初めての海
〜〜ラルナside〜〜
「んじゃあ、帰るから」
「うむ、頼んだぞ」
ヘイロンは上を向くと、翼を広げ一度深くしゃがんだあと、翼の羽ばたきと共に思いっきりジャンプした。
木の葉を通り抜け、外に出た瞬間私は目を疑った。
「な……なに…これ…?」
「ん?あぁ、そうかお前らから見たらこの風景はあり得ないものなんだっけな。これは、んん〜まぁ簡単に言えば空島だ」
「そ、空島ぁ!?」
そう、私達がいた所は空中に浮かぶ島……空島であった。
私はその事実に驚きこれは夢なのでわ?と思ったが、さっき自分の手が痛みを受けたのを思い出しすぐに違うと思った。
「お前、俺たちに会った時よりも感動してるな……なんと言うか……島に負けたと思うと……」
「いや、十分驚いてたけど……ヘイロンなんか怖かったんだもん…………その顔どうにかなんないの?」
「アホかお前わ!あと結構それ俺気にしてるからほじくんな」
そういったヘイロンの顔は少し寂しげだった。
それは意外だった。ヘイロンは全てを力や恐怖でねじ伏せる感じだと思ってたけど……見た目じゃわからないものなんだな。
「で、どこにヘイロンの家はあるの?」
「海の中」
ここまできたらもう驚かないけど……
「それ、どうやって私暮らすわけ?」
「知らん」
「知らん。じゃないよ!」
「あぁ!もう!うるさい!耳元で叫ぶな!浜辺で野宿でもすりゃいいだろ!」
無理!っていいたい……言いたいけど今言ったらまた、甘えん坊姫が!とか……言われてしまう……くそぅ、どうかえそうぅ……
「はぁ、お前本当俺の思い通りになんねぇな」
「…………」
「俺もそこら辺で一緒に寝てやるから……それで我慢しろ」
「…………」
「なんか言う事あるんじゃたいのか?」
「別に……頼んでないし……」
「あっそう、じゃあいいよ俺帰るから」
「ごめんなさいお願いします」
「フッ、それでいいんだよそれで」
くそ、ありがたいけどクソ腹立つこいつ。
なんだかんだ言っているうちにヘイロンの住む家……の近くの浜辺についた。
その頃には、日も沈み涼しくなっていた。
「よぉしついたぞ、降りろ」
ヘイロンが私に降りやすいよう伏せをして頭を地面につけた。
「初めて見た……」
「はぁ?!」
「な、なんでもない」
つい声に出してしまったが、これが海……絵なんかとは比べものにならないくらい大きく、そして美しい。
大きく息を吸うと、塩の匂いがしてくる……
「おい、早く降りろよ」
「あ、ごめん」
私はヘイロンの頭から降りるともう一度海を眺めた。
「初めて見るのか?海」
「え?う、うん……まぁ」
海を見るのが初めてなんて恥ずかしいからあんまり言いたくなかった。
でもそれは事実だ……仕方がない。
「別に恥ずかしむ事じゃねーだろ」
「え?」
「何かを知る事は恥ずかしいことじゃねぇって言ってんの……恥ずかしいのは、知ろうともせずその場の情報だけで決めつける事だ」
「………………」
ヘイロンの顔がまた少し寂しげな顔になった
「よしっ、今日はとりあえず寝るぞ!お前も疲れたろ」
「え、うんまぁ」
「明日は即席の巣……まぁ、お前達でいう家を作る。お前の力についてはそれからだ」
ヘイロンは意外に計画性があるんだな…………なんだかんだいって私よりしっかりしてるのかも……
ヘイロンはその場で丸くなり自分の腕を枕にして寝た。私はそのヘイロンの腕を背にして座って眠りについた。
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