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失恋した俺は俺にだけ弱い内面を見せてくれるクラスのマドンナと同居をする――これは完璧な彼女を救うための物語  作者: 有原優


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第36話 夢子の実家

 いよいよ、夢子さんの家に入る。


 そしてインターフォンを押すと、一人の男性が出迎えてくれた。


「夢子か、帰ってきたんだな」


 そう言った男の顔は厳格そうな感じで見るからにこわそうだった。

 俺はその顔を見て、唾をのんだ。


 夢子さんは見るからに恐れている。

 子の男こそが、帰りたくなかった理由の一つなのだろうと、推察した。


「夢子さんのお父さんですか?」


 俺は訊く。すると「ああ」という答えが返ってきた。


「いつも、お世話になっています。これ、粗品ですがどうぞ」


 そう言ってオレは持ってきたお菓子を差し出す。すると、


「お気遣い感謝する」と言って受け取られた。俺はそれに感謝し、そのまま家の中に入る。

 家の中の様子は全体的に、ゴージャスという言葉がよく似合う内装だ。やはりこちらも金持ちという感じがする。

 そう言えばここは海の近くだ。

 もしかしたら、別荘という位置づけなのかもしれない。そう、この家は。

 そして席に座らされる。


「客様には、豪贅な食事をとらせなければな。佐賀美!!」


 そう叫ぶと一人の叔母さんが出てきた。彼女は「はいはい、ただいま」と言って食事を運んできた。


 前掛けをし、そして食事をいただく。出てきたのはお肉――ステーキだった。

 ステーキは見るからにおいしそうだ。

 恐らく高級品なのだろう。レストランに言ったら一個2000円、いや三千円はするかもしれない。そんなメニューだった。


「いただくといい」


 その言葉に合わせて俺は食べ始める。上質な肉だ。美味しい。そう感じた。肉がいい感じの柔らかさだ。

 だが、とは言っても、柔らかすぎない。いい感じの按排ともいえる。


 なんておいしいんだろうか。こんなにおいしい料理を提供してくれるなんて。俺は、それに見合う価値を提供できるのだろうか。

 俺は夢子の告白にはYESと答えていないのだ。


 しかし、やはり気になるのは先ほどから夢子さんの表情が浮かない事だ。

 帰りたくはない、怖い、と入っていたが、それが関係してくるのだろうか。

 そして食事中にそのなぞは解明されるのだろうか。


「美味しいです」


 そう、オレは言う。


 すると、「食事中はご飯に向き合うのが大事だ。客人もそれに合わせてもらいたい」

 なるほどしゃべるな、と言われている。

 確かに、そう言う価値観もある。

 この家では、食事中に喋るのはあまりよろしくないと、されているという事か。


 これなら、彼女が少しいやだと思う気持ちも分かる。

 そりゃ嫌だろう。沈黙が嫌だと言っていたのは、こういう事なのかもしれない。


 だけど、この肉は、喋りながら食事を楽しむという観点にはない。

 そう言う意味ではあの人の言う、食事に向き合うのが大事という価値観はあながち間違いではないのか。


 ただ、正直な気持ちで言えば、少し親睦を深めたかった部分はある。今のままだと、夢子のお父さんと同距離感を図って行けばいいのかが、全く分からないのだ。

 俺は逸る気持ちを抑え、食事を味わっていく。


 そして、食事が終わった。


 夢子のお父さんは机に腕を置く。そして――


「夢子とはどんな感じでやっているのか」


 そう、話題を切り出した。


「楽しくやらせてもらってますよ」

「そうじゃない」一蹴された。


「夢子から聞こう。彼との仲はどれだけ進んだ?」


 俺はその言葉に対し「は」と言葉を漏らした。

 一体どういうことだ。まったく意味が分からない。


「最初に言ったはずだ。夢子、お前の性教育のためにわざわざルームメイトとして男子を呼んだのだ。それでキスとかはしたのか」


 どういう意味か全く分からない。

 夢子は震えている。


「どうなんだ!!」

 夢子のお父さんは怒鳴りだす。その言葉にオレも少しびくっとした。


 俺はその言葉にどう返したらいいだろうか。夢子が明らかにおびえている。助けをするべきだけど、半端じゃいけない


「あの、一ついいですか?」


 俺は物申す。


「俺はそんな話一言も聞いていません」


 これが、どちらに転ぶか。


「どういうことだ、夢子。掲載内容には、恋愛前提のシェアは素と言っていたはずだ」


 まさかのそう言う事。そんな事があったなんて、


「俺はそんな事訊いて」


 いや、まさか母さんたちが仕組んだのか。

 あの両親ならやってもおかしくない。


「だが、なぜ説明していない」

「ごめんなさい」


 夢子は小さな声でそう答えた。

 もう一体何が何だか分からない。


「わしはてっきり彼氏を連れてきたと思ったぞ」

「告白はしたんです」

「断られたんだな」


 そう、強く言う夢子のお父さん。その言葉に夢子は「まだ保留されてる」


「なるほどなあ」


 そう言って腕を組んだ。


 ちょっと詳細を教えて欲しいが、それを口に出すのは勇気がいる。

 そう簡単には口には出せない。


「とりあえず、ゆっくりして欲しい」


 そう言って、夢子のお父さんは頭を下げた。するとまた別の使用人らしい人が来て、「ご案内します」と言った。それについていくと、部屋に着いた。

 個室ではない、夢子とのダブルベッドらしい。


 よく分からない。


「ごめんね、これが真実なの」


 暗い顔をして夢子が言った。

 使用人が去った後だ。


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