第15話 お泊り
この回は、ちょっとエッチな表現が含まれています
苦手な方はご遠慮ください
まさか、警備局の建物自体が公爵家の屋敷とは思ってもみなかった
中に入るやすぐにムーリットさんと目が合う
「お、リーヴェル君。ここにまた来たってことは何か分かったのか?」
「違いますよ、お父様」
シーナさんが一から説明する
「そうか、君には借りがあるからな。ゆっくり休んでいってくれ」
借り?僕ムーリットさんに借りのあるようなことをした覚えがないんだけど・・・
「それと、お父様・・・」
シーナさんがムーリットさんの耳元でぼそぼそと話す
何か嫌な予感しかしないのは気のせいかな?
「それじゃ、私は部屋に戻ります。リーヴェル君、またね」
「あ、うん・・・」
シーナさんは鼻歌を歌いながら階段を上る
「さて、ミルス。彼を部屋まで案内してやってくれ」
「かしこまりました」
長身のいい感じに年を取った執事服の男性がこちらに来る
「執事のミルス・ハーデと申します。以後、お見知りおきを」
「リーヴェル・ジェスナーです。何か、成り行きでこうなってしまってすみません」
「いえいえ、シーナお嬢様がこうしてお客様を屋敷に招き入れるのは初めてですので、私や旦那様としても喜ばしい事です」
「そうなんですか!?」
「はい、お嬢様は元々人との付き合いが苦手な方で、通われていた学校でも友達を作ることはございませんでした。それに、お嬢様には許嫁もいらっしゃったのですが、その婚約も断固拒否なさいました。それゆえ、お嬢様に婚約者はおりません。しかし、旦那様の警備局で働いている姿を見て、『私もお父様のようになりたい』と自ら苦手だった人づきあいを克服なされ、今では誰とでも話せるようにまでになりました」
初めて会ったときはそんな雰囲気はなかったけど、苦労してここまで来たんだ
すごい努力家だ
「ただ、話せるようになったものの、婚約の話になるとお嬢様の態度は一変します。『二度と婚約の話は持ち込まないで』と激怒され、今では禁句となりました」
「それは、大変ですね」
「旦那様も頭を悩ませております。どうすれば、お嬢様は婚約の話を受け入れてくれるのかと」
どうして、婚約の話になると頑なに断るんだ?何らかの理由があるのだろう
「ですが、今日のリーヴェル様の姿を見て、お嬢様は一目惚れしたのでしょう」
「・・・は、はい?」
シーナさんが僕に・・・一目惚れ?
「カヴェリア様と一緒に初めてここに来られましたよね」
「はい、ギルド入所申請書をここで受け取る必要があると父から」
「発行されて、警備局を去られた後も、お嬢様は『リーヴェル君、リーヴェル君・・・』とあなたの名前を連呼されていました」
一瞬ゾクッと身震いする
「お嬢様があなたを屋敷に招いたのもそれが理由だと私は思っています」
「じゃあ、ムーリットさんが借りと言っていたのも」
「左様にございます」
でも、それって借りといえるほどのことかな?
借りとは違うと思うけどな
「長話をしてしまって申し訳ありません。お部屋を案内いたします」
案内された部屋は2階の208号室
中に入ると、高級ホテルのような空間が広がっている
「うわぁ、すごい」
「ここが、リーヴェル様がお泊りになる部屋にございます」
「平民の僕には贅沢すぎる」
「そう仰らずに、ゆっくりとおくつろぎください」
「はぁ」
「では、私はここで失礼いたします。何かありましたら、ドアの前の机に置いてありますベルをお鳴らし下さい。いつでも私や他の使用人たちが対応いたします」
「あの、一つ聞きたいことがあるんですけど」
「何なりと」
「浴室はありますか?」
この部屋に入って見る限り、トイレはあるけどバスタブがない
「ございますよ。3階に大浴場がありますので、ご自由にお使いください。もちろん、男女別となっております」
それを聞いて一安心
ミルスさんが部屋を出て行ったあと、ベッドに寝転ぶ
すごいフカフカだ
村にいた時のベッドとは格別だ
「・・・それにしても、忙しい1日だったな」
王都に来て、女と間違われるのが2回あって、警備局で申請書の発行、ギルド登録でSSSランクと分かり、マスターから依頼を受けて、子爵の屋敷で話を聞き、森で妖精と出会っていきなり主従関係を持ち、襲撃者もといSランク冒険者パーティーを撃退、図書館で子爵の元婚約者の妹さんと出会って、シーナさんとも協力していろんなことが分かって、今に至る
かなりのハードスケジュールで、もうヘトヘトだ
早く風呂入って疲れを取ろ
男子風呂に入ると
「すごい、こんなに広いなんて」
いったいどれだけの広さがあるんだ?
湯船につかると丁度いい湯加減だ
「はぁぁぁぁぁ・・・、いい気持ちだ」
やっぱり、風呂は最高だ
ガラッ
入口のドアが開く音が
誰か入ってきたのかな?
誰だろうと、よく見ると・・・
「・・・・・・え?」
そこには予想外の人が
「え・・・え・・・」
そうそれは・・・
「えええええええええええええええええええええええええええええぇぇぇええぇえ!!!!!???」
シーナさんだ
し、しし、しかも・・・
た、タオルを・・・巻いて・・・ない
全てをさらけ出している状態
ま、まずい・・・、非常に・・・まずい
と、とりあえず後ろを向いて・・・
「な、ななな・・・、何でシーナさんがここに!!?ここ、男子風呂だよ!」
「あら、ここ女湯よ?」
・・・今、何と・・・言いました?
「そ、そんな、僕はちゃんと・・・見たよ。男湯って」
「ああ、それリーヴェル君をここにおびき寄せるための罠よ。私が入る前に看板は入れ替えおいたから」
「わ、罠・・・?看板を・・・入れ替える?」
「そ、あなたと二人っきりになるためにね」
とヒタヒタとこっちに近づいてくる
チャプン
湯船につかる音もしてくるし
で・・・、段々僕の方に近づく
「もしかして・・・、嫌だった?」
「いやいやいや、それどころの問題じゃない!」
「心配しないで、お父様やミルスにもちゃんと伝えてあるから」
「・・・は?」
もしかして、あの時ムーリットさんの耳元で話していたのって・・・これの事だったのか?
やられた・・・
「つーかまーえた!」
後ろからいきなり抱きつかれる
背中には程よい大きさの胸が・・・
それに、シーナさんいい匂いがする
って、そんなこと考えてる場合じゃない!!
とにかく、この場を何とかしないと・・・
「はむ」
「うひゃああぁあ!!」
僕の耳を甘噛みする
すごくくすぐったい
「な、何するんだよ!!?」
「何って、スキンシップ?」
「絶対間違ってるって!!」
「いいじゃない、せっかく二人きりになったんだから」
「だからって・・・」
後ろを向いていたのに、何故か前を向いている状態になっている
しかも・・・、シーナさん目がハートになっている
『お嬢様はあなたに一目惚れしたのでは』
ミルスさんの言ってたことを思い出す
シーナさんは目を閉じて顔赤くしながら僕の顔に近づく
これって・・・、これって・・・
だ、ダメだ・・・
いきなりこんなの、絶対に間違っているよ!
そんな考えも意味するところなく、どんどん近づいてくる
何だか、クラクラしてきた・・・
ドボン!!
「ちょっ、リーヴェル君!?」
どうやら、のぼせてしまったみたいだ・・・
しばらくして目が覚めると、ミルスさんに案内された208号室・・・とは少し違う
しかも右頬には生暖かくて柔らかいものがが
「う・・・ん・・・」
女性の声・・・
ここって、シーナさんの部屋なんじゃ!?
それに、抱きつかれてる状態!?
生暖かくて柔らかいものって・・・
これは・・・また非常にまずい
何とか脱出しようと試みるが、ギュッと掴まれる
ちょっ・・・首・・・締まってる・・・息が・・・できない・・・
このままでは・・・死んでしまう・・・
シーナさんを揺さぶっても一向に起きない
ここはもう、強硬手段しかない
風魔法 トルネード(竜巻)をガラスなどが割れないように力を抑えながらシーナさんを離す
そして、起きないように慎重にベッドに置く
周りのものも壊れてはないから、どうにか脱出できた
さて、あとは部屋に戻るだけだ
ここも、気付かれないようにそっと部屋を出ようとするが
ガーン!!
上からバケツかタライのようなものが僕の頭にぶつかり
「ハニャ~~~~~・・・・・・」
そのまま気絶して、その場に倒れ込む
翌朝
また右頬に柔らかいものが・・・
それに、頭に若干痛みが・・・
ドアのノックから開く音がして
「お嬢様、リーヴェル様、おはようございます。朝食の準備ができました」
ミルスさんの声・・・
って、今僕の名前も呼ばれたような・・・
「おはよう、ミルス、リーヴェル君」
もう起きてたの?
「え?ていうか、ミルスさん知ってたんですか!?」
「勿論でございます。お嬢様がどうしてもというもので。旦那様からも了承を得ております」
「ちょ、初めからこうなると分かって・・・」
「私は使用人ですので、主に逆らう事は出来ません」
それとこれとは違うでしょ!とは言いたいが・・・
「じゃあ、シーナさんも・・・?」
「ええ、ごめんなさいね。初めてだったから、どうすればいいのか分からなかったわ。でも、私としては嬉しいことだらけよ」
「こっちはかえって迷惑だったんだから」
「それに、リーヴェル君いい匂いね」
「って、人の話聞いてる?」
「もう、ずっと嗅いでいられる匂いよ」
ダメだ、全然話が通らない
もう朝から疲れた・・・
どうも、茂美坂 時治です
公爵令嬢とのお泊り、いいですね




