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竜のお願い

〜〜ラルナside〜〜


ポツン


頰に雫が落ちた感覚がして、私は目を覚ました。

そして、仰向けのままゆっくりと周りを見回した。


周りには一体何年間生きてきたのだろうかと思う程の大きさの樹々が、私を囲むかのように並んでいる。

その樹の葉が何重にも重なり太陽の光を遮っている。


「起きましたかな?」


後ろの方から声が聞こえてきた。

その声は身体に響く程大きな声であったが、不思議と耳が痛くなったりなどはしなかった。

むしろ鳥のさえずりを聞いているような安らぎ感があった。

しかし、後ろに居たのは人でも鳥でもなかった。


そこに居たのは金色に輝く鱗を持つ巨大な竜であった。

他にも私を食べようとした?黒い鱗の竜もその金色の竜の隣に伏せて寝ていた。


「あまり驚かないんですじゃな。まぁ、それは良いですが」


金色の竜は私に如何にも使い慣れていない感じの敬語で話しかけてきた。


「その....私に何の用なんですか?」


「うむ、竜姫の力をお借りしたいと思い来てもらったと言うか、連れ去らさせてもらいました」


「私が竜姫?と言うか竜姫てなんですか?それに、力を貸して欲しいって私に普通の竜以上の力なんて無いわよ?」


竜の力を実際に見た事がないのに、私はそう言った。


「やはり自分の力ご存知では無いのですな」


「自分の力?」


「うむ、天候を操る力ですじゃ」


「金色の竜さん。恐らく人違いをしていますよ。私はそんな事できないし、それを思わせるような出来事も生きていて一度もありませんでした」


「本当にそうですか?」


私は少し俯き、身の回りの事を思い返した。


そんな事を私の周りにはたしかになかったはず....


……いや…違う。

…………知らない、私は外の出来事を。

ずっと甘やかされていたから…何も知らないんだ、外の苦労を……


「……わからない、私はずっと甘やかされて生きてたから……外の出来事を知らない……」


金色の竜は優しく語りかけてきた。


「姫は、怒ったことはありますかな?」


……一度だけ、親に自分がヒヨコの時から育てていた鶏を勝手に食料にされた時に怒ったことがあった。

あの時は本当に怒りに怒った。

親も私の怒りに対して怒っていた……けど、何日かして、急に謝ってきたのを覚えてる……


「一度だけ、あります」


「その時の外の様子は知っておりますかな?」


「……知らない」


「恐らくその時だと思います。力の暴走は怒りが鍵である時が多い。

急に太陽の光が強くなり、冬にもかかわらず山では火事がおき、海では大量の魚の茹で上がった屍体が浮かぶなどの事件が起きたんですじゃ。

それは、何日か続き激しい旱魃かんばつをもたらしました」


……外でそんな事があったなんて……知らなかった……

そんな国を滅ぼしかけた私を国民は信じて王妃にしようとして………


とんでもなく甘やかされていた事の理由を知ってあらためて感じた……自分の弱さとだらしなさを。


「そんな暗い顔を見せんでください……儂も辛くなってしまう」


「うん…」


「……そこでお願いがあるんですじゃ」


私は金色の竜から、竜族の事情を説明された。

螭と蟠の村が崩壊させられたという事を……


「私に何をしろと?」


「竜達と共に敵を撃退、もしくは和解。それと…………竜族同士の仲を深めることを手伝ってほしいのですじゃ」


「仲悪いんですか?」


「うむ、竜族には序列があるためどうしても差別があるのじゃ……」


でも……私にそんな事ができるのだろうか……

外に出た事がない、それ故友人も出来た事がないこんな私に……


「お願いじゃ!そなたの国も我々が永遠に守るよう約束する!その力もなんとかしてコントロールできるよう協力しますじゃ!」


国の事を守ってくれる……それに力の事も……

私もジャダイ国の王妃。できることなら……


最後の言葉に負けて私はそのお願いを聞く事にした。


「ただし、条件があります」


「な、なんじゃ?」


「姫と呼ぶのはやめて欲しいの……その……友達みたいな感じの方が私は良いんだけど……」


金色の竜は微笑んでこう言った


「うむ、わかったのじゃ!ラルナ」


「え?どうして私の名前を……」


「ヘイロンが教えてくれたのじゃ」


そういって金色の竜は黒い鱗の竜を指差した


ヘイロンって言うんだ……


「儂の名は王竜こうりゅうじゃ。よろしく頼むぞ」


「性をナーガ、名をラルナ。ナーガ・ラルナ、こちらこそよろしく!」

御閲覧ありがとうございます。

出して欲しい竜や霊獣などがいたら教えてくださると嬉しいです。被っていても構いません。よろしくお願い致します。

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