第12話 ベイデルの不満
ベイデルさんの姉シェリア・アスターさんの遺骨が眠っている墓場に来て、花を添えて合掌する
「ごめんなさいね、突然声を掛けてしまったものだから」
「いえ、それより聞きたいことがあるんです」
「何かしら?」
「確か、お姉さんは国王陛下に仕える使用人の娘って子爵から聞いたのですが、あなたは何故図書館の館長を?」
「・・・私も使用人の娘。父は執事、母はメイド。生粋の使用人一家。そして、子爵に仕えていた使用人たちは親戚。特に彼に仕えていた執事は従兄であり父の弟。お互いどんなことがあったかよく情報交換をしていたわね。その情報は、国王陛下にもきちんと伝える義務があった。でも、5年前のあの事件で生活は一変した」
「使用人としての仕事が無くなった」
「そう、子爵に仕えていた使用人たちはみんな解雇。それどころか、親戚である私たちにも解雇を迫られた」
「どうして?」
「さっきも言った通り、私たちはよく情報交換をしていた。でも、王族にとって不利な情報は一切なかった。それなのに、これらは全て不利だとでっち上げられた。そのせいで、私たち家族の使用人としての役目を終えよと言われた」
「いつ言われたのですか?」
「事件が起きてから3日くらいたったころね」
「それは、国王陛下直々の命でですか?」
「そうね、王命に背けば処刑される。それを避けるためにあえて命に従った。そして、家族はバラバラになった。父と母は今どこにいるか連絡が取れない。私は、子爵を恨んだ。何故あの時、お姉さまに治癒魔法をかけようとしなかったのか。でも、あの図書館で治癒魔法の魔導書を読んだけど、お姉さまの重い病気を治す治癒魔法は一切なかった。その時、こう思ったわ。何でお父様は子爵に治癒魔法をかけた方がいいとせがんだのか?とね。それからは恨みは一切なくなったわ。父が行方不明になった今でも、その疑問が今でも頭に残っている。その真相をつかむために図書館の館長になった。図書館は本だけの場所と思う人が大勢いるけど、館長室にはいろいろな人がやってくる。そこから、事件のカギを握る情報はないかと聞いては見たものの、まったく収穫なし」
「それでも、この事件の真相を知りたい」
「その通りね」
「でもその前に、すこしおかしなことがあります」
「何?」
「先ほど、あなたと親戚の方とはよく情報交換をしていたと言ってましたね。そして、その情報が王族にとって不利だとでっち上げられた。それは、本当に国王陛下がでっち上げたんでしょうか?」
「ちょ、ちょっと!?国王陛下が仕組んだっていうの?」
「いえ、そうではありません。その情報が真っ先に国王陛下の耳に届くのだとしたら、王族にとって不利とはいかないと思いますが」
「誰かが国王陛下に知らせる前に勝手にでっち上げた?」
「その可能性が高いと思います」
「でも、もう5年も前の話だし、誰がいたのかはハッキリとは思い出せないわ」
「その情報というのは紙か何かで記したものですか?」
「ええ。ただ、もう焼失されたかもしれないわ」
「そうだとしても、可能性はあります」
「可能性?」
「5年前の事件、子爵が襲撃された事件。そして、使用人同士で交換していた情報が誰かにでっち上げられた事。この3つはつながっていると僕は思います」
どうも、茂美坂 時治です
今回は割と短めな感じです




