあるわ」
「ですが、そこで挫けてしまっては王族の名折れ」
「ちゃんと聞きだしてくるから!」
何やら、やる気のオーラがメラメラと燃えている
大丈夫かな…
さて、僕は僕なりに調査を始めましょうか
探知魔法を使うと、至る所に魔力探知機が付けられているけど、どれも劣化が激しい状態だ
修理に出す費用がないのか?それともやはり…
しばらく探索していると、検問所で何やらもめているのが見えた
「ですから、押されている印ではここは通れません」
「俺はちゃんと確認したぞ!!この印なら絶対通れるってな!」
「はいはい、その辺にしましょうか」
僕が割って入る
「んだ、てめえは!?関係ねえ奴はひっこんでな!」
「ちょっと見せてもらってもいいですか?」
僕は男性が持つ通行証の印を見る
「これ、通れますよ?」
「え!?本当か!?」
「いえいえ、これではダメです!」
門番が頑なだ
「妙ですね、国が定めた法では、通行証に押される印はこの一つのみとされてるんです。つまり、あなたはその法に反するということになりますが?」
「一般人が、そんな綺麗事を言っても私には通用しませんよ」
「では、これを見ても僕は一般人とでも?」
懐から取り出したのは、男性と同じの通行証だ
「り、リーヴェル・ジェスナー…?って、まさかあの大公爵の!?」
「そのまさかですよ。僕がその本人ですから」
ガタガタと体を震わせて、土下座をした
「み、見逃してください!!ある人からこれ以上積み荷を増やすなって言われてて!」
「ある人って?」
「それは…、言えません…」
「そうですかって、簡単に見逃すわけにもいかないんですよね」
「話すことなら、何でも話します!なので、命だけは!」
何でもとは、大胆に言ったな
「では、あとでたっぷりとお聞かせ願いましょうか」
スパイダー・バードを呼んで、門番を拘束し、レモットの住むアパートの一室に連れていくよう指示
「り、リーヴェルさん…」
先ほどの男性が、門番同様に土下座をした
「大変、申し訳ありませんでした!!知らなかったとはいえ、あなたに無礼な態度をとってしまった。どんな罰をも受けます!!」
覚悟があっての土下座
「あなたの覚悟、理解しました。でも、罰は与えません」
「そんな!?」
「代わりに、僕に協力してもらえませんか?」
「と、仰ると…?」
僕はここにきた経緯を話す
「それを、俺が協力しても?」
「もちろんです」
男性はぱっと明るくなり
「不肖、エルゼン・ドグラス!リーヴェル・ジェスナーさんにどこまでもついていきます!!」
んん?
仲間に入るってことでいいのかな?
どうも、茂美坂 時治です
貴族としての存在感が微妙なリーヴェルです




