3/6
お茶会
次に猫に連れて来られたのは、廃墟ーーと呼ぶべき西洋風の屋敷だった。あちこちの壁が崩れ、ボロボロになっている中に、燕尾服を来た男が立っていた。
「良く来られた。今からお茶会の時間だ。こちらへ」
男に促されるまま、私は椅子に座る。テーブルにはクッキー等のお菓子と、紅茶が並べられていた。
紅茶に手を伸ばしてーー、飲むのを止めた。カップの中にネズミが浮かんでいたからだ。
「酷いだろう?アリスがやったのだ。
アリスは悪い子なのだ。追いかけるのはおやめなさい。後悔することになる」
男は兎とほぼ同じことを言った。
しかし、私はアリスを追いかけなくてはいけないのだ。後悔することになったとしても。
理由はうまく説明できないが。
猫がまた、にんまりと笑ったような気がした。
「着いておいで。僕は導くものだから」