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紅い髪の王女

〜〜ヘイロンside〜〜


「ヘイロン!聞いておるのか!」


王竜のじじいの声で俺は目が覚めた。


「ん?あぁ聞いてるよ」


「お主!北を守護する黒竜としての自覚があるのか!今我らは最大の危機に直面しているのだぞ」


周りから冷たい目線を感じた。

俺は、仕方なく体を起こして伸びをしてから楽な姿勢で座った。


「姿勢がわるいが....まぁいい。いいか、もう一度話すぞ。我々には誰にも屈することのない力がある、それ故今までは平和に暮らすことが出来ていた....が、ある日こんな知らせが入った....ばんの村が何者かの手によって崩壊したと」


竜にも色々なレベルがある。簡単に説明すると7段階に分けることができ、数が下なほど弱いとされている。


7段階、ろんは最高位の竜で、これから話す全ての特性を備えている。


6段階、みずちは龍の次に強いとされている竜。大水を起こす事が出来る。


5段階、こうは蛇に翼が生えた様な姿をしている。また強い毒を持ち、その毒を浴びた生物は生き延びる事は出来ない。


4段階、おうしんは 四本の足と翼があり、気を吐いて海市(蜃気楼)を見せる。


3段階、きゅうは特別な力は兼ね備えてはいない。が、腕力や脚力などでは、蛟と同格である。


2段階、は角の無い竜である。ピンチになると耳から血が吹きそうになるほどの高い音をたてる。


1段階、ばんは最下位の竜で、天にも昇れない。最弱の竜。


以上の様に種類分けがされる。


「ケッ、所詮 ばんだろ?そんな程度の奴らが殺せたって俺らは殺せんだろ」


「ヘイロン!いい加減にせんか!強い弱いの問題ではないのだ!仲間が殺られたのだぞ!」


仲間?ふざけんな、俺を悪魔や不幸の塊みたいな扱いしてきた奴らが仲間なもんかよ....


「ヘイロン....お前が受けた仕打ちは知っておる。だが..........」


俺は全てを話し終える前に、目の前の金色の鱗をつけたじじいを睨めつけた。


それを見て王竜のじじいは少し咳払いをして話を再開した。


「すまんの、話を元に戻す。ばんの村を襲った者、そしてその理由など…全てまだ分かっていない、が....村の傷跡からして敵は一匹や二匹ではないという事がわかった。」


「じゃあどうするんだよ」


「……ナーガの一族の人間に…力を貸してもらう」


「はぁ?ばんも一応竜だぞ!?その竜が負けてんのに人間なんて...」


「連れてこればわかる。

ヘイロン、お主にはナーガの一族の者を連れてきてほしい。多少手荒になっても良い」


「いやどうやって見分けりゃいいのか分かんねーのに見つかるわけねぇだろ!」


「特徴を教えてやるから大丈夫じゃ。

髪の毛が太陽の陽に照らされると紅く光る。そいつがナーガの一族じゃ」


「ふ〜ん....なんかめんどくせーなぁ」


「なんじゃ?人さらいもお主はできんのか?」


「うるせぇな、いきゃいんだろ」


そう言って俺は翼を広げ、あえて周りに迷惑がかかる様に翼を羽ばたかせ、空へ飛び立った。


空に飛ぶヘイロンを目を細めて見ていた王竜は小さく震えた声で呟いた。


「ナーガの一族よ.......すまぬ....約束を........」




太陽からギラギラと熱が降り注いでくる。


今日はやけに暑い。

俺は鱗が黒いから熱を感じやすいのもあるだろうがそれにしても暑い。

しかし、どう探そうか....俺の体じゃ近づいたら逃げちまうだろうし。そもそも今日は人が少ないような気がする。いつもここを通る時は嫌なほどに人間がいるのになぁ。


真下にある人間の街には両手で数えられる程の人間しかいなく、いつもの活気が無かった。

それからも探し続けたが、暑さとなかなか見つからないというイライラで、俺は頭が一杯になってきていた。


くそっ!何処にいるんだよもう!イライラする!


そんな事を何度も何度も頭の中で繰り返し言っていた。


ポコンッ


「いで!なんなんだよ!くそぉ!」


突然頭に何かが当たる衝撃がして俺はそこまで痛くないのに少しオーバーなリアクションをしてしまった。


何が当たったのかを確かめるために飛んできた方向に目をやると、そこにはアリの大群のように人間がうじゃうじゃと密集していた。


「ウげっ...」


あまりの衝撃に思わず俺は声を上げてしまった。

しかし、その中央の部分に紅く光るものを見つけ思わず二度見した。


あれは....もしかして..!!


俺はその周りにいる人間の事も、さっきぶつかってきた物の事も忘れて、一直線に紅く光る髪を持つ者の所まで急降下した。


やっぱりそうだ!よっしゃ!さっさと連れて行こう!


そう思い頭をかがめたとき、ある声が聞こえてきた


「ラルナこっちへ!!早く!」


紅い髪を持つ者に必死に声をかけている....母親...か?


連れ去るのに迷ってしまった俺は一瞬止まってしまった。

が、そのとき紅い髪を持つ者....ラルナが俺に向かって腕を伸ばしてきたのだ。

それに驚いた俺は反射的にラルナを口にくわえて飛び去った。



……空中で、クチバシに傷がついた白い鳥とすれ違った。



いつの間にかギラギラとした暑さは消えて、太陽が灰色の雲に包まれていた。

俺はそのまま何も考えずに王竜の元へと飛んで行った。

いつもより、少し早めに。


御閲覧ありがとうございます。

ここを直して欲しいなどここをこうしたら良いなど教えてくださるとありがたいです。

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