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失恋した俺は俺にだけ弱い内面を見せてくれるクラスのマドンナと同居をする――これは完璧な彼女を救うための物語  作者: 有原優


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第4話 お風呂 

 


「ご飯ってのはこれ?」


 そこに置かれていたのは、いろいろな惣菜と、メインディッシュと思われるナスと肉の料理だ。見るからに手が混んでいる。

 そう、メインディッシュを作ったら終わりじゃなく、様々なサブメニューまで作っているというところが、マメだなだと思う。


 どれも一人で作るのは大変そうだ。


「もしかして今まで毎日このレベルのもの作ってるの?」


 しかも学校帰りに。

 そう考えれば手間は大きなものだろう。

 家に四時に着いたとしてそこからご飯を作らなければならないのだから。


 もし俺が同じ立場にいたら冷凍食品とか、カップラーメンで済ませてしまいそうだ。


「もちろん。まあ、慣れたら簡単だよ」


 彼女はそう言うが、どう見ても簡単そうには見えなかった。

 これを簡単と言えるという事は料理センスが抜群なんだろうなと、一人納得した。


 少なくとも、今までずっと料理を鍛えてきたという事だろう。


「それに、料理くらいできないとね」


 最後に前原さんはそう笑って見せた。

 だけど、なぜだろうか。その前原さんの顔が少し暗く見えたのは気のせいだろうか。


「とりあえず食べちゃって、冷めないうちに」

「……ああ、いただきます」


 手を軽く合わせ、ご飯を食べる。

 一口食べると、素材の味が引き出されていてほどほどに美味しい。

 ハンバーグなどの料理の方が好む俺にとっては少しだけ物足りない気もするが、おそらくこの料理は健康にいいはずだ。

 しかも今まで食べたことのないような深い味がする。


 そこを考えれば美味しいといえよう。


 せっかく俺のために作ってくれた料理を値踏みするのも良くはない気もするが。




 そして食事の間は会話はなかった。ただ、前原さんが俺に話しかけにくいというよりは、俺が真剣な顔をしているから喋りかけなかったが正解な気がする。


 ただ、なんだか会話がないというのも寂しい気がする。

 それはこれから、増やしていければいいのだろうなと思う。


「ストライクッバッターアウト、6者連続三振!!」


 ご飯を食べ終わり、部屋に戻った後は、またボーと部屋で野球をバックミュージックにしながらゴロゴロしていた。

 野球は興味があるわけではなく、ただ流れていたから見ているだけだ。

 一応地元球団を応援しているが、そこまで勝利に熱望しているわけでもない。



 あ、そう言えば明日の宿題をしていなかった。


 そう言えば前原さんは勉強が得意だったなと、思い返す。

 だが、流石に勉強を教えてもらうのはやってもらいすぎな気がする。


 だけど、少し仲良くなってきたら頼めるかなと、少し上機嫌になっていく。

 その一方で、この状況に慣れを感じてきている俺が少し怖くなっていく。

 一応クラスの中心ともいえる前原さんと同居しているこの状況を。




 宿題の分からないところを気合で埋め、勉強を終えた。

 なんだか疲れた。本当だったら疲れていたからやりたくはなかった。やらなければ怒られるけど。



 そう言えば、お風呂に入らなければなと思い、とりあえず、お風呂場に向かう。



『入っています』


 そう言う張り紙が張ってあった。

 そうか、今向こうには前原さんがお風呂に入っているのか。


 だめだ、変な思考になってしまっている。

 とりあえず雑念を振り払い、スマホをいじりながらリビングのソファで出るのを待つ。


 そして今日の一日の出来事を脳内で振り返る。


 俺は振られたんだよな、と思う。今日のあの子はやっぱり気まずそうだった。

 なぜ振ったのか、未だに分からないままだ。


 いつも俺は基本ミラと話すが、幸原さんとも毎日話していた。

 幸原さんと一日中一言も話さなかったのは昨日がほとんど初めてなのだ。

 明日からこの気まずい空気感をどう乗り越えればいいのだろうか。



 振られた件については、今ではだいぶ気持ちは落ち着いている。

 しかし、分からない疑問点がいっぱいだ。

 振られた理由とか。


「あ」


 お風呂から前原さんが出てきた。パジャマ姿の前原さん。なんだか新鮮だ。

 と、いけない。また変な雑念が出てきてしまった。

 同居人に対して色恋感情を抱いてはいけない。


「お風呂あがったよ」

「うん。じゃあ、入っていくよ」

「分かった。ゆっくりして行ってね」


 そして俺はお風呂へと向かう。

 ちなみにだが、おふろの湯は落とさないことになっている。

 最初俺はおふろの湯を落とすことを提案したが、そこに関しては気にしないそうだ。


『大丈夫。私はそう言うの気にならないから。それに、入る前にシャワー浴びたりとかしない人じゃないでしょ』と言って。


 俺のことを信用してくれているんだなと思うと、少しだけ嬉しい。


 そして、お風呂へと向かう。


 お風呂はそこそこでかかった。頑張れば三人は入れそうだ。

 大浴場とまではいかないが、家のお風呂という事を考えれば十分なのだろう。


 しかしやっぱりこの広い家、以前は誰か住んでいたのだろうか。

 そのようなことを考えると妄想がはかどる。

 シンプルに親が出張でどこかに行っただけなのかもしれないけど。

 でも前原さんの家族に関しては謎がいっぱいだ。

 訊いたら教えてくれるだろうか。


 なんだか今日一日の疲れが吹き飛んでいく。

 まだまだやっていけると勝手に思った。

 お風呂の暖かい温度を身に味わいながら、天井を眺めるこの時間。

 幸せだな。


 そしてお風呂から上がると、リビングの天気は消されていた。

 恐らくもう前原さんは寝に行ったのだろう。


 俺も、自部屋に行った。

 布団を纏う。なんだか暖かいなと思った。

 よく言われるのは、枕が変わると眠れなくなるという事だが、この布団なら気持ちよく睡眠にはいれそうだなと思う。


 俺はそう思いすやすやと眠りに落ちた。


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