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失恋した俺は俺にだけ弱い内面を見せてくれるクラスのマドンナと同居をする――これは完璧な彼女を救うための物語  作者: 有原優


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第35話 前夜

 そしてついに、夢子の家に行く日がやって来た。

 いや正確には明日が赴く日だ。今日寝れば明日は夢子の家に行く。

 夢子の家に行くのは正直緊張するところだ。

 何しろ、言い方は悪いが彼女の家は未知数だ。

 その先で何が起きるかなんて全然分からないのだ。


 そして。俺は思うようには寝られなかった。当然だ、不安しかないのだから。


 そして、意識を閉ざしたが。


 深夜、俺は目が覚めてしまった。


 スマホを見る。

 まだ時間は早朝ではなく深夜と言うべき時間だ。

 どうしようか、目は完全に冷めてしまいもう眠れそうにない。


 スマホを見るとそこに一件のメールが届いていた。


『起きていますか?』


 もしや夢子も寝られなかったのか。今の時間は1時半。

 そう思い『起きてるよ』と返す。


 するとすぐにドアが開いた。


「ごめんね急に」


 夢子はそう、一言謝罪を入れてから。


「明日が急に不安になって」


 そう言って俺の肩にもたれかかってくる。その姿はいかにも愛らしい物だ。


「なんで夢子が不安になるんだ」


 その言葉に、彼女はじっと下唇を噛む。


「言いたくないならいいよ」


 強引に聞き出すだなんて、したくない。


「いえ、言うわ」そう言って夢子は俺の手を取る。


「私は怖いの。あなたが私を嫌わないか。失望しないか」

「そんなにやばい所なのか?」

「やばい訳じゃないけれど」


 そう言って夢子は再び目を閉じた。そんなことを言われたら俺の方が怖くなってくるんだが。


「ごめんね、色々」

「色々っていうか」

「うん、色々迷惑かけてるから」

「そんなことを言ったら俺だって居候なわけだし、それはお互い様だよ」

「うん」


 そう言えばあの日以来、家族とはほとんど連絡を取っていない。

 俺も連絡を取らないなといけないな、とふと思った。


「でもさ、俺は明日楽しみだと思ってるんだ」

「どうして?」

「そりゃ勿論。夢子の事についてもっと知れるからな」

「うん」

「知りたいのは当然の事だからな」


 そう言って俺は笑った。


 そしてその日の夜は二人で隣同士で寝ることにした。

 とは言っても、同じベッドに一緒に寝るわけではない。

 一緒の部屋に寝るだけだ。




 その翌日。

 俺たちはカバンに必要なものを持って出かけた。

 夢子の実家はそこそこ遠いらしい。


 電車で二時間かかる。


 何でそんな遠いのかと訊いたら、どうやらあの家は別荘的な意味合いの家らしい。

 確かに海が近くにあるし、山も近くにある。


 なら海沿いに経てたらよかったんじゃないか、とも思ったがそれは津波に警戒しての事らしい。


 そして、夢子の両親と共にその家に長く暮らしていたが、事情があってあの家にはこなくなったらしい。

 それが夢子が一人暮らしをすることになったきっかけだ。


 その家に俺が迎え入れられたという事だ。


 その理由を夢子に訊いたが、詳しくは行ったら分かるらしい。

 つまり、夢子の家に着くまで詳細は分からないという事か。


 電車に揺られながら、スマホをいじる。

 その間に会話はほとんどなかった。

 夢子も緊張しているらしい。


 夢子も両親に会うのは正月ぶりらしい。ゴールデンウィークにも規制していなかったという事か。

 確実に問題が生じていたという事は変わりない。



 俺はふと隣の夢子に尋ねた。


「今は本絵を言うと帰りたい? 帰りたくない?」


 そう訊くと、彼女はそっと顔を沈ませる。


「怖いけど、今更帰りたくはないわ」

 そう言う夢子の顔震えがある物の、強いなと思った。


「智也君に嫌な思いをさせたら嫌だなとは思ってるけど、それで私の気持ちが変わるわけじゃない物」

「俺は気にしないよ。どんなことがあっても」

「そう言ってもらえるとありがたいわ」


 その間にも電車は着々と目的地へと進んでいく。


 そこに一件のメールが来る。差出人はミラだ。


『もうすぐ着く感じ?』


 そう、メールが届いた。


『なんかさ、面白い事があったら教えてよ。私も行きたかったし』

『もうすぐ着くが。そう言えばミラはなんで行きたかったんだ?』

『暇だから』

『理由』


 しょうもない理由だ。


『いいじゃん。泊まるんでしょ。夜電話とかして色々教えてよ』

『夢子が許したらな』

『うん。分かってるよ。智也がさ断ったら夢ちゃんにお願いしようって思ったし』

『おい』



 夢子が断れるわけがないだろう。


『教えてねー』

『はいはい』


 そして俺がスタンプを一つ送ったところで、ミラからのメールは途絶えた。



 そして、あっという間に夢子の家まで来た。

 今俺の目の前には夢子の家だ。


 正直緊張している。


 もし怖い人たちが出てきたらどうしようか。


 何しろ夢子が今の性格になった元凶と言っても過言ではない人物だ。


 夢子は隣で震えている。


「大丈夫だ」


 そう、夢子に言う。

 だけど、オレの言葉は夢子に向けて、だけではない。俺に向けての言葉でもある。


「大丈夫だ、行こう」

「……うん」


 弱い声だ。

 だけど、覚悟が決まったのだろうか、次の瞬間夢子はインターフォンをしっかりと押した。

 いよいよ夢子の両親とのご対面だ。

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