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方言  作者: 乃崎アラレ
3/7

俺とあいつと過去



 いつの間にか、次の日になった。


いつもより気分が良かった。


昨日より、明野に会いたくなった。


明野のこと、好きじゃないのに。


別になんとも思ってないのに。


明野の虐められてる姿が、気になって仕方なかった。


そんな自分に腹が立った。

けど、そんな自分を止めることはできなかった。


教室に入ると、いつもと違う光景が……

寝室が明野を虐めている光景が……


俺の目に飛び込んでくるはずだった。


………沈黙。


俺の目に映った光景。


明野が寝室の胸ぐらを掴んでる光景。


俺には理解できなかった。

何で、反対なわけ?


「お前みたいなもん……消えてしまえばええ」


低く、ドスの効いた声で呟く明野。


冷静を保っているようだが明らかにキレてる。


何があったんだ?昨日一日だけじゃ分からないが……

俺が見る限り、明野は少しくらいのことでは感情を表に出さない女だ。…と思う。


「なぁ…明野ってよくあんな感じなのか?」

隣でその光景をじっと見ている真に聞く。


「俺が知ってる限り…あいつが女子の胸ぐらを掴むなんて

 ………あの事件以来だ」


最後の言葉は消えてしまいそうなくらい小さな声で。


すごくつらい過去を背負っているといわんばかりの声で…。


でも俺はその過去が知りたくなった。


「あの事件って、なんだよ」


俺が聞くと、真は一回だけ深呼吸して俺の目を見た。


「事件っていうかまあ……覚悟して聞けよ」


「俺がまだ大阪に住んでるとき、あいつ……美雪と

 同じ中学校だったとき………」


真は静かに話し出した。



中学校のときの明野はかなり明るくて、

みんなからの信頼も強かった。


無口という言葉からはかなりかけ離れていて、


いつも明野の周りには友達がいたという。


そして、真はその明野を好きになったらしい。


でも明野はこのころ、恋愛とかそういうものには興味がなく、

真が自分に興味を持っているとは知らなかったそうだ。


明野は誰の悪口も言ったことが無かった。


それだから明るくて、だれからも好かれていた。


でも、違った。


大阪にもいるみたいだ。

いじめとかそういうのを楽しむ奴らが。


明野はそいつらの標的になった。


理由は


調子に乗っているから。


普通に学校生活を送っていた明野は、


一回も調子に乗ったことなんて無かった。

いじめる奴らもそんなこと百も承知だった。


ただ純粋でみんなから人気のある明野が

うらやましくて憎かっただけ。


自分勝手な理由で明野を締めようとした。


次の日から、明野の周りには友達が居なくなった。


だれもその虐めている女子を恐れて明野に近づこうとしなかった。


でも明野は全く動じなかった。


変わった様子は無かった。


一人、明野のそばを離れない人が居たから。


間宮 萌美。 明野の大親友だそうだ。


みんながどんなに明野に冷たくしても、間宮だけは

明野のそばを離れなかったという。


明野は間宮に支えられて、明るさをなくさなかった。



―――しかし、最悪の事態はおこった

明野を虐めている女が、

間宮をも虐めようとした。


明野ははじめそれに気づかず、

いつもどうり間宮と一緒に居たという。


そして、ある日の朝、

移動教室に行こうと誘ってきた間宮の頬に

擦り傷があるのを見た。


問い詰めると、それは、ナイフで切られた跡だと分かった。


そのときに明野はキレたという。


間宮を虐めた女のところへ行って胸ぐらを掴み、


「殺してやる」と本気で言ったそうだ。


今まで明野が見せたことの無かった、

怒りだった。



「……ってわけだよ」


真が呟いていた。


「それで、先生が止めたんだけど、

 胸ぐらを離す前に明野は大声で叫んでた。




 あたしは虐めてもええけどな、

 あたしの友達いじめたら

 お前ら絶対殺すからな

            ってな」


俺はしばし呆然としていた。


「すげぇ友達おもいなんだな」


ポツリと呟く、俺。

「ところでさ……今何が起こってんの??」


俺がもう一度呟く。


明野がこんなに怒ってるのも何かがあったからだろう。


それに答えるように、明野が大声を出した。


「この学校に萌美が登校しとるそうやんけ。

 それをお前らは? 虐めてるやと? 

 あんな奴の命どうでもええやと?!

 この世に生を受けたものでな、どうでもええ命なんて

 お前らの命ぐらいじゃ、ボケェ!」


叫びを聞いて、真が、「あ」ともらした。


「そういえば……この学校にちょっと前

 間宮って奴いたなぁ…………」


しみじみ言う真にあきれた。


「って、そんなことしみじみ言ってる場合じゃねぇだろうが!」


「じゃぁどうすればいいんだよ」


「その間宮って奴呼びに行ったらいいんじゃね?」


「何組かわかんねぇし。

 ってかお前どんだけあつくなってんだよ」


……ハッとした。


ほんとだ。なんで俺はこんなに熱くなってるんだ。

昔(昨日まで)の俺は何事にも冷めてたじゃねぇか。


俺は、明野という存在に振り回されてる。





 いつの間にか、次の日になった。


いつもより気分が良かった。


昨日より、明野に会いたくなった。


明野のこと、好きじゃないのに。


別になんとも思ってないのに。


明野の虐められてる姿が、気になって仕方なかった。


そんな自分に腹が立った。

けど、そんな自分を止めることはできなかった。


教室に入ると、いつもと違う光景が……

寝室が明野を虐めている光景が……


俺の目に飛び込んでくるはずだった。


………沈黙。


俺の目に映った光景。


明野が寝室の胸ぐらを掴んでる光景。


俺には理解できなかった。

何で、反対なわけ?


「お前みたいなもん……消えてしまえばええ」


低く、ドスの効いた声で呟く明野。


冷静を保っているようだが明らかにキレてる。


何があったんだ?昨日一日だけじゃ分からないが……

俺が見る限り、明野は少しくらいのことでは感情を表に出さない女だ。…と思う。


「なぁ…明野ってよくあんな感じなのか?」

隣でその光景をじっと見ている真に聞く。


「俺が知ってる限り…あいつが女子の胸ぐらを掴むなんて

 ………あの事件以来だ」


最後の言葉は消えてしまいそうなくらい小さな声で。


すごくつらい過去を背負っているといわんばかりの声で…。


でも俺はその過去が知りたくなった。


「あの事件って、なんだよ」


俺が聞くと、真は一回だけ深呼吸して俺の目を見た。


「事件っていうかまあ……覚悟して聞けよ」


「俺がまだ大阪に住んでるとき、あいつ……美雪と

 同じ中学校だったとき………」


真は静かに話し出した。



中学校のときの明野はかなり明るくて、

みんなからの信頼も強かった。


無口という言葉からはかなりかけ離れていて、


いつも明野の周りには友達がいたという。


そして、真はその明野を好きになったらしい。


でも明野はこのころ、恋愛とかそういうものには興味がなく、

真が自分に興味を持っているとは知らなかったそうだ。


明野は誰の悪口も言ったことが無かった。


それだから明るくて、だれからも好かれていた。


でも、違った。


大阪にもいるみたいだ。

いじめとかそういうのを楽しむ奴らが。


明野はそいつらの標的になった。


理由は


調子に乗っているから。


普通に学校生活を送っていた明野は、


一回も調子に乗ったことなんて無かった。

いじめる奴らもそんなこと百も承知だった。


ただ純粋でみんなから人気のある明野が

うらやましくて憎かっただけ。


自分勝手な理由で明野を締めようとした。


次の日から、明野の周りには友達が居なくなった。


だれもその虐めている女子を恐れて明野に近づこうとしなかった。


でも明野は全く動じなかった。


変わった様子は無かった。


一人、明野のそばを離れない人が居たから。


間宮 萌美。 明野の大親友だそうだ。


みんながどんなに明野に冷たくしても、間宮だけは

明野のそばを離れなかったという。


明野は間宮に支えられて、明るさをなくさなかった。



―――しかし、最悪の事態はおこった

明野を虐めている女が、

間宮をも虐めようとした。


明野ははじめそれに気づかず、

いつもどうり間宮と一緒に居たという。


そして、ある日の朝、

移動教室に行こうと誘ってきた間宮の頬に

擦り傷があるのを見た。


問い詰めると、それは、ナイフで切られた跡だと分かった。


そのときに明野はキレたという。


間宮を虐めた女のところへ行って胸ぐらを掴み、


「殺してやる」と本気で言ったそうだ。


今まで明野が見せたことの無かった、

怒りだった。



「……ってわけだよ」


真が呟いていた。


「それで、先生が止めたんだけど、

 胸ぐらを離す前に明野は大声で叫んでた。




 あたしは虐めてもええけどな、

 あたしの友達いじめたら

 お前ら絶対殺すからな

            ってな」


俺はしばし呆然としていた。


「すげぇ友達おもいなんだな」


ポツリと呟く、俺。

「ところでさ……今何が起こってんの??」


俺がもう一度呟く。


明野がこんなに怒ってるのも何かがあったからだろう。


それに答えるように、明野が大声を出した。


「この学校に萌美が登校しとるそうやんけ。

 それをお前らは? 虐めてるやと? 

 あんな奴の命どうでもええやと?!

 この世に生を受けたものでな、どうでもええ命なんて

 お前らの命ぐらいじゃ、ボケェ!」


叫びを聞いて、真が、「あ」ともらした。


「そういえば……この学校にちょっと前

 間宮って奴いたなぁ…………」


しみじみ言う真にあきれた。


「って、そんなことしみじみ言ってる場合じゃねぇだろうが!」


「じゃぁどうすればいいんだよ」


「その間宮って奴呼びに行ったらいいんじゃね?」


「何組かわかんねぇし。

 ってかお前どんだけあつくなってんだよ」


……ハッとした。


ほんとだ。なんで俺はこんなに熱くなってるんだ。

昔(昨日まで)の俺は何事にも冷めてたじゃねぇか。


俺は、明野という存在に振り回されてる。


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