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赤レンガの探偵所
来てしまった。
目の前には、赤レンガの可愛い建物。
扉には、恋愛探偵所の看板がかかっている。
ミイちゃんに貰った名刺の地図。
場所は、それほど遠い場所じゃなかったから。
……って言うのは言い訳で、探偵にも頼りたい気分だった。
見てても、楽しい。
でも、好き、が溢れて、止まらなくなって苦しくて。
寂しくなる。
友達もいないから。
孤独になっちゃう。独りは、辛い。
けど……
「どうやって入ろう……」
いきなり中に入って、ビックリされたらやだなぁ、
間違ってたら恥ずかしいなぁ、なんて、下らないことを考えちゃう。
だからきっと、私に友達は出来ないんだなぁ…。
って考えて、また悲しくなった。
「涼夏ちゃん?ですか?」
「わぁ!?」
またもや突然話しかけられて、私は大きい声を出してしまった。
「びっくりした?ごめんね~」
眉を下げて謝る女の子。
黒縁メガネを掛けていて、髪はチョコんとポニーテールに結んでいる。
私と同じくらいの歳だろうか。
「氷乃 七ノ歌!探偵所の職員よ。入って?」
「え、でも」
ゴタゴタいう私の手を引いて、ナノカさんは扉を開けた。