第42話 帰路
その次の日。僕は早々に目が覚めた。
隣にはまだミラが寝ている。
俺は、立ち上がる。
そして俺は頭を抱えた。夢の内容が頭に残っている。
ミラと遊んだ日々の記憶が夢を通じてオレに語り掛けている。
オレにミラを選べと。
本当にそれが正しいのか怪しいところだ。
だけど、過ごしてきた時間で言えば、ミラが一番長い。
それだけを取ればミラを選ぶのが一番正しい気もするが。
訳が分からん。
どちらにしても今日は帰る予定の日だ。
編に滞在期間を延ばす気などない。
そもそも、ミラという、本来ここに来るはずじゃなかった人物までいる訳なのだから。
ミラ、ミラ。ミラ、夢子、緑さん。訳が分からなくなる。
そもそも俺は緑さんのどこを好きになったんだっけ。その始まりからも分からなくなった。
「智也、どーしたの?」
起き上がったらしいミラが俺に訊いてくる。
「お前のせいだよ」
俺がため息をつきながらそう言い放つと、「智也酷い。私の告白嫌だったんだ」なんて言ってくる。
昨日コメディムードになったから、まだコメディをやっててもいいと思ってたぜ。
「今日は帰る日だけど、ミラはそれでいいか?」
俺がそう訊くと、ミラは静かにうなずいた。
「後でミラの家に言っていいか」
「帰ってから?」
「後日だ」
「いーよー」
ミラが元気よく言う。
「その時は私を助けてね」
その言葉に俺は頷いた。
そして、最後に三人でプールに入ることにした。
最後の海だ。
ミラは昨日、まあ、途中参加になったせいだけど、全くは言ってないからな。
しかし、この間にも、緑さんだけが仲間外れになっていて、可愛そうだけど、そこは許してほしい。
ミラが突然ここに来るなんて予想だにもしていなかった仁尾だから。
「海、楽しいね」
ミラが元気よく言う。その言葉俺も、「そうだな」と返す。ミラは本当に楽しそうに楽しそうに泳いでいる。その姿を見るといいなあ、なんて思う。
俺は海の中で泳ぐ。
その中で隣の夢子に目をかける。
「昨日のあれ、潰れちゃったな」
勿論あの温泉の事だ。もうあと型もない。
「残念だけど、仕方ないわ。形ある物はいつか崩れる運命なんだもの」
気丈に言い張るが、少しだけ、ほんの少しだけ寂しそうだtぅた。
無理もない。
せっかく頑張って作ったものが土に帰っちゃったらその努力がその労力が無駄になってしまう感じがするのだから。
「今日は作らないのか?」
「うん。それはもう別物だし」
その言葉に、「そうか」と、俺は返し、
「泳ごう」
そう言った。
そのまま俺たちは泳いでいく。
その中で、三人笑いながら、泳ぎまくるのだった。
そして、海で一日中遊んだあと、俺たちは住み慣れた街へと帰ることとなった。
正直楽しくもあり、しんどくもある三日間だった。というか、ハプニングばかりの三日間だった。
正直疲れたけれど、でも実りのある三日間だったと思う。
だけど、まだすべてが終わっていない。
ミラが家で寂しい思いをしている事。
これを踏まえて、少し話をしに行かなくてはならない。
そんな事を思っていると、電車の中で隣に座っていた夢子が口を開く。
「ミラちゃんを家に入れてもいいよ」
家に入れてもいい。それは、ミラも夢子の家で住まわせてもいいという事だろう。
「確かにそれも……」
と思ったが確実にややこしくなる。
「やっぱりやめた方がいいかもな」
俺は静かにそう言った。
確実に面倒なことになること間違いなしだ。
「わたしは別にそれでもいいのだけど」
「まあ、夢子がいいのならいいけど」
でも、ぎくしゃくとかしたりとかは嫌だな。
「もしそれが本当に夢子の意思ならな」
「どういう事かしら」
「夢子が本当にそれを望んでいるのかどうかが知りたいなと思ったんだ」
「わたしをなめないで」
夢子は静かに言った。
「わたしだって自分の意思暗い自分で決めるわ」
「そうか」
なら、心配する必要はないな。
俺はそう思った。




