相性抜群?
〜〜ラルナside〜〜
「話は終わったのか?じじい」
隣で寝ていたヘイロンが首をあげてこちらを見てきた。
王竜のお爺さんは一目で優しいというイメージが伝わってきたのだが、ヘイロンからは…なんと言うか変なものを感じる……恐怖ではないのだが、お前をいつでも殺せるんだぞ?という……強者の余裕と言えば良いのだろうか?そんなものを感じる。
「何を言うかお主は。ずっと起きていたではないか」
「チッ……気付いてたのかよ……まぁいいや」
ヘイロンはそう言うとゆっくりとこちらを見てきた。その瞬間、私は一瞬ビクッと体を無意識に震わせた。
「そんなにビビるなよ……ったく……お前、本当に良いのかよ。俺たちに協力するって事はしばらくは家に帰れないんだぞ?……親に会えなくなっても良いのか?」
ヘイロンは私をバカにしようとしているのではなく、本気で心配をしてくれているのが声のトーンからわかった。でもそれは正直いらない心配であった。
「それは大丈夫。正直私、あの家には帰りたくないから」
「フッ、反抗期ってやつか」
ヘイロンは少し笑ってそう言った。
恥ずかしくなった私はつい言い返してしまった。
「う、うるさいわね!何も知らないくせに!」
しまったと一瞬おもったが、ヘイロンの返しは意外なものだった
「ああ、しらねぇよ。でも、親ってのはお前が思っている以上にお前の事を愛してるんだぜ?それを一応知っておくと良い……」
「…………」
意外な返しに私はヘイロンを、見たまま止まってしまった。
「な、なんだよ……なんか、そんなに見られたら恥ずかしいだろ……こっち見るなよ…」
ヘイロンはクビを横に曲げて私から目をそらした。
その行動が可愛くて私はつい笑ってしまった。
「わ、笑うな!」
「ワハハハハ!お主達は仲が良いなぁ……そうじゃ!ヘイロン、ラルナ、お主達一緒に暮らしたらどうじゃ!」
絶対嫌だ!!……と言いたいけれど竜の事を何も知らない上に寝る場所も無い……それに自分の力の事もあるしヘイロンと暮らすのは実際良い案かもしれない。
「はぁ!?いい加減にしろよこの糞じじいが!なんでこんな甘えん坊姫と暮らさないといけねぇんだよ!」
甘えん坊姫という言葉を聞いて、自分中の何かがキレる音がした。
「誰が甘えん坊姫だ!この炭だらけドラゴンが!」
「す、炭だらけドラゴンだとぉ!!」
「大体!我儘言って甘えてるのはあんたのほうじゃん!」
「うっ………ち、ちげーよ!俺はお前が嫌だと思ったから言ったんだ!」
「別にぃ〜私はいいけどね!」
「お前が良いなら俺だって良かったさ!」
「ハハハハ!やはり仲が良いのう」
「「良くない!!」」
私とヘイロンは不本意にも声をそろえてそう言った。
決っして相性が良いというわけではない!断じて違う!
「わかった、わかった、二人共良いのだろう?」
「仕方なくな!」
「わかっておる、もう言うでない」
「……ッたくもう……ほら」
ヘイロンが私に背中を見せてしゃがんだ
「え、なに?」
「なにじゃねぇよ!背中乗れつってんの!それともまた喰われたいのか?!」
「うるさいわね!わかってるわよ!」
そう言って私は尻尾から背中によじ登った
「角の間にすわってしっかり角に掴まってろよ」
「お、落とさないでよ……」
「なんだお前、怖いのか?」
ヘイロンが小馬鹿にしたように言った。
「うるさい!」
私はそれに腹を立てついには頭を叩いた。
「いでぇ!!」
ざまぁみろ!…………叩いた自分の手も痛かったことはヘイロンにバレないよう我慢しよう。
御閲覧ありがとうございます!
この度メクルさんのサイトでも同じ小説を出す事になりました!是非、書いている事は同じですが……見てみてください!