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第9話 森の妖精

手のひらサイズの妖精、目を開けると右目は赤で左目は青のオッドアイだ


「えっと、君は・・・?」

「・・・」

名を聞こうとしても黙ったまま僕の目を見る


「どうして黙ってるんだ?」

「・・・」


返事がないまま時が過ぎる


「・・・何もしゃべらないなら、もういいかな。」

ただ現れただけみたいだ


探索を再開するや、いきなり後ろから髪を引っ張られる

「痛ててて!!!・・・な、何するんだ!?」

「ま、待って!!」

「喋った!?」

「黙ってたのは謝るから、とにかく待って」

「・・・わ、分かった」


と、彼女は軽く深呼吸をしてから

「私はエフィリア。この森に棲んでる妖精の一人よ」

「僕はリーヴェル・ジェスナー。ヘリッツ子爵からの依頼を受けた冒険者だ。こう見えても男だからね」

「うん、初めて会った時からあなたが男だってことは分かるわ」

「・・・え!?」

その言葉に驚いた

今まで、男女問わず僕を女と間違われたのに


「どうして・・・、分かったんだ・・・?」

「そうね、魔力の質ね」

「質?」

「うん、男女特有の質の違いね。ええと、言葉ではうまく言い表せないんだけどね・・・」

「何だ、そりゃ・・・」

「でも、あなたは男ってすぐに分かったわ」

「その話はいいとして、どうして黙ってたんだ?」

すると、エフィリアは少し顔を赤くしながら

「・・・きれいだから」

「・・・・・・は?」

「・・・だから、あなたの魔力の質がとてもきれいって言ってるの!男なのにこんなに透き通るような魔力を見るの初めてだわ。いつでも見ていられそうなくらいにね。」

「・・・そ、そりゃどうも」

てっきり容姿がきれいとか言われるんじゃないかとドキドキしてた


「それであなた、この森に何に来たの?」

「ああ、ヘリッツ子爵から薬草を採ってきてくれと言われてここに来た」

「何の薬草を採るの?」

「ドクダミ、アオダモ、オオバコ、カモミール、クコの実の5つだ。これらを30本ずつ」

「それ、1日でできる?」

「無理に決まってるだろ。どれも自生してるから2~3日で構わないって子爵も言ってた」

「そう、なら私も手伝うわ」

「なっ!?」

「何よ、もしかして私お邪魔だったかしら?」

「・・・い、いや、そういう訳じゃないんだけど、まだ会ったばかりなのにいきなりそんな・・・」

「大丈夫。私の仲間もいるから」

「って、人の話聞いてる?」



エフィリアは僕の話を無視して、手を2回叩く

「ほら、集まってきたわよ」

エフィリアが指さした方向から2~30ほどの妖精が集まってきた

「おっ、可愛い男じゃないか。」

「・・・ほ、・・・惚れ・・・た」

「あらあら、この子ったら。すぐ顔に出るんだから」

僕の容姿を見てガヤガヤと騒ぎ始める


「あの・・・、エフィリアさん?こんなに集めて」

「いいから、私に任せて」

「ていうか、僕の仕事取らないでくれる?」


エフィリアはみんなに内容を簡潔に説明して、

「それならお安い御用さ。あたしなんかそんなの5分で集められるよ」

「あーら、心外。わたくしだってそれくらいの時間ならあなたより多く採れますわよ」

「フン、プライドが高いだけのあんたに言われてもねぇ」

「何ですって!!?」

「はいはい、そこまで。じゃあ、お願いね」

と妖精たちはいっせいに飛び立った


「って、僕の仕事が無くなったじゃないか!!!」

僕は怒りをあらわにする

「あら、少しでも早い方がいいでしょ?」

「そうじゃなくて!!これは僕の仕事なんだ!こんなことを望んだんじゃない!」

「・・・」

「何で黙ってるんだ?」

「・・・」

「もういい、子爵には申し訳ないけどこの依頼はなかったことにしてもらう」


森を抜け出そうとすると見えない壁に頭をぶつける

「~~~~~~~っ!!」

「返さないわよ」

「・・・な、何で・・・」

エフィリアはまた顔を赤くして

「・・・てる・・・から・・・」

「・・・えっ、何だって?」

「だって私はもう・・・、あなたの・・・、眷属になってるから」

「・・・はぁ!!?」

エフィリアが僕の眷属!?

いつの間にそんなことになってるんだ?


「私が光だった時に触れたでしょ?」

「・・・あの時か」

「光状態で他人が触れても妖精の姿になったことは一度もなかった。それは、お互いの魔力の波長が合ってないから」

「波長?」

質に波長。なんだかややこしくなってきた

「そうよ、私や他の妖精にもそれぞれ違った波長があるの。もちろん、あなたたち人間にもね。それが合わさってないと私は妖精の姿になれない。でも、あなたは不思議なことに波長が不安定」

「ん?不安定なら波長がより合わないんじゃないか?」

「いいえ、その逆。波長が不安定なほど合わさりやすいの。さっき私が呼んだ妖精たちもちゃんとした姿だったでしょ?あれは、あなたの魔力の波長が皆を妖精の姿にしてくれたおかげよ」

「それと眷属にはどういう関係があるんだ?」

「いい質問ね。私たちはあなたのような主を探していたの、500年もの間ずっとね」

「・・・ご、500年もこの森に!?」

「そう、私たち妖精族の長がこの森で主となる者を見つけなさいという命がくだってからずっとこの森で待ってた」

「でも、主となる者は現れなかった」

「ええ、理由はさっきの波長よ。波長が合った者を見つけたら眷属となって一生仕える使命を背負ってたけど、500年も待たされたらその使命すら忘れかけるところになる。そんな時にあなたが現れた」

エフィリアは僕の手のひらに乗り

「ずっと待っておりました。このエフィリア、一生あなた様にお仕えする所存です。どうか、これまでの私の行いをお許しくださいませ」

いきなりかしこまり、口調も変わった

「ええと、状況がまだよくわかんないんだけど・・・。って、他の妖精も?」

「勿論です。波長が合った者こそが主に相応しき者。それが我ら妖精がお仕えする大切なお方です」

「と言われてもなぁ、僕は平民だしそんな貴族のようなことはできないよ」

「かまいません。私たちは・・・」

「ああ、分かった分かった。眷属にすればいいんでしょ?」

「ありがたき幸せ」

これ以上聞いてもずっとこれが繰り返すんだろうなと心底思った

「それで一つ聞いてもいいかな」

「何なりと」

「さっき、一生仕えるって言ってたよね?もし、僕が死んだらどうなるの?」

「また新たな主を探すことになります。しかし、あなた様が結婚してご子息がおられたらその方にもお仕えいたします。」

「つまり、ジェスナー家一族が続くまでってこと?」

「左様でございます」

「・・・はぁ」

「いかがなさいました?」

「何だか疲れた。それで、彼女たちは」

「もう採ってきたわよ」

後ろから声が聞こえて振り返ると大量の薬草を持った妖精たちが帰ってきた

「わぁっ!!?」


籠がパンパンになるほどの薬草だ

「すごいな、この短時間でこんなに・・・」

「妖精は薬草から出る魔力を探知する能力が優れてますから、これくらいは朝飯前です」


「私たちもあなた様にお仕えいたします」

妖精たちが一斉にかしこまり

「・・・うん、何だかよくわかんないけどよろしくね」

もうどうでもいいと思う自分がいた


「ところで、僕に仕えるのはいいとして、リーダーは誰になるの?」

「エフィリアに決まってるじゃないですか」

「即決!?」

「いや、あなたが来られるまでもエフィリアは私たちのリーダーでしたので」

「そうだったのか、それならそうと早く言えよ」

「すみません」


「さて、そろそろ戻るか」

立ち上がった時、どこからか複数の魔力を感じる

方向から見て子爵の家の方だ

「主、この魔力の質普通の人間のものではありません」

エフィリアが警戒する

「まさか・・・魔物か?」

「いえ。おそらく・・・」

どうも、茂美坂 時治です。

いきなりの展開になりましたね。


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