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失恋した俺は俺にだけ弱い内面を見せてくれるクラスのマドンナと同居をする――これは完璧な彼女を救うための物語  作者: 有原優


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第23話 お風呂

 結局俺の起点?によって気まずい空気はなくなり、無事に円満に食事を終えることが出来た。


 その後、俺たちはそのままゲームやトランプなどで楽しんだ。


 そして、お風呂の時間になり、二人はお風呂に入って行った。

 今頃お風呂で何をしているのやら。


 そう言えば、今日は夢子さん俺を連れだしに来なかったな。


 今日は素の自分を一度も見せてなかった。

 どういう事だろうか。


 お風呂の中を少し除きたくなってしまう。

 勿論、覗くというのは、言葉そのままの意味ではなく、聞き耳を立てたいという意味だ。


 だが、盗み聞きというのも立派にだめな行為だ。

 我慢しよう。


 二人が今お風呂でどんな会話をしているのかが気になるが、ミラが変なことを訊いてないか心配だ。


 ★★★★★


「夢ちゃんってさ、好きなの?」

「好き……?」


 夢子が戸惑いを見せながら言う。


「うん、智也の事」


 その言葉に、夢子は軽く下を向く。


「やっぱり図星なんだね」


 ミラがそう言うと、夢子は「うん」と言った・


 その顔を見て、ミラは「ふふ」と言って、軽く舌で口周りをなめる。


「分かった。私が協力してあげる」


 と言った。


 それに笑って「お願いします」と、頭を下げる夢子。

 それを見て、ミラは面白いことが起きそう、と内心興奮するのであった。


「それで言いたいことがあるんだけど」


 夢子はじっとミラの顔を見る。


「私は、その」


 その言葉はどもりぎみだった。

 だが、夢子は言葉を紡いだ――


 ★★★★★


「気持ちよかったね」

「うん」


 二人が上がってきた。

 ミラもまた寝間着姿だ。

 軽く胸元をはだけさせている。


「あ、意識しちゃってるの?」

「……黙れ」



 意識は軽くしてしまっている。

 しかし、それを言っては負けだ。


「反応してるんじゃないの?」

「もっと変な言葉にするな」


 それを見てる夢子さんがふふと笑った。

 その顔をじっと見て、そしてミラに「やめなさい」と言った。

 これ以上こいつをのさばらせるわけには行かない。


「そう言えば、夢ちゃんからいろいろ聞いたよ」

「色々?」

「うん、家出の様子とか」


 それを聞いて、俺は夢子さんの方を見る。

 すると、「ごめんね」と、手を合わせてた。


 なんだよ。


「どこまで話したんだ?」

「大丈夫だよ。智也と夢ちゃんの秘密の遊びの事は聞いてないから」

「そもそもそんなのねえよ」


「それでだけど、今日は後は寝るだけだよね」


 夢子さんが言う。


「そうだな」


 俺もうなずく。

 もう、10時だ。


「それじゃあ、俺もお風呂に入るか」

「そうだね。行ってらっしゃい」


 その、夢子さんの言葉を聞き、俺はお風呂へと向かう。


「ふう」


 お風呂は相変わらず広く、気持ちがいい。


 今日も色々なことがあったが、お風呂に入ると、気持ちがよく、穏やかな気持ちになれる。


「あれ」


 外から音が聞こえる。しかも、服を脱ぐ音だ。

 なんだか、いやな予感しかしない。

 これって、もしかして。


「お邪魔しまーす」

「来んじゃねえよ」


 そこに現れたのはっ予想通りミラだ。

 勿論だ。夢子さんがこんなことをするわけがない。


 ミラは、しっかりとタオルで胸元は隠している。

 隠しているが、だからっていいわけではない。


 何なんだよそれは。


「興奮しちゃった? ありがちだよね。こういうさ、彼女が突入的なやつ。で、しかももうお風呂に入ってたから来ないと思ってたでしょ。残念。私は一日二回お風呂にはいれる人間なんだよ」


 ありがちか。

 ありがちと言えばそれはそうだけど。


「お前は彼女じゃねえ」

「幼馴染も彼女も一緒でしょ?」

「同じわけがあるか」


 本当に何を言ってやがるんだよ。

 理解不能だ。


「ちょっと出て行ってくれ」

「こんなにでかいならいいでしょー」

「ちょっと待ってくれ」


 頭を整理させて欲しい。


「ミラ、お前今日ちょっかいをかけに来ただろ」

「せいかーい!!」


 そして拍手をする。


「マジでお前」


 ちょっと我慢の限界が来そうだ。


「出て行ってくれ」


 俺はミラを押す。


「あ」

「あ」


 そして、ミラは、床に倒れ込み、俺はそれを覆いつくす形になった。


「スケベ」

「うるせえ」


 もう、諦めた。

 俺はミラと距離を撮りながら、お風呂に入る。



 ちなみに流石に裸のままはちょっと無理なので、俺もまたタオルをふんどしみたいにして巻いた。

 ミラは「裸でもいいじゃん」と言ったが、幼馴染相手でも無理だ。


 男子も女子同様、自分の見せたらだめな部分を見せたくねえんだよ。


 しかし、なぜここまでラブコメイベント(?)が起こるのだろうか。

 普通怒るなら夢子さんとだろ。

 いや、起こって欲しい訳ではないが。


「なーに見てるの」

「見てないし、興味ないから」

「あ、そうだ。同居ラブコメのコツを夢ちゃんに教えてあげたからよろしくね」

「何してんだよ」


 本当に何をしてるんだ。

 後で夢子さんに言わなければ。

 ミラのいう事は全て気にするな、無視をしろって。


 そしてミラは少しづつ俺の方へと近づいていく。


「今日は私がラブコメイベントする番」


 変なことを言いやがってからに。


「誰もお前のラブコメを求めてねえよ」


 そもそもその理論だと、ミラがヒロインみたいな感じじゃん。


「えへへ」


 そして俺の隣に座る。

 もう止めはしない。止めたら今度はもっと酷いことをされそうだ。

 それこそ、今のミラは俺にいきなり抱き着いて来てもおかしくない。


 それを避けるならば、隣に座るのを看過しなければならない。

 そう、最悪を避けるために、次善。いや、次悪を選ばなければならない。

 それに、隣に座られるくらいなら全然かまいはしないのだから。


「ねえ、智也」

「なんだよ」

「もし私が、智也の事を好きって言ったらどうする?」


 その言葉に俺はすぐには返答できなかった。

 夢子さんの俺の事を好き疑惑、そして幸原さんの事。

 俺には考えなければいけないことがとにかくたくさんある。

 それこそ、思考が追い付けないくらいに。


「何も言わないんだね」


 ラブコメの雰囲気を醸し出しながらミラが言う。


「ドキドキした?」


 その言葉で、もう既に気が付いていた事実。

 ミラが俺をからかっているという事実を再確認した。


「やっぱり夢ちゃんって智也の事が好きなのかな」

「はあ??」


 その言葉に俺は絶句する。


「何言ってるんだよ」

「智也の今の反応で分かったよ。智也は夢ちゃんが自分の事を好きかもしれないって思ってるってこと」

「…………それはそうだが」


 最近の不安の種だ。

 今日芽生えたものであるが。


「私には、分からないけどさ。告白されたらちゃんと答えてあげてよ」


 なんだよ。その、夢子さんが俺の事を好きみたいないい方は。


「ちょっと混乱してきた」

「混乱したなら、私の胸に飛び込んできな」

「行かねえよ」


 そう言う俺を見てミラはまた笑って、


「知ってる」と言った。



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