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女王様
私は猫の後に着いて、ひたすら螺旋階段を上っていた。
この先に果たしてゴールはあるのか分からないくらいに上っている。天井が見えない。
「アリスはこの上にいるわ」
深紅のドレスに包まれた、美しい女性が目の前に現れた。
きっと、アリスが成長したらこのような女性になるのだろう。
「アリスを追いかけるのはおやめなさい。もう気付いているのでしょう?」
女性は優しく問いかける。気付いている。そうだ。私はもう気付いている。だからこそ私は。
「私は……アリスを追いかけなくてはいけないんだ」
「……そう」
女性は悲しそうに笑った。
「私達は貴方には必要ないのね」
そう言って、女性は消えていった。
猫がまた、にんまりと笑ったような気がした。
「着いておいで。僕は導くものだから」