第39話 ミラ
そして俺たちは海に入り泳いでいく。
海の中を泳ぐのは正直楽しい。
夢子は、少しづつ泳いでいる。水の中に足を入れ、水辺で遊んでいる。
「夢子は、そこでいいのか?」
そう、俺が聞くと、
「うん、今はここがいいわ」
そう言った。俺はそれを聞いて、頷きそのまま泳いでいく。
そして、軽く泳いだ後、
俺は、夢子の元に戻った。
夢子の場所に戻ってきたら、夢子は土を掘って、疑似温泉みたいなものを作っていた。
勿論海水が浜の下にありそれを掘ったものだけど、
その様子を見ると楽しそうだなと思った。
なんだか泳ぐよりも、夢子を見たほうが楽しそうだな、と思った俺は夢子の元へと向かった。
夢子の掘るところを見る。
「恥ずかしいわ」
俺が見ていることに気が付いた夢子は静かに一言、そう呟いた。
「何が恥ずかしいの?」
「だって、こんなの子どもじゃない……」
子ども。子どもか。確かに見たら子どもになるのかもしれない。
だけど、
「俺は恥ずかしいとは思わないよ。だって楽しいし」
そう言って俺は夢子の温泉に手を突っ込み、さらに掘り進めていく。
「うん、楽しい」
俺がそう言うと、夢子の顔が少しづつ楽しそうなものになってくる。
「ありがとう」
その言葉に、「どういたしまして」と返す。
そして、暫く遊んだあと、
「海で泳ぎましょう」
そう、夢子が言った。
それは気を使ったとかではなく、ただ単に飽きたのだろうと俺は思った。
そして二人で泳いでいく。
夢子の水着がきれいだと思った。
だけどそれ以上に二人で泳いでいるとなんだか楽しい。そう、ふと思う。
「二人だけずるい!!」
唐突に背後からそんな声がした。
その声に耳を貸す。
そこにいたのはまさかのミラだ。
「なんでここに」
俺が叫ぶと、「別にいてもいーじゃん」と、元気よく返される。
いや、その前に住所はどうやって調べたんだ。
訳が分からない事ばかりで、困惑する。
「わたしも泳がせて!!」
ミラがそう言って背後に隠れていく。
そして、また登場したときには服は水着に代わっていた。
「智也久しぶり!!」
元気よくミラが言う。
「ああ、久しぶり」
俺もそう、言葉を返す。返すけれど気持ちとしては訳が分からないがかつ。
いったいこれはどういう状況なのだろうか。
「なあ、ミラ」
俺はミラの肩を掴む。
「なあに?」
「なんでここに来たんだ」
「何だっていいでしょ」
何だっていい。そう言われても、そう割り切れない。
俺は知りたいだけなんだ。
「二人だけここにいてずるいからだよ」
「でも、夢子に来るの断られてただろ」
ここに、前原家に来るという事を。
「私が無断で来ただけだから起こってもいいよ。それよりも」
ミラは俺の手を掴んでくる。そして一気に自分の胸に触らせる。
「何をしているんだ」
変態みたいな行為をして。
「セクハラって男子から訴える事も出来るって知らないのか」
俺がそう言うとミラは顔をしゅんっとさせる。
一体どうしたというのか。
「ねえ、智也。私寂しかったの」
「は? 寂しかった?」
一体どういう意味だろうか。思い当たる節などないが。
「わたしだけ置いて枯れたみたいで」
いつもは気丈で生意気なミラがなんでこんな、なんでこんな感じになっているんだ。
全くもって意味が分からない。
俺は彼女に対して何をしてあげればいいんだ。
「ミラ」
俺が呼びかける。
「なに?」
「とりあえず気持ちを落ち着かせよう」
「っうん」
ミラはそう言って俺に抱き着く。
なんで抱き着くんだ。
ミラの精神年齢、小学生低学年程度になっているだろ。
ああもう、訳が分からん。
「ミラ、落ち着け」
向こうからは嫉妬の念に囚われていそうな夢子が睨んでいる。
なんなんだこれ。
俺はとりあえずミラをおんぶしながら、近くの椅子。ビーチパラソルの所に寝かす。
「とりあえずそこでスマホでも触りながら、ボートしとけ」
そして、俺は夢子の元に戻る。




